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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
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18話 冒険者イベント?

夢のお兄ちゃん発言に軽くトリップしていた俺はアリアに引きずられながらブランダの街中を移動していた。

俺が使い物にならないのでアリアが街の人に依頼品の届け先であるデンド武具店の場所を聞いてくれて、今はデンド武具店の前までやってきたのだ。

この頃にはやっと俺の興奮も落ち付いてきていた。

ここまで連れてきてくれたアリアに感謝だ。

よし、まずは依頼をこなしてしまおう。


「ごめんくださーい。」


「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」


店番をしていた20歳くらいの青年が応対してくれた。この人がデンドさんかな?


「荷物のお届けですが、店主のデンドさんはいらっしゃいますでしょうか?」


「店長ですね。少々お待ちください。」


そう言い残して店の奥に行く青年。この人じゃなかったか。

しばらく待っていると眼鏡をかけたおじさんがやってきた。


「こんにちは、荷物の配達でお見えになったそうで、店主のデンドです。」


「こちらスーラのキエフさんからお預かりした物です。」


そう言って木箱を台の上に置く。


「おー、これはこれは。お待ちしておりました。中身を拝見しても?」


「はい、検品をお願いします。こちらが納品リストです。」


紙と木箱の中身を見比べながら検品するデンド氏。


「うん、状態もいいようだ。輸送中に傷がついたり、壊れたりすることが多々ありましてね。丁寧な仕事をしてくれてありがとうございます。」


まぁ普通に運べば揺れたりとか落としたりとかで傷つくよな。

俺は魔法の袋を使っているので傷がつくようなことや、壊れるようなことはない。

依頼は成功ということでデンド氏に依頼達成のサインを貰い、武具店を後にした。


「さて、どうしようかね。冒険者ギルドに行って報酬受け取る?それとも先に宿取っちゃう?」


「先に宿取っちゃおー。これだけ人がいると宿が見つからないこともあるから。私が以前泊まったところでいいかな?宿泊費もスーラの宿と同じくらいだったから。空いてればいいなぁ。」


「じゃあ案内よろしくー」


「うん!こっちだよー。」


アリアに着いて行くこと10分。

ブランダの宿屋パールブランダに着いた。4階建ての立派な建物だ。

ここも1階は食堂になっているらしい。


「すいませーん。宿泊したいんですけど空いてますか?」


カウンターにいたのは30歳くらいの女性だ。


「はい、空いてますよ。1人部屋が300レンス、2人部屋が400レンスです。朝食と夕食付きですとお2人で100レンスです。5日以上連泊される場合は5の倍数日を宿泊費は無料とさせて頂いております。」


「結果的に5日以上の連泊になった場合も割引ってされますか?」


「はい、その場合は5日目を無料に致しますよ。」


「ヨーヘー、どうする?」


「とりあえず1泊にして、この後冒険者ギルドに行って依頼を見てから滞在日数を決めようか。」


「うん。あの、とりあえず2人部屋を1泊食事付きでお願いします。」


「はい、それでしたら500レンスになります。」


やっぱり2人部屋なのね。まぁ今更だけどさ。


部屋の鍵を受け取って階段を上がっていく。

鍵を渡される時になんかウィンクされたが何もないからね?


3階の2人部屋に入るとやはりここもベッドとテーブルがあるのみだった。トイレは個室に付いていないんだな。

ベッドに腰掛けてキレースまでの道のりを確認する。


「ブランダまで来たけど、キレースまでどれくらいになるの?」


「ええと、ここから歩いて3日くらいのところにガラダっていう街があるの。ここブランダと同じくらいの規模の街だよ。ガラダからまた3日くらい歩くとキレースに着くわ。」


最短で6日かー。


「急いでいるわけじゃないから、無理のないペースで進みましょ。ついでにこの街でもお兄ちゃんの情報を集めてみようかと思うの。」


「あぁそれがいいね。ついでに依頼もこなしてお金稼がないとね。」


「ふふ、そうね。じゃあ早速冒険者ギルドに行く?」


「よし、行こうか。あ、場所知らねぇや。」


「私が知ってるから大丈夫だよー。」



俺達は宿を出て冒険者ギルドに向かった。途中で服屋を見つけたので、この世界のデザインを研究した。あの膝上丈のスカート、アリアに似合いそうだな。

今のアリアはスカートなのだが丈が長い。ロングブーツを履いているので肌が見えないのだ。まぁ旅をしてるわけだから無理に素足とか出さないのはわかるんだが、俺はもっとアリアの足が見たいのだ。

黒ニーソとミニスカートとか穿いてほしい。

作ったら着てくれるだろうか?ダメで元々!お願いしてみないと始まらないな。

作った上でお願いしてみよう。いきなり短いのを渡したら俺が変態扱いされる可能性もある。まずはちょっと膝にかかるくらいの長さからだな!

アリアはこれかわいいなーとか言って服を見ている。

アナライズで成分分析をして使っている素材を確認した。持ってる素材で作れるようなので、あとで作ってあげると言っておいた。よし、これで服を作る口実ができたぞ。

クローンでの複製は売り物の複製しないと決めている。泥棒してるわけじゃないけど、なんとなく気分的にね。どうしても必要になればやると思うが。


デザインを考えながら歩いているといつの間にか冒険者ギルドに到着していた。

中に入ってみると何組かの冒険者がいる。さすが、スーラとは町の規模も違い冒険者も多いようだ。だが昼間だというのに酒を飲んでいる奴等がいる。あの人達は依頼受けなくていいのか?


彼らを横目に受付カウンターに向かう。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか。」


「依頼達成の報告です。」


そう言って依頼達成の証明書と俺とアリアのギルドカードを受付嬢に渡す。


「はい、確かに達成を確認しました。こちらが報酬の3千レンスになります。」


「どうも。じゃあアリア、依頼を見に行こうか。」


「えぇ。何か依頼あるかな?」


どんな依頼があるか胸に期待を抱かせつつ依頼板に向かって依頼を探そうとすると後ろから声を掛けられた。


「よぅルーキー。可愛い子と一緒にお使いかい?色男ぉ。」


振り返るとアリアをチラチラ見てニヤニヤ笑っている男が酒瓶を片手に近寄ってきた。


「へへっ、なぁ俺は星6つなんだぜぇ?お前ら見たところ初心者だろぉ?俺が色々教えてやるぜぇ?」


なんて親切な人なんだ。アリアへの視線は気にいらないが初心者想いのいい人だな。

なんて思うわけないだろ。下心見え見えなんだよ。あと酒臭ぇよ。


「腰から立派な剣ぶら下げてるなぁ。ヒヒ、腕に自信があるってかぁ?飾りじゃねぇんだろぉ?」


飾りだよ。使い方なんてわからねぇんだよ。


「なんだぁ?だんまりかぁ?ビビっちまってるみてぇだなぁ。ウェハハ、ったくしょうがねぇなぁ。」


殴っていいだろうか?


「そぉだなぁ。これなんてどうだぁ?」


ベテラン冒険者様は依頼書を1つ剥がして俺に渡してくる。


「フヒヒッ、この[採取]アオキノコの依頼だけどよぉ、へへっ、街の外に森があるだろぉ?そこに群生してるんだぜぇ。ヒックゥ、ついでにこの依頼とこの依頼も同じ森で採れるから受けておいた方がいいぜぇ。」


「灯り苔」と「パショの実」の採取依頼書も渡してくる。


「・・・・・」


「ついでに教ぇてやるとよぉ。ヒヒッ、その森でラクウサギ・・・黄色ぃウサギなんだけどよぉ。ウィー、そぃつを見つけたらぁ捕まめぇておくといいぜぇ。あれはいい金になるんだぁ。」


あれ?


「じゃあ、その程度の依頼なら今日中に終わるだろぉよぉ。ふひひ、頑張れよぉ。」


・・・あれれ?

普通にいい人だった。

このパターンって俺だけ依頼に行って嬢ちゃんは俺と楽しもうぜぇゲヒヒ。ってパターンじゃないのか?

いつでも発動できるようにしておいた魔法をどうしてくれようか。

アリアも俺と同じことを考えていたようで拍子抜けしたように二人して顔を見合わせる。


去って行った男が、「そんなとこで見つめ合ってイチャイチャするんじゃねぇぞぉ!」と言ってくる。


釈然としない。

なんというか見た目と態度で損してるな。あの人。名前知らないので、それぞれの頭文字を取ってミタソンさんと呼ぼう。

そしてミタソンさんに勧められたまま3つを依頼書を受付に持って行き、依頼開始手続きをした。

その際にアオキノコと灯り苔とパショの実がどんな物かを聞いてみたら、主な採取品の図鑑を販売していると聞いたので、200レンスで購入した。


ミタソンさんにお礼を言って街の外の森を目指した。


「私さっきすっごく身構えちゃったよ。嫌なことされるんじゃないかーって。」


「俺もアリアに触れたら攻撃する準備しちゃってた。」


「そこは触れそうになったらにして・・・。いい人だったけど、知らない人に触られるのには抵抗あるから。」


「俺と初めて会った時もアリアおぶっちゃってたけど、実はあれも嫌だった?」


「あれは、私気絶してたし、ベヒモスのこともあったからそれどこじゃなかったけどね。・・・恥ずかしくはあったけど。」


「そっか、よかった。」


「今はヨーヘーと仲良くなってるから触られても嫌な気分にはならないよ。なんてったってマッサージなんかもしてもらってるくらいだしね。」


アリアに信頼されているようでよかった。しかしあの時背中の感触楽しんでましたなんて言ったら怒られるんだろうな。


森に入って図鑑を睨めっこしつつ目的の物を採取していく。

どれも見つけやすかった。

アオキノコは青いから目立つし、灯り苔は光っている。パショの実はオレンジみたいな果物で木になっていた。

アオキノコは薬に使うそうで食材にはならないようなので、依頼の数だけ採取した。他に図鑑に載ってた食べられるキノコを採取しておく。パショの実は1つ食べてみたが味もオレンジだったので自分達用に余分に採っておく。

大体3時間くらいで完了したな。

街に帰ろうということになって森から出ようとすると、ウサギっぽい影が茂みに逃げるのを見かけたので茂みに向かって拘束魔法であるバインドを掛けた。

拘束したっぽい感触だったので確認すると赤いウサギがそこにいた。

ミタソンさんが言ってたのは黄色いウサギだったな。これは違うか。まぁせっかく捕まえたし持っていこう。




冒険者ギルドに戻り、完了報告を行う。


「はい、ご苦労様でした。今回は3つの依頼を達成されましたので、報酬が1,200レンスになります。加えてお二人は依頼達成数が5を超えましたので星2つにランクアップ致します。」


おー!ランクアップ!!アリアとやったねーって感じでハイタッチした。


「あ、そうだ。これ捕まえてきたんですけど、買取してます?」


赤いウサギを受付のお姉さんに見せる。買取してなかったら俺達で食べよう。


「これは・・・エスウサギ!?よく捕まえられましたね。もちろん買取していますよ。」


エスウサギっていうのか。受付のお姉さんの話だとエスウサギはすぐに逃げるので捕まえるのが難しいらしい。

たしかに見えたのは影だけだもんな。運で捕れたようなもんだ。

しかもエスウサギの肉はとても美味で高級食材なんだとか。

食べてみたい気もしたが、買取金額が1万レンスと聞いてお金に目のくらんだ俺はエスウサギを売ることにした。あ、そうだ。


「ちょっと待ってて貰っていいですか?」


「はい?」


エスウサギを持って物陰に隠れクローンで複製しておく。よし、これで食えるな。


「お待たせしましたー。あの買取お願いします。」


「はい、お預かり致します。お支払は金貨にしますか?それとも大銀貨にしますか?」


金貨見てみたい気もするけど、1枚だし使いづらそうだから大銀貨にしてもらおうかな。


「大銀貨でお願いします。」


「承りました。少々お待ちください。」


受付のお姉さんが手続きをしている間にアリアが俺の脇腹を小突いて離しかけてきた。


「(ねぇ、クローンしたの?)」


「(うん、自分達で食べる用にね。あとはヘソクリ扱いかな。)」


さっきの俺の行動を読まれたみたいだ。アリアわかってきたな。


「(今夜食べるの?)」


「(いや、宿の食事が勿体ないから明日のお昼以降かな?)」


「(うー、待ち遠しいよー)」


「ヨーヘー様お待たせ致しました。こちらが買取金額の1万レンスになります。」


アリアとエスウサギの味を想像していると受付のお姉さんが手続きを終了した旨を報国してきた。


「どうもー。」


今日の収入11,200レンスだ。日給11万円とか凄いな!

エスウサギがなかったら2人で日給6千円ってところか。エスウサギ万歳!


「よぉルーキー。ヒヒッ、どうだぁ?ぅまくいったかぁ?ヒヒヒ」


この三下感が半端無い喋り方はミタソンさんだ。彼はニヤニヤしながら歩み寄ってきた。


「はい、おかげ様で星2つにランクアップできました。ありがとうございました。」


「おぉ?そいつぁめでてぇやぁ。おぅ、祝ってやらぁ。こっちにきやがれ。」

彼は訳がわからない俺とアリアを連れてギルド内に設置されているテーブルに座らされる。


「おぅ!皆聞いてくれぇ!ウェヘ、このルーキー達が今日星2つにランクアップしたそうだぁ!ヒヒッ、祝ってやろうじゃねぇかぁ!」


彼の音頭でギルドにいた冒険者達から賛辞激励の言葉を頂いた。どうやら祝ってくれるらしい。

軽い挨拶の後、1時間程酒を酌み交わしながら交流を深めた。こういうのってなんか楽しいな。

この世界の酒も結構いける。ビールみたいな酒だったが、大麦っぽい風味がないのでビールではないだろう。詳しく聞くとこれはバーレという飲み物でバーレ用の豆を原料とした発泡酒らしい。

途中酔っぱらった男がアリアに絡んでいたのでこっそり電撃魔法で麻痺させておいた。他の皆には酔い潰れたように見えるだろう。俺がやったことに気が付いたアリアにはお礼を言われた。

場も落ち着いてきたところでお開きとなった。


「ミタソンさん今日はありがとうございました。」


「あぁん?ミタソンって誰だぁ?」


しまった。仮の名前で呼んでしまった。


「俺の名前ぇはロジャーってんだ。覚えておきやがれ。」


「あ、はい。ありがとうございます。ロジャーさん。俺は洋平って言います。」


「おぅ!ヨーヘーかぁ。おめぇさっきゴンズの奴に魔法かけただろぉ?」


「ゴンズ?」


「お前ぇの連れの嬢ちゃんに絡んでた奴だぁ。」


「・・・ばれてました?」


「ぶっ倒れ方が不自然だったからなぁ。ま、気にしちゃいねぇよ。その嬢ちゃんはツラァいいからよぉ。今後も絡まれるたぁ思うが、お前ぇがちゃんと守ってやるんだぞぉ?」


「あー、はい。わかりました。」


「あとぉ、こぃつぁ俺からのランクアップの祝いだぁ。うぃひ。これからの冒険者ライフに幸あれだぁ。」


ロジャーさんは俺に石のような物を渡してきた。これ魔結晶だ。

ホントにこの人いい人だな。


「ありがとうございます!」

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