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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
16/172

16話 目覚ましはつらいよ。

「ふぁーあ、朝かー・・・このベッド気持ちいいねー。時間は・・・7時か。いい時間だし起きるとしますかー」


アリアも起こさないといけないな。よしやるか。


「アリアー!あっさでっすよーーーっ!起きないと思うけど起きてーーーっ!!」


ゆっさゆっさゆっさゆっさ


「スゥスゥ・・・」


だろうと思ったよ!

宿に泊まってた時は朝食を食べようとしてたら起きてきたから、それが朝食というのがキーなのかもしれない。

それならば朝ご飯を作ってやろうじゃありませんか。

何にしよっかなー。

米と味噌汁は付けるとして、メインのおかずだな。グランディアの料理に挑戦するのもいいんだけど、レシピがないから良くてもグランディア風の料理になるのが関の山だろう。そうなると地球料理になるけど、朝食だしなぁ。うん、オムレツでいっか。

ついでに漬物もあるといいなー。たくあんと福神漬けならあるけど、他の漬物も作っておきたいな。これは後で漬けておくか。時間を早送りするブーストをかければ出来上がるまでの時間短縮できると思うんだが、実験も兼ねてやってみよう。


まぁ今日の朝食には漬物は間に合わないから今日は我慢しよう。あとは・・・ベーコンでも焼くか。


多めに米を炊いたのでオニギリも作っておいた。これはお昼に食べよう。

さて、このパターンでアリアは目を覚ましてるはず。


「スゥスゥ・・・」


あるぇ?起きないぞ・・・。

あ、そういえば銅鑼鳴らした時も朝食作っても起きなかったんだっけ?

ふむ、どうしたもんか・・・。

ふとさっき地球の食材を漁ってた時に、目を引くものがあったのを思い出した。

魔法の袋内を改めて探す。


「えーっと、あったあった。」


手に持ったのはハバネロソース。

なんで俺はこれを買ったんだろう?食材をカートに入れてる時はどんどん増えていく食材に気分が高揚して変なテンションになっていたからなぁ。

まぁ折角買ったんだし、これを使ってみるか。


「アーリッアさん。起きないと大変な事になるよー?おっきろーーーー!!」


「・・・・・・」


やっぱりダメかー。それじゃあしょうがないよねー。

さぁ口を・・・って閉じてるな。鼻摘まむか。

鼻を摘まむとアリアが口を開けたので、ハバネロソースをチョチョイっと流し込む。


「・・・どや?」



「ダメか?」


次の瞬間、アリアがクワッっと目を見開いた。


「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーー!!!」


ベッドの上で暴れるアリア。

効果覿面だな。次からもこれで行こうか。


「あ゛あ゛あ゛あ゛なだ!だにヴぉじだの!?」


「辛いソース飲ませてみました。」


テヘペロという感じでハバネロソースを見せる。


「ばが!ボンドにバガ!!・・うぐ・・・『ヴィール』・・・『ヴィ・・』『ビー・・』『ひール』」


とても辛そうだ。これはやってはいけなかったのかもしれない。


「うぅ・・・もぅ・・なんで普通に起こしてくれないの?私ずっとスッキリ起きれた事がないのよ?」


ずっとっていうのは言い過ぎかと、宿にいた時はスッキリ起きてたじゃないか。


「お願いだから、普通に起こしてください・・・。もう苦しいのもビックリするのも痛いのも嫌なの」


アリアが涙目で訴えてきたので非常に申し訳ない気分になってしまった。


「ごめんなさい。」




その後、朝食を食べて出発したわけだが、お昼までアリアが口を聞いてくれなかった。

何回か魔物が出たんだが、機嫌がすこぶる悪いアリアは見敵必殺という言葉がピッタリといえるくらい一瞬で殲滅している。何せ俺が魔物の出現に身構えた瞬間にアリアの放った魔法が魔物に突き刺さり、1撃の下に屠ってしまうのだ。頼もしいといえば頼もしいのだけど、機嫌が悪いせいか超怖い。あの魔法が俺に向けられる事になるかもしれない。

自分の身に危険を感じた俺はお昼休憩の時に必死に料理で釣ったり誠意を見せまくって謝り続けたおかげでなんとか許して貰えたのだ。


「もうあれは止めてね。折角昨日はいい気分で寝れたのに最悪の朝だったわ。」


「本当にすいません。」


「はぁ・・・もういいよ。その代わり今日はうんと美味しい夕飯作ってね!」


「それで許してくれるならなんでも作ります!」


「ふふふ、夕飯が楽しみだなー♪」


その後は順調に旅程も進んだ。もうちょっと魔物とか出るかと思ったんだけど、街道という事もあり、定期的に間引きされているらしく、あまり魔物に襲われることは少ないらしい。ただ油断してると盗賊に襲われるからナメてると痛い目に合うと聞いている。今のところ盗賊も出てきてないから、新しい魔法について考えながら歩き続けた。

ブランダまで後10kmくらいのところまで来たところで、日も暮れてきたし慌ててブランダまで行っても着くのは夜になる。宿も埋まってる可能性も考えて、今日はここで夜を明かして明日ブランダに入ることになった。



「ねぇアリア、夕食はどんなのが食べたい?」


「暖かいのがいいなー。」


暖かい食べ物かぁ、どうしようか。そうだドリアにしよう。アナウサギのトマトドリア。鍋もいいかと思ったが、暖かい料理と聞いて最初に思いついたのがドリアだったのだ。

ドリアを作ると決めて準備を始めると隣にアリアがやってきた。


「今日はお詫びも兼ねてるからアリアは休んでていいよ?」


「ううん。料理の勉強になるし見ていたいの。いいでしょう?」


「もちろん。いくらでもご覧ください。お姫様。」


「ふふ、さぁ、始めて始めて。」


ドリアを作り、オーブンで焼いている間に卵スープとデザートとしてホットケーキも作った。

焼きあがったドリアとサイドメニューをテーブルに並べて頂きますの号令でスプーンと手に取る。


「はふ、はふ、はふ、はふ、このドリア?熱いけど、美味しいよー♪チーズ?これがビヨーンて伸びるのが楽しいね♪」


チーズ多めに入れたのでかなりビヨーンと伸びている。アリアはそれが楽しいみたいだ。伸びたチーズってなんで美味しそうに見えるんだろうね?


「このホットケーキ?もふかふかで甘くて美味しーよーーーっ♪」


ご満悦のようだ。これなら今朝の事も許してくれるだろう。


「お口に合ったようで光栄の至りにございます。お姫様。」


「うむ、大儀であります。これからも私に尽くすのですよ。ふふ」


「ははっ、誠心誠意を持って御身の為に尽くします。なんてね。さて、アリアお風呂に行ってきちゃいなよ。俺は洗い物しておくから。」


「うん、ありがとう。じゃあお先にお風呂頂くね。」


「ごゆっくりー。」


アリアがお風呂に行ってる間に時間が掛かりそうな料理の仕込みしておくかな。

まずは、漬物の為にぬか漬けから始めるか。

天日干しするやつは移動しながらだと無理があるから、ぬかに漬けるだけの簡単なやつからだな。

後は・・・パン生地とかうどん生地作っておくかー。今持ってるパンは食パンしかないからな。

でもアリアがいないとこでやると、アリアが教えてくれないって言って拗ねるかもしれない。

道具の準備だけしてお風呂から出るのを待つことにしよう。



「お風呂ありがとー・・・って何?この匂い・・・」


お風呂から上がったアリアが顔をしかめて聞いてきた。


「料理の下準備しようかと思ったんだよ。アリアも興味あるかなと思って待ってたんだ。この匂いはこれ。」


そう言ってぬかをアリアに見せる。


「新しい料理ね!私も一緒にやる!・・・この臭いのをどう使うの?」


「それはね・・・」


そうやって、ぬか漬けやパン生地、うどん生地等を作った。

粉をこねたりで汚れてしまったアリアはもう一回お風呂に行き、俺はアルファベットの書き取り練習だ。


アリアがお風呂から出たので入れ替わりでお風呂に入った。あぁ、いい湯だなぁ。

なんか露天風呂入りたいけど、魔法の袋の中じゃ無理だなぁ。打たせ湯で我慢するか。

クリエイトで打たせ湯用の水路を風呂の上部に作った。

あああぁぁああぁぁ~~~、これいいなー。

ひのきっぽい木が出す香りに包まれながら、打たせ湯で滝行ごっこをしていたら、すっかり長湯をしてしまった。

風呂から出た後にはいつも通り牛乳を作法に従って飲み干した。

うーん、こうなるとフルーツ牛乳も欲しいな。後で作っておこう。


「随分長湯してたね。」


「あぁうん。打たせ湯作ったからね。」


「打たせ湯?どんなの?」


「上からお湯が落ちてきて身体に当てるんだよ。」


「ふーん、面白そうね明日やってみよっと。」


風呂から上がった俺は、一次発酵の終わったパン生地と熟成させたうどん生地を魔法の袋に入れておいた。


「ねぇヨーヘー。今日も歩きっぱなしで疲れちゃったから、マッサージお願いしてもいい?」


「もちろんいいよ。」


俺のマッサージを気に入ってくれたのだろうか?だとしたら嬉しい。今日はアリアの機嫌も損ねてしまったこともあったので、アリアの要求には出来るだけ応えてあげたいしな。それに役得でもある。


「寝ちゃってもいい?マッサージされたまま寝るの気持ちよくて。」


「じゃあ今日は俺のマッサージは無しかー。」


「あっ、あっ、じゃあ先にマッサージしてあげるね!」


「大丈夫だよ。さぁ、揉みしだいてあげるからベッドに横になるがいい。」


「むむ?手つきがイヤラしいよ!変なとこ触ったらダメだからね!」


そう言いながらベッドにうつ伏せになるアリアのマッサージを始める。


「ん、はぁ・・・やっぱり気持ちいいー・・・」


「このまま寝るのかー。明日はどうやって起こそうかね。」


「苦しいのもビックリするのも痛いのもダメだかんね!特に痛いのはダメだからね!普通にだよ!普通に起こすんだよ!」


「自分で起きる努力はしようか。」


「う・・・でも、私寝起きはいい方なんだよ?・・・いつもは太陽が昇る前に起きてたし・・・」


「ウソつけ!全然起きないじゃないか!明日も起きないようなら明日の夜に対策会議するからね!」


「むぅ・・・。」


10分後


「スゥスゥ・・・」


寝ちゃったか。ここで辞めてもよかったが、疲れを取ってあげたかったのでその後5分程マッサージを続けることにした。

アリアの寝顔、かわい・・・むむ?変顔になってるな。

うつ伏せで顔だけ横向いてるからほっぺがベッドにつぶされてムニュってなってる。


「・・・『チーズ』」


もちろんバッチリ保存した。

このチーズで撮った写真もあとで整理しないとなー。整理って言っても魔力を使って俺の中にデータが蓄積されているんだけど、溜めてる分は魔力を消費するから、その分の魔力が勿体無いので外部保存してデータ消さないと魔力の無駄遣いだからなー。

しかし何に保存しようか?魔結晶とかに移すかな?ペーストで紙に転写してもいいな。修行風景から恐怖のお食事会、アリアとの旅など、結構こまめに撮ってたから300枚くらいある。内アリアが写ってるのは150枚くらいだ。明日ブランダで頑丈な紙と魔結晶を買って整理しよう。


顔が潰れたままだと可哀想だったので、アリアを仰向けに寝かせてあげる。おぅ・・・自己主張の激しい双丘が目に毒だな。とても柔らかそうである。

凄い誘惑に駆られたが、紳士な俺はグッと我慢してアリアに布団をかけた。

さて、この高まった気持ちをどうするか・・・。


もう1度風呂に入った俺は、気持ち良さそうに眠るアリアを一瞥し、自分のベッド潜って眠りについたのだった。

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