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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
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13話 リホームしよう

金策を始めてみたが、金の作成ははダメということで、金塊は魔法の袋に仕舞ってある。


「アリア、鉄なら平気?」


「鉄なら問題ないよ。でも量は自重してね。」


「わっかりました!」


鉄なら洞窟内で採掘した鉄があるからこれを複製すればいいだろう。


「『クローン』『クローン』『クローン』・・・」


鉄を10kgくらい複製した。重てぇ・・・。


「鉱石系は鍛冶屋に持っていけば買い取って貰えるんだったよね。」


「冒険者ギルドの人はそう言ってたね。」


鍛冶屋か。どこにあるんだろう?


「アリア、鍛冶屋の場所って知ってる?」


「ごめん、知らない。」


うーん、あそこにいるお婆さんに聞いてみるかな。



「あのーすいません。鍛冶屋ってどこですか?」


「・・・・・・」


あれ?聞こえてない?


「あのー?すいません?」


大きめの声で声を掛けると振り向いた老婆と目が合った。


「え~?」


「あ、すいません。鍛冶屋ってどこにあります?」


「あんだって?」


「鍛冶屋の場所なんですけど。」


「あに?耳が遠くてねぇ。」


「鍛冶屋の場所ですが!!


「えぇ?」


「だ!か!ら!!鍛!冶!屋!の!場!所!知っ!て!い!ま!せ!ん!っかーーーー!!!?」


「とんでもねぇ、あたしゃ神様だぁよ」


なんだこの志村!?ていうかあんたセリア婆さんだろ!?さっき依頼受けておけばよかったよ!!

とりあえず婆さんを保護して冒険者ギルドに連れて行くか。



「あら、ヨーヘーさんにアリアさん。どうしました?」

冒険者ギルドに入ると受付のお姉さんが俺達に気付いて声を掛けてきた。この婆さんの処理方法を確認しないとな。


「あの、依頼にあったセリア婆さんっぽい人を保護したんですけど・・・」


「あらセリアお婆ちゃん。また出歩いてたんですってね。息子さんに迷惑かけたらダメですよー?」


やっぱりセリア婆さんだったか、自信はあったけど違ってたらと思うとドキドキするな。


「依頼受注はしてませんけど、今回は依頼達成にしておきますね。」


「え?いいんですか?」


「はい、冒険者ギルド登録のお祝いということで、私からのプレゼントです。」


「ありがとうございます!」


「はい、ではセリアお婆さん。お家まで送って行きますねー。」


「いつもすまないねぇ」


「それは言わない約束でしょ。」


なんだこのやりとりは・・・異世界でも見られるとは思わなかった。




その後、鉄塊を冒険者ギルドで買ってもらおうとしたが、鍛冶師の人が鉄が足りないと言っていたらしいので、鍛冶屋に持っていった方が高く売れるだろうと教えて貰い、ついでに鍛冶屋の場所も教えて貰った。


「ここかな?」


「うん、金属叩く音聞こえるし、武器も売ってるからここだと思う。」


初めての鍛冶屋にちょっとドキドキしつつ中に入ってみる。


「お邪魔しまーす。」


あれ?誰もいない。

留守なのかと思い出直すかと思っていたら奥から声が聞こえた。


「おう!お客さんかい?ちょっと待っててくんな!」


「わかりましたー」


店内を物色して待っていよう。

おー!剣とか槍とかあるよー。やっぱりファンタジーだなー。どんな素材使ってるんだろ?

武器や防具にアナライズの特殊魔法を使って成分を確認する。

へー、こういう配分の合金なのかー、あ、これは魔物の皮を使ってるんだなー。

この世界の武器や防具を観察していると、奥から小さいヒゲのオッサンが出てきた。


「おう!何か気に入ったのあったかい?」


あ、この人もしかしてドワーフか!?それっぽい感じがする!人以外の種族見たの初めてだー!


「な、なんでそんなキラキラした目でワシを見る・・・?」


「はっ!?すいません。あの素材の買取ってやっていますか?」


「買取か?何を持ってきてくれたんだ?」


「これなんですけど」


店に入る前に魔法の袋から普通のバッグに移しておいた鉄の塊10kg分を取り出して台の上に置く。


「おう!鉄じゃないか!ちょうど不足してて困ってたんだ!量はこれだけか?あるなら全部買い取るぞ!」


ほう、それならもう1個売っておくか。


「同じのがもう1つあります。ぜひ買い取ってください。」


「もちろんだ!この量だとそうだな・・・質も良さそうだし千レンスでどうだ?」


さっき冒険者ギルドでは10kgで400レンスと言われたからちょっと得した感じだ。


「はい、それで大丈夫です。買取をお願いします。もう1個は外に置いてあるんで取ってきますね。」


一旦店の外に出て鉄塊を再作成して店内に戻る。


「ん、確かに。じゃあこれ、千レンスだ。」


大銀貨を1枚渡された。

防具が欲しかったが、もうちょっとお金を貯めてからにしよう。

他には特に買う物もないので、店を出ることにする。


「またよろしく頼むなー!」


元気なオッサンであった。


手に入れた大銀貨を見つめる。


「日給1千レンスか。悪くはないよな。」


「これからどうするの?」


「とりあえず、宿を取ろうか。」


「宿の場所ならわかるよ。こっちだよー。」


そう言って案内してくれるアリアの後に付いて行く。

アリアが2階建ての建物の前で止まった。

ここが宿か。


「ここが宿《ワルキューレの楽園》だよ。」


随分かっこいい名前だな!完全に名前負けしてると思うぞ!


「この前来た時もここに泊まったの。1階が食堂になってて、2階が宿泊用の部屋なの。」


「じゃあ早速部屋を取っちゃおうか。」


「うん!」




「いらっしゃい。食事?それとも泊まりかい?」


ふくよかなおばさんが応対してくれた。


「泊まりでお願いします。」


「はいよ。1人部屋だと300レンス、2人部屋なら400レンスだよ。食事をつけるなら夕食と朝食がついて2人で100レンスだよ。」


「ヨーヘー、2人部屋でいいよね?」


「えっ!?1人部屋の方がいいんじゃないの!?」


この子は俺が男だとわかっているんだろうか?


「2人部屋の方がお得だし、1人部屋は・・・ほら、なんか寂しいじゃない。ヨーヘーが同じ部屋が嫌なら別々の部屋にするけど・・・」


そう言って少し不安そうな顔で俺を見てくる。


「アリアがいいなら俺は別に構わないけど・・・」


構わないどころかむしろ嬉しいくらいです。

そう言うとアリアはホッとした顔でおばさんに話始めた。

しかし、この子は年頃の娘さんのはずなのにガードが緩過ぎる気がする。少し心配になるな。


「2人部屋で食事付きでお願いします。」


「それじゃあ500レンスだね。これが部屋の鍵だよ。出かける時は私か旦那に預けてから出かけておくれ。夕食は18時~22時、朝食は6時~9時の間に食堂に来ておくれ。部屋は209号室、一番端の部屋だからね。水は裏庭に井戸があるからそれを使ってくれて構わないよ。但し零さない様に気をつけておくれ。」


「はい。お世話になります。」


支払いを済ませて鍵を受け取ったアリアが階段を上って行くので付いて行く。

部屋に入るとベッドが2つ置いてある簡単な部屋だった。広さは8畳くらいか。

それぞれのベッドに腰掛けてアリアと話す。


「ホントに2人部屋でよかったの?」


「いいの。私達仲間でしょ?別に変じゃないと思うよ?」


「仲間でもさ、俺も女の子に興味のある男なわけよ。ましてや、同室にいるのが可愛い女の子だとなんというか・・・」


「か、可愛・・・もしかして・・・やっぱり嫌だった?」


真っ赤になった顔で不安そうに上目遣いで俺を覗き込んでくる。その表情は反則です!


「全然嫌じゃないよ!むしろ嬉しいくらいだよ!土下座して一緒の部屋にしてくださいって頼みたいくらい!!」


「ふふ、だったらいいじゃない。それに、昨日も一昨日も一緒だったでしょう?」


そういえばそうだったな。


「それに4ヶ月も一緒にいるんだよ?ヨーヘーが私の本当に嫌がる事はしないって事はわかってるつもり。」


そりゃ嫌われたくないですからね。


「(それにね、1人は嫌なの・・・)」


「ん?今なんか言った?」


「これからもお願いねって言ったの。」


「あ、はい。こちらこそお願いします。」


それから部屋で雑談しつつ少し休憩して、町に買出しに行く事にした。

探すものは、時計、布団、木材、紙だ。紙は最悪木材から作るけど、結構使われているみたいなので現物が手に入るならその方が楽だな。


「まずは布団だな。これ最優先だ。」


宿屋の女将に布団や時計を売っている店の場所を聞いておいた。時計があるか心配だったけど、普通にあるらしい。

布団屋に着くと敷布団や毛布、掛け布団が一杯売られていた。一式購入しようとすると、2千レンス必要とのこと。お金が足りない。


「ヨーヘー、お金はこれを使ってね。でも一組でいいの?」


折角の好意なので、ありがたくお金を受け取った。その際にアリアにだけ聞こえるようにクローンで増やすからと伝えておいた。

その他にも生地の販売もあったので、数種類の生地を1mずつ購入しておいた。



次は魔道具屋だ。


時計は魔道具に分類されるらしい。

現物を見てみると、確かにこれは魔道具だ。

透明な硝子の筒が輪になっている物の中に青い液体と赤い石のような物が入っている。青い液体は魔素液で赤い石は魔素液に反応して一定速度で動く魔結晶だそうだ。この筒の長さを調整して24時間で1周するように作るらしい。1日に1回魔力を込める物から1年に1回込める物まであって、魔力込めのスパンが長い方が高いらしい。毎日魔力込めるのは面倒なので1年版を1個購入することにする。腐っても魔道具3千レンスした・・・。アリアごめん。



次は材木屋だ。


板状の木材を木の種類毎に購入しておく。あ、これなんかひのきっぽいな。これでお風呂作りたい。

石風呂もいいけど、ひのきのお風呂が出来るならそっちがいい。アリアにお願いしてこれも買ってもらった。


最後に行ったのは雑貨屋。

紙と筆記用具を買う為だ。何に必要なのか。それは今日から始まる文字のお勉強だよ。

そうだ、石鹸なんかもなかったな。お、シャンプーもあるのか。これらも買っておこう。その他にも必要な生活用品を購入しておいた。

目的の物を買ったら、アリアがアクセサリーコーナーでネックレスを見ていた。

隣に行き一緒に見ているとアリアがピンクの石が嵌められたネックレスを手に取った。


「ヨーヘー、これ似合うー?」


なにこれ、デートみたい。テンション上がってきた。


「うん、アリアの髪とマッチしてすごく似合うよ。」


「えへへ、ありがと♪」


価格は・・200レンスか。これなら買えるな。


「アリア、それプレゼントさせてくれない?」


「え?そんな、悪いよ。」


「日頃お世話になってるから、そのお礼も込めてプレゼントしたいんだけど、迷惑じゃなかったら貰って欲しい。」


「うん、そういうことなら・・・」


アリアからペンダントを受け取り、鍛冶屋で手に入れたお金から会計を済ませる。


「はい、アリア。」


「ありがとう♪大事にするね!」


「安物だけどねー」


「値段なんて関係ないよ。これにはヨーヘーのありがとうの気持ちが込められてるから。大切にしないとヨーヘーに失礼でしょ?」


「あぁ、じゃあ大切にしてね。」


「うん♪」


買い物が終わったので宿に戻る事にする。アリアは早速ペンダントを身に着けていた。

時折ペンダントを見てはニヤけている。


「なんかお金一杯使わせちゃってごめんね。」


かく言う俺も残金100レンスですが。


「ううん。楽しかったからいいの。仲間と買い物するのって楽しいね!」


「確かに友達と一緒に買い物って楽しいよね。」


「友達・・・うん!そうだね!!楽しいよね!!」


「まぁそれでもアリアの負担が大きかったわけだから、頑張って稼ぐよ。」


「頑張って一緒に稼ぐ、だよ。置いていったら怒るからねー♪」


「はは、わかってるよ。」


アリアご機嫌だなー。俺もそんなアリアを見ていて楽しくなった。




宿に戻ると丁度夕飯の時間になっていたので、食堂で夕飯を食べた。

今日のメニューは豆料理であった。お、結構いける。この世界の調味料も欲しいな。お金稼いだら探してみよう。

それにしてもこの豆料理、お米が欲しくなる味だ。そう思っていると。


「これ、お米が欲しくなるね。」


おお!?アリアの米信者計画がうまく行ってるのか!?2回しか食べてないはずだが、朝の納豆ご飯が良かったんだろうか?よしこの調子で頑張るぞ!



夕食後、俺は今日買った材料で魔法の袋(家)内の家具を充実させた。木材から風呂を作成し、ついでに思いついたサウナも作ってみた。今まで布で仕切っていたトイレや脱衣所に木製のドアを作成。そして石製だったベッドを作り直す。基本は木で枠を作り、鉄を加工してスプリングなんかも付けてやった。ふっ、この沈み具合が最高だぜ!広く眠りたいからサイズは以前のと同じダブルベッドサイズ。そこに買ってきた布団を敷いて完成だ。枕は俺好みの硬さに変更する。俺は柔らかい方が好きなので、柔らかめだ。1式完成したので、クローンでアリアの分も複製した。

あとはウール系の素材を使って絨毯を作成してメインルームに敷いた。これで土足厳禁だ。入り口に靴脱ぎ場を作らないとな。あとは・・・あ、椅子とテーブルも木製に変えておこうか。石製のままだと重いから持ち運びするのに魔法を使わないといけないから面倒だしね。ついでに寛げるソファ作っちゃおう。

うん、かなり充実したな。クリエイトを駆使して作ったので、これまでの作業時間は30分程だ。ホント便利な魔法だなー。

そういえば、俺は服持ってなかった。今の格好は異世界に来た時のままジーパンと長袖のシャツだ。奇怪な目で見られてないからこのままでも問題はないかと思うけど、今までは毎日洗濯して同じ服を着ていたからか、ジーパンはともかくシャツは結構ボロくなってきた。リバースで戻せば新品のようになるけれども、そこまで思い入れのある服じゃないし、なによりずっと同じ服というのは飽きるしな。今日買った生地を素材にしてクリエイトで何種類か服を作っておこう。となるとタンスも必要だな。

・・・あ、この空間って縦横10メートルだけど、高さも10メートルあるんだよな。2階3階作っちゃおうか?

まぁ今はいいか。必要になったら作る事にしよう。


魔法の袋(家)から出て宿にの部屋に戻った俺はアリアにお風呂を勧めた。

その際に土足厳禁であることを伝えるのを忘れない。



「ヨーヘーお風呂出たよー。石のお風呂も良かったけど、木のお風呂ってなんか暖かい感じがしていいね。それとベッドがかなり変わってたね。今日さっそく使ってみたいけど、野営まで我慢かー・・・残念。でも部屋が全体的に素敵になったね。」


好評のようだ。というより俺もあのベッドで寝てみたい。しかし、自分達で決めたルールをいきなり破るのは幸先悪いので我慢するしかない。


さて、お勉強のお時間だ。


「じゃあ、文字の勉強始めよっかー」


「はい!アリア先生お願いします!!」


アリア先生に教えて貰ってわかったこと。それはローマ字みたいなもんだなーってことだった。母音と子音があって、読み言葉の発音通りに組み合わせて使うようだ。ローマ字で言うとソードという単語の場合、SwordではなくSordoと書くみたいな感じだ。とても覚えやすくて助かるが、アルファベットを覚えるのが大変だ。というわけで、さっきから書き取り練習を繰り返し行っている。他にも数字や単位の記号もあるようで、それも覚えないといけないな。



太陽がまだ昇らない時間・・・


「う、うぅ・・・・・・はっ!?」


跳ねるように起き上がった人影。

辺りを見回し隣のベッドで眠る人を見つける。


「・・・ヨーヘー・・・よかった・・・私は1人じゃない。」


安心したように彼女は再び眠りについた。

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