12話 冒険者ギルドに登録しよう。
冒険者ギルドに着いた俺達はちょっとドキドキしながら建物の中に足を踏み入れた。
新人いびりとかあるんだろうか?絡まれたくは無いが、テンプレを期待してしまっている俺もいる。異世界人と言っても迷い込んだだけでチート能力を持ってるわけじゃないから簡単に捻りつぶすとかいうテンプレ展開には持っていけないだろうけどね!
「こんにちは、冒険者ギルドへようこそ。本日はどうされましたか?」
そんなことを考えていたら職員らしき受付の女性に声を掛けられた。冒険者ギルドかぁ、改めて思うけどさすがファンタジーな異世界だ。普通に冒険者ギルドあるんだなー。
「えっと冒険者登録したいんですけど」
「新規登録ですか?」
「はい」
「お二人共ですか?」
「はい」
「わかりました。ではこちらに必要事項を書き込んでください。」
そういって、受付のお姉さんは登録用紙を渡してくる。
よし、記入するか。
「・・・・・・」
おぅ・・・読めねぇ・・・。
普通に会話ができるから文字もいけると思ったんだけど全然わからんな。法則性はあるっぽいんだけど、初めてみる文字だ。
アリアを見てみるとスラスラと記入しているのが目に入った。
「アリアさんアリアさん」
「ん?何?どうしたの?」
「オレ、文字ヨメナイ、カケナイ。・・・代筆をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「・・・今日の夜から勉強会かしらね。」
「お手間お掛けします。」
くそぅ、会話が出来るもんだから文字も日本語かと思ったのに全然違うじゃねーか。
今更こんな事が発覚するなんて修行の間文字を使ってなかったって事に軽く驚いたよ。
俺はアリアに代筆してもらって、冒険者ギルドに登録した。
「はい、確かに。アリア=イグナスさんにヨーヘー=イシカワさんですね。それではギルドカード発行手数料に100レンス頂きます。」
「・・・・・・」
やっべー、俺お金持ってないじゃん。100レンスってどれくらいだ?この世界の通貨とかも全然知らないことに今気付いた。日本円とかやっぱり使えないよね。ヤバイ、何か換金するか?しかし価値がわからん。あ、そういえばスマホとかの基板には金とかのレアメタルが使用されているって聞いたことがあるな。この世界の貴金属の価値がどんなもんかわからないけど、少なくとも換金はできるだろう。セパレーションで分離してクローンで増やせばまとまった料が確保できるはずだ。てかそんな面倒なことしなくても100レンスを貸してもらってクローンで増やしたほうがいいのか?いやいやいや、倫理的にアウトだろう!!どうしようもなくなった時以外はこの手はダメだ!・・・でもちょっとだけなら・・・いやいやいや!偽金作りはたぶん重罪だ!いや、でも待てよ?クローンは同じ物のコピーなんだから本物なわけだよな?相手も本物貰って嬉しい。俺も相手に満足してもらって嬉しい。WinWinじゃないですか。改めて考えてみるとクローンは優秀過ぎるな!ということで・・・いや!ダメだろう!いや、だが!しかし!!
「・・・あのぉ?」
「はっ!?・・・ち、ちなみに、は、払えない場合はどうすればいいんでしょう?さ、財布落としちゃって・・・ははは。」
「えっと、それでしたら仮登録にしますから、何か依頼を受けて頂いて、その報酬からお支払いして頂くというのはどうでしょう?」
そういうこともできるのか。入りやすいというのは本当なんだな。
「ここは私が払っておくからいいよ?はい、これ2人分で200レンスです。」
女神様!!女神様がここにいる!!そうだよね、アリアまで文無しなわけないよね。改めてアリアが一緒にいてくれて本当に良かった。
「はい。確かに頂きました。これで登録手続きは完了です。ではギルドカードの説明をしますね。これからお二人のギルドカードを作成致します。ギルドカードが出来ますとこの様なカードをお渡し致します。まず依頼を受ける場合は依頼書と一緒にギルドカードを提示して頂きます。その時にギルドカード内に依頼内容を登録して依頼開始となります。依頼内容は大きく分けて討伐系、採取系、運搬系、護衛系、雑務系にわかれています。採取系であれば、採取した物をギルドに収めて頂いて、採取物が依頼内容と相違がなければ依頼達成となります。雑務系であったら、依頼者に依頼完了通知を貰ってギルドに提出してください。これは運搬系、護衛系も手順は同じです。討伐系は依頼開始手続きを行った後に対象を討伐して頂きますと討伐時にギルドカードが討伐対象の魔素を吸い込み魔物の種類、討伐数がカウントされます。ギルドカードのこの部分が押し込めるようになっていますので、ここを押しますと魔素の吸収を行います。固体によって差はありますが、討伐後2時間程は魔素を放出し続けているはずですので、その間に魔素吸収を行ってください。魔素を吸収する範囲は大体50ミール程の範囲なので、遠距離攻撃で討伐した場合、討伐後に50ミール以内に近付いて吸収作業を行ってください。そうでないとギルドカードが魔素の吸収を行えません。依頼を受けていない魔物を討伐した場合も魔物の討伐記録は別項目で記録されます。報奨金が出ることもありますので、依頼とは関係なく魔物を討伐した時でも魔素吸収はしておいたほうがいいですよ。あと横取り防止の為もあるのですが、魔物を討伐した後は魔物の体内から魔結晶を取り出しますと魔素を放出しなくなります。魔結晶は売ることも出来ますので取り出しておくことをお勧め致します。最後に、討伐系、護衛系、運搬系、雑務系であればどこの冒険者ギルドであっても依頼達成処理ができますが、採取系に関しましては受注したギルドでの納品・報告を行ってください。依頼をこなすことが難しいといった場合はキャンセル手続きを行ってください。特にペナルティは発生しませんが、悪質であると判断された場合は冒険者資格を一時凍結されることもありますのでご注意ください。ここまで大丈夫ですか?」
ふむ、魔結晶ってなんだろう?そもそもどこに埋まってるんだろう?
「大丈夫です。」
しかし空気の読める俺はこんなところで話の腰を折ったりしない。
「ありがとうございます。では次にランクについてです。このギルドカードに『☆』マークが付いているのがわかりますか?」
あるな、星マーク。確認してお姉さんに頷く。
「この星マークがランクを表す表記になります。初心者は星1つ~3つ、中級者は星4つ~6つ、上級者は星7つ~9つになります。依頼板には初級・中級・上級のカテゴリで依頼が分けられていますのでご自身に合った依頼をそこから選んでください。依頼達成数・内容をギルド側で確認し、その資格有りと判断された場合にランクアップされます。頑張って上級冒険者を目指してくださいね!」
「頑張りますっ」
「ふふ、最後にギルドカードを紛失してしまった場合ですが、ギルドに記録が残っているので再発行は可能です。但し、再発行手数料として300レンス頂くことになります。手続きとしましては以前のカードを無効処理した上で新規カードを発行させて頂きますので悪用される可能性は低いと思われます。記録を戻せるのは最後にギルドにカード提出した時の状態までです。依頼を受けていない時でも魔物を討伐していたならこまめにギルドへ提出しておいた方がいいですよ。依頼中にギルドカードを紛失したが依頼内容は達成している場合は申請してください。こちらも調査の結果認められれば依頼達成とさせて頂きます。討伐依頼の際に紛失に気付かれていましたら、魔結晶と魔物の特徴となる部位を持参して頂けますでしょうか。以上で説明は終了ですが、何か質問はありますか?」
なるほどねー。
「魔物の素材とか依頼にない採取物の買取ってギルドでしていますか?」
「していますよ。買取可能な物に限られますが。」
「じゃあ何か見つけたらギルドに持ち込めばいいんですね。」
「はい。それで構いませんよ。鉱物系ならば鍛冶屋、薬草系なら道具屋でも買取はしてくれると思いますのでお話してみるといいですよ。」
「はい。ありがとうございます、あとは・・・今は大丈夫です。」
「はい!ではギルドカードの発行ですが、明日の朝以降に受け取りに来て頂けますか?」
「わかりました。」
「それとお二人はパーティを組まれますか?」
「あ、組みます。」
「それでしたらパーティ登録もしておきますね。明日までで構いませんのでパーティ名を決めておいてください。」
「わかりましたー。」
「それでは、あなた方のご活躍を願い、冒険者ギルドはお二人を歓迎致します。頑張ってくださいね。」
そう言われると頑張りたくなってしまうな。
早速どんな依頼があるのか見てみるか。
依頼板のところに向かい、貼られている依頼表を確認する。
ふんふん、なるほどねー。・・・えーっと?・・・むぅ読めん!
「アリアー、どんな依頼があるのか教えてください」
「んとね、私達が受けられる星1の依頼だと、[運搬]荷物の運搬、[採取]食用キノコ採集、[採取]川の石を拾ってきてほしい、[採取]お婆さんがいなくなった、[雑務]庭の草刈り、[雑務]豆の収穫手伝い、かな?」
「お婆さんのが凄い気になるんだけど・・・[採取]って・・・」
「お婆さんがいなくなった?詳細はね、日頃よくいなくなるセリア婆さんが夜の間にいなくなってしまったので探してください。※注:ボケてるので自分のことを神様だと思っています。だって。」
「ご老人の徘徊じゃねーか!ボケてるってわかってるならちゃんと見張っておけよ!しかもセリアさんって探してるセリアさんとは別人だよな!?」
「お姉ちゃんはご老人じゃないよ!誕生日いつか知らないけどたしかまだ22か23歳だから!」
ということはセリアさんは俺とタメなのか。
「とりあえずその依頼はやめよう。厄介な未来しか待っていない気がする。」
依頼を受けるのはギルドカードを手に入れてからにして冒険者ギルドを出てアリアに話しかける。
「そういえばアリア、さっきはありがとう。100レンス、ちゃんと稼いで返すから。」
「うん?あぁ、別に気にしなくていいよ?沢山お金持ってるわけじゃないけど、な、仲間なんだから気にしないでー。」
うーん、でもなー。
「納得できないなら今度美味しい料理の作り方教えてね♪」
「あーうん。わかったよ。」
頷きはしたものの元々料理は教えるつもりだったからなぁ。
あとで何かお礼しよう。
というわけで、お金について聞いてみよう。
「あ、そうだ。悪いんだけどちょっとお金について教えてくれない?」
「うん、いいよ。」
そう言ってアリアはジャラっと布の袋の財布を取り出す。
「この銅貨が1レンスで、この大銅貨が10レンス、さっき出したこの銀貨が100レンスで、この大銀貨が1,000レンス。そしてこの金貨が10,0000レンス。あと私は持ってないんだけど大金貨があるの。大金貨は100,000レンスだよ。」
ほうほう。通貨の種類はわかった。桁か増えると種類が変わるんだな。
「価値がよくわからないな。」
「えっとね。大衆食堂で食事をすると30~100レンスくらいかかるかなぁ?」
なるほど、1レンス=10円くらいか。
つまりこういうことだな。
1レンス=10円
1レンス=銅貨=10円
10レンス=大銅貨=100円
100レンス=銀貨=1,000円
1,000レンス=大銀貨=10,000円
10,000レンス=金貨=100,000円
100,000レンス=大金貨=1,000,000円
お金の入手が急務だな。なんと言っても所持金0だから、少なくても今日の宿代くらい入手しないといけない。
ちなみに、魔法の袋(家)で寝ればいいと思うだろうが、折角だからその町の雰囲気を楽しもうということになり、余程の事がない限りは宿に泊まり、野営する時だけ魔法の袋(家)を使うという事になっている。まぁ風呂の時だけは使う事になるが。
今の状況は所持金0なわけだから余程の事に該当するんだけど、お金を手に入れられなかったら使う事にしよう。アリアにお金出して貰うのも気がひけるからね。
その事をアリアに言ったら、
「私の持ってるお金は2人の共通資金にするつもりだから気にしなくていいよ。仲間なんだから!」
と、気前のいいことを言ってくれている。いい子だなぁ。
まぁ、お金が多いに越した事はないからなんか売るかな。
よし、いっちょやってみるか。
バッテリーの切れたスマホを取り出して
「『クローン』」
これで俺のスマホが複製された。オリジナルの方は閉まっておいて、複製したほうを
「『セパレーション:ゴールド』」
さーって、でっきるっかなー?
ん?なんもない・・?ん~~?・・・あっ!これか!?ちっさ!金ちっさ!!
小さいことは小さいが、紛れも無く金である。少なくても出来てしまえばこっちのもんだ。
「『クローン』、『クローン』、『クローン』、『クローン』・・・」
「何やってるの?」
アリアが不思議そうにこっちを見ている。
ニヤッとアリアにちょっと悪い笑顔を向けて『クローン』を唱え続ける。
20個くらい複製したところで、気がついた。1個ずつ複製していたけど、複製した物も一緒に複製すれば、1、2、4、8、16、32と増えるじゃないか。早く気付けよ・・・俺。
「『クローン』、『クローン』、『クローン』、『クローン』・・・」
それから一気に効率が上がった。
だんだんキラキラしたものが増えてきて、アリアの表情に驚きが浮かび始める。
1万個くらいになったところで一旦止めた。
「ヨ、ヨ、ヨーヘー?こ、これってまさか・・・金」
「うん、そうだよ。このままじゃかさばるからまとめちゃうね。『クリエイト』」
無数の金粒が1つの金塊に変わっていく。
「ヨ、ヨーヘー!仕舞って!それすぐに仕舞って!!」
物凄く慌てた様子でアリアが金塊を仕舞うように言ってきたので言われた通りに魔法の袋に仕舞った。
周辺を警戒しているアリア。
・・・もしかしてやっちまった系だったりする?
「ふぅ・・・大丈夫そうね。それにしても金を作り出すなんて・・・ねぇ、ヨーヘーって錬金術使えたの?」
「錬金術?いや、このスマホ・・・アイテムなんだけど、部品に金が使われてるんだ。それをセパレーションで金だけ分離してクローンで複製していって、最後にクリエイトで1つの塊にまとめたんだけど。」
「そう・・・ヨーヘー、金貨じゃない金は扱いが難しいの。あれだけの量になると絶対に貴族から目をつけられるわ。この世界の金はね貴族にとっては人の命よりも重いんだよ。」
マジでか。嫌な話を聞いてしまった。
「アリア、金の他にも持ってたら貴族から目つけられそうなのってある?」
「えーっと、魔水晶とかもそうなるのかな?」
「魔水晶?」
「私達生き物は皆大なり小なり魔素を持っているの。その中で魔物と呼ばれる存在や魔族は体内に魔結晶っていうものを持っているんだよ。魔物から出た魔結晶は石みたいな物なんだけど、稀に透明度の高い結晶が生まれるの。それが魔水晶だよ。魔結晶よりも大量の魔力が蓄えられるから大規模魔道具とか魔法陣の触媒に使われるんだけど、とても高価なものなの。」
「へー、こんなやつ?」
ミイ師匠から預かった対憤怒の魔法師用最終兵器を取り出してみた。
「そう、それそれ。って!?仕舞って!それすぐに仕舞って!!」
さっきと同じやり取りをした。
「ねぇ、ヨーヘーってやっぱりバカなの?どうして危ないって言ってるのに危ない事するの?」
「ご、ごめんなさい。」
「そもそも・・・」
アリアがプリプリ怒ってる。頬を膨らませちゃって可愛い。
「ちょっとちゃんと聞いてる!?」
「はい!すいません!!」
その後アリアにこってり叱られました。




