表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
105/172

102話 障壁攻略

ハングーリが立ち去った後も、俺達は空き家に居残っていた。それは今後の動向について決める為だ。


「んじゃ、俺達の動きだけどどうしようか。まず障壁を中和できるってこと前提で話していこう。中和出来なかった場合は選択肢は1つしかないしな。」


「私達が城に行くタイミングってことだよね?安全なのは討伐隊の突入前、もしくは突入後しばらく経ってからだよね。」


「そうですね。討伐隊と一緒に入ってしまうと私達も一緒に憤怒・・・ユグドさんから攻撃を受けかねません。目的が討伐ならばそれでいいのでしょうが、私達の目的はそれではありません。」


「そうなると討伐隊と一緒に突入っていうのは無しか。一番確実に中に入れる方法ではあるんだけどね。まぁ障壁中和に失敗したらこの案で決定なわけだけど。次が最後の突入かもしれないっていう話だから、ギリギリ間に合って良かったよ。」


「私は討伐隊とのバッティングを避けて、明日か3日後に行くのがいいと思うなぁ。」


「私もアリアの意見に賛成です。」


「マグロはどう思う?」


「トロだ。ミーは今からでもいいと思うよ。先延ばしにしてもしょうがないしね。ただ3日後というのはちょっと賛成しかねるかな。」


「今からはやめようよ。さすがにあの馬車旅の後だぜ?ちょっと休みたいんだよ。そんで?3日後がダメな理由はなんかあるのか?」


「うむ、3日後というのは討伐隊が突入した後ということだろう?討伐隊は戦力的に以前よりも弱いと聞いている。ということは全員死ぬ可能性が高いということだ。もしミー達の説得が成功した場合、この中の誰かはこう思うはずだ。討伐隊の突入前に説得が成功していれば散らなくてもいい命が救えたのではないか・・・とね。」


マグロの癖にまともな事言いやがるな。何故だろうな、こいつに言われると正論だとしても釈然としないのは。癇に障るというかなんというか。しかしここは器の大きさを試されていると考えよう。


「ッチ、たしかにその通りだな。悔しいがマグロの言いたいことはわかる。」


「舌打ち!?それとなぜ悔しいという感情になるのか問い返してもいいかい!?」


「マグロの意見を採用すると明日じゃないとダメって気になってくるね。悔しいけど。」


「トロさんに気付かされるとは・・・なんだか自分が情けないです。」


「皆、ちょっとミーの評価について話し合わないか?これは今後大きな問題になるんじゃないかと危惧してしまうのだが。」


「よし、んじゃ不本意だがマグロの案を採用して明日城に乗り込むか。今日はゆっくり休んで明日に備えよう。あ、アリアはこの後俺と障壁の下見に行くよ。」


マグロがギャーギャー喚いているがとりあえず無視だ。

この空き家にマジカルハウスを設置して、トリスとタァマちゃんとマグロには俺達の偵察中の留守番をお願いした。

俺はアリアと自分にインビジブルとファブリーを掛けて隠密モードに入る。ミュートはお互いの声が聞こえなくなると面倒だから今回は無しだ。

インビジブルを掛けて気付いた事がある。これ、お互いの位置がわかんないな。とりあえず手でも繋いでおくか。

俺はアリアがいた場所に手を伸ばした。


「きゃっ!?なんでお尻を掴んでるの!?」


「あ、お尻だった?姿見えないから手を掴んでおこうかと思ったんだけど。なるほど、この割れ目は手じゃないよな。」


「ひぃあっ!?ちょ、ちょっとどこをさわってるの!?あっ、そこはっ!?」


「はっはっはっ、よいではないかよいではないか。んじゃ手を捜すのも面倒だし、このまま行こうかー。」


「ちょっ、待って、ねえヨーヘー!こらっ!バカヘー!」


空き家を出て30分程歩いた所で王城にたどり着いた。情報によるとこの中にユグドさんが引き篭もっ・・・篭城しているんだよな。

討伐隊の陣地から見て反対側にきているので、周りに人目は無い。その状態だと姿を消している意味はあまり無さそうなので、インビジブル等の隠密魔法は解除している。だってお互いが見えないと不便なんだもの。

というわけでインビジブルを解いた俺達は、互いの姿は見えている状態な訳だが、俺の隣ではアリアがプンスコ怒っている。俺はと言うと全身ボロボロな状態だ。

何故ボロボロなのかというと、あのままアリアの尻を掴んだ状態で移動していたら、なんとキレたアリアが攻撃してきたのだ。

最初はいつものスパコーンをしようとしていたみたいだったが、俺の姿か見えないのでうまく当らずに空ぶっていた。

それをちょっとからかったのがいけなかったんだろう。この子はいきなり範囲攻撃魔法撃ってきやがった。

魔法の効果範囲から逃げられなかった俺は甘んじてアリアの攻撃魔法を受けることになり、ボロボロになったわけですよ。

アリアも俺と同様にボロボロだ。そりゃ俺はアリアの尻を掴んでいたくらい至近距離にいたから、アリアも攻撃範囲の中にいるわけですよ。まさか捨て身の攻撃をしてくるとはね・・・。

俺は今回、親しき仲にも礼儀ありという言葉を身を持って学んだ。

いくら婚約したといっても、嫌がる事はしちゃダメだよね。言い訳をすると俺の意思を無視して俺の手がアリアの尻を離さないという不思議な現象が起こったんだ。だから俺は悪くない。俺は離そうと思ったもの。俺の手がいけないんだ。

しかしそんな言い訳が通用したら痴漢という犯罪はなくなることだろう。アリアには悪いことをしてしまった。お詫びとして今度俺の尻を触らせてあげようと思う。


改めて城を見てみる。

やっぱり高さは舞浜の城よりでかいなー。レジャーで使われているあの城と違って、実際にここで執務やらの仕事が行われていたわけだから、高さもそうだが横幅なんかは比べるまでもなくこの城の方がでかい。まぁ落城してからは整備されているわけではないので薄汚れていたり、一部破損したりしているけど、それでも威厳を感じる建物だ。

城の周りには堀が掘られていて水が張ってある。堀の幅は50m程だな。張られている水は濁っているから深さがよくわからない。

城への入口は今いる場所の反対側だけど、そこには橋が架けられていて、橋を渡ると唯一の入口である城門に辿りつける造りだ。

泳いで渡ってあの城壁を登るというのも出来なくは無いだろうが、結構面倒くさそうだ。濡れちゃうし、なによりこの水の中を泳ぎたくない。


「ふむ、これが障壁か。」


城の周りには城全体を覆うようにほぼ透明の障壁が張られていた。どんな物かと障壁に触れてみるとバチッと電気が走り、手を弾かれてしまった。


「うわっ、ちょっとヨーヘー大丈夫?」


「ダメ、凄く痛い。もう帰りたい。帰ってもいいかな?」


正直に言おう、思ったより痛くてビビっている。アリアがいなかったらたぶん泣いてた。奮い立て、男の見栄!!


「が、頑張って!まだ何も解析出来てないから帰っちゃダメだよ。」


「触れるととても痛いって事がわかったけどなっ」


まだビリビリしてる手にヒールを掛けて貰いながら、俺に痛い思いをさせてくれた障壁を睨む。

どんな術式使ってんだこの野郎。痛いなら痛いって言えってんだよ。もう痛いのは嫌だし、ちょっと詳しく構成を解析してやる!


「『アナライズ』」


えーっと何々。この表面は光属性かな?この部分がセンサーになっていて、障壁に触れるものを感知するわけか。次の層が雷属性の障壁でここを抜けようとすると感電すると。こいつか、こいつがさっき俺の手に痛い思いをさせた奴か。どうしてくれよう、さっきの俺みたいに大体はこの層で弾かれる事になるんだろう。だが所詮は電気だ。全身をゴムで纏えば突破できるんじゃないか?これなら意外と簡単に突破できそう・・・と思っていたら3層目があったよ。2層目の雷層を抜けたとしても3層目に土属性の障壁があることがわかった。しかも結構な強度になるっぽい。これは抜けるのは大変そうだな。効果を解析すると目に見えない程小さな微粒子が3層目の大気中に舞っていて、1層目の光センサーに感知されると、この粒子が収束して物理的な障壁を形成する構造になっているみたいだ。それより先には・・・何も無いかな?全部で3層の障壁ということになる。2層目の発動条件も1層目の光センサーに引っ掛かった物に対して起動するようだから、1層目で探知されなければ素通りできるんじゃないか?城を覆うくらいでかい障壁だと維持も馬鹿にならない魔力を使わなくちゃいけないというデメリットを、1層目で感知した部分を瞬間的にピンポイントで守るようにすることで省エネが実現されているわけだ。

ということで、問題はどうやって1層目で誤魔化せるかって話だよな。うーん・・・。


「どう?何かわかった?」


俺が悩みだした事で、アリアが声を掛けてきたのでアナライズで分析した結果を伝えると、俺同様にうんうん考え始めてしまった。

考えててもしょうがないよな。折角目の前に問題の障壁があるんだから、どうにかして突破できる方法を見つけてからじゃないと何も始まらないよな。

こうなったら数打ちゃ当る作戦で効果がありそうな事を実践するか。


「まずは『イレイズ』」


イレイズ発生中は障壁が消えたけどイレイズの効果が無くなったらすぐに補完されてしまった。イレイズを複数並べてドーナツ状すれば真ん中通れるかなと思ってやってみたけど障壁は消えなかった。


「んじゃ、力技だっ!『ロックランス』!!」


バチィッ!!

わぉ、2層目で砕けちゃったよ。意外と雷層突破するのも骨が折れるかもしれないぞ。そうなると2層目を無効化させる方法でいかないといけないな。


「というわけで、これでどうだ!『クリエイト』」


輪ゴムを素材にして全身ゴムスーツを作ってみた。これなら電気は通さないはず。だから痛くないはずだ。早速いってみよう。レッツ装☆着!

顔以外を覆うゴムスーツを着こなした俺は、さっき痛い思いをしたトラウマを抑え込みつつ恐る恐る2層目に触れてみた。

触れている部分に電気が発生しているようだが、ゴム人間な俺に効果は無い。

ふっ、痛くない、痛くないぞっ!ふはははっ!ついに俺は電気を克服した!よし、このまま一気に突破するぜっ!

しかしこのまま突っ込んでしまうと、ゴムに覆われていない顔は大ダメージを喰らってしまうだろう。

俺はそんなミスをする程マヌケではないし、御茶目さんでもない。

隙間も出来ないようにトランスフォームでゴムスーツを変形させて、全身を完璧にゴムで塞いでやった。

・・・完璧だ。完璧過ぎる。これで電気が俺を襲うことはないだろう。全身を覆ってしまったが為に前が見えないのが難点だが、障壁のある方向はわかっている。

俺はクラウチングスタートの構えをして、足に力を溜めた。


「洋平、行きまーーーっす!!」


脳筋アターーーック!!


ダッ!

ゴッ!

ドサッ!


「・・・・・・」


説明しようっ!

ダッ!で地面を思い切り蹴ってダッシュした。

ゴッ!で忘れてた3層目に顔面からぶち当たった。

ドサッ!で俺が地面に倒れこんだ。

そしてアリアが無言でその様を見つめていたという構図だ!


見事に玉砕した俺は地面に転がって悶絶している。チクショウ騙された。ゴム人間は打撃に強いんじゃないのか?麦わらの人はいくら殴られても平気そうだったのに!メチャクチャ痛いじゃねーか。はっ!?まさかこの障壁は覇気・・・いや、なんでもない。それにしても顔面がとても痛い。これはもしかしたら血が出てるかもしれない。ゴムだから大丈夫という根拠の無い情報を信用して、思いっきり突っ込んだ俺はひょっとすると馬鹿なのかもしれ・・・いやそんなことはないはずだ!。


「ヨーヘー!?なんか凄い音がしたよ!?ねぇ平気なの?ねぇ!ねぇってば!」


アリアが思い出したように俺に駆け寄って、足を引っ張り障壁から遠ざけると、返事のない俺をしきりに心配してくれていた。やっぱりアリアは優しいなぁ。心なしかアリアの声にだんだん焦りが混じり始めている気がする。まぁそうだろうな。俺は今ビクンビクンと痙攣しているわけだから。慌ててヒールを掛けてくれるが、俺の痙攣は止まらない。傷は治っているはずなのに、俺の様子がおかしい事にアリアはかなり動揺しているようだ。まぁそれも無理は無い。この痙攣は痛みからじゃないからな。別に打ち所が悪かったわけじゃないぞ。原因は他にあるんだ。考えてもみてほしい。俺は今全身隙間なくゴムで覆われている。電気にビビッて完璧に塞いでやったからな。その弊害で酸素も入ってこなくなってしまった。結果呼吸が出来なくて酸欠状態になってしまっているのだ。やる前に気付けっていうんだよなー。あっはっはー・・・うぐっ・・解説なんてしてる場合じゃなかった・・・ぐ、ぐるじぃ・・・助け・・・ぐふっ。


~fin~






はい、死んでませんよ。原因に気付いたアリアが短剣で口の部分に穴を開けてくれたのだ。ちょっと口を切ってしまったが、それはアリアがヒールで治療してくれた。

それにしても意識が暗転してから、アリアに助けられる間に出会った人は、いったい誰だったんだろう?辺りを見回してもその姿は見えない。

パンチパーマっぽい髪型で、額にボタンを付いているという奇抜なファッションセンスの持ち主だったな。なんか全てを悟ったのような穏やかな顔をしていて、その穏やかな表情を見てるとなぜか安心できたなぁ。

初対面である俺に対して、苦しみについて熱く語ってくれた。全ての物は変わりゆくものだとか、因果関係がどうだとか難しいことを言っていた気がするが、よくわからなかったので相槌だけ打っておいた。

今度会う事があったらどういう意味か聞いてみよう。



さて、気を取り直して障壁攻略の続きいきますか。


「本命『ディスペル』」


パリーンっという音と共に障壁が無くなったのは予想通りなんだが、なんか3秒くらいでに元に戻ってしまった。

修復能力すげーな。まぁでも3秒以内に障壁の部分を突破出来ればいいってことだよな。うんうん、なんとか攻略の糸口は見えたぞ。


あ、そういえば1層が光センサーなわけだから透明だったら探知されないんじゃね?


「『インビジブル』」


体が透明になったをの確認してそーっと障壁に触れてみる。

そろそろ2層に到達する頃だ・・・お?バチッてこない?通れる・・・のか?おー、いけるいける!これでいいじゃーん。

透明になったので見つかる事もないと思い、アリアに声を掛けて反対側、つまり橋が架かっている所まで移動した俺は、他にトラップが無いかを確認しつつ慎重に橋を渡る。他にはトラップ等は見つからなかったので、何事も無く城門まで無事にたどり着けたので、スキップしながらアリアの元まで戻ってきた。

うん、これなら安全に突破できるな。


「はい、実験結果を発表します。通り抜けるにはディスペルで障壁が消えている間に突破するか、インビジブルで光の層に探知されないようにして通過するという2つの実験が成功しました。あとはテレポートだけど、これは疲れるからできれば実験したくないです!」


「ご苦労様。つまり特殊魔法なら障壁を中和させなくても突破できるってことだね。その中で一番安全そうなのはインビジブルかな?」


「だね。ディスペルだと3秒くらいで障壁が元に戻っちゃったから、マグロ辺りがモタモタして失敗しそうな気がするんだよね。キャラ的に。」


「ヨーヘーってマグロの評価凄く低いよね。まぁその未来が私にも容易に想像できちゃうのがなんか悲しいけど。」


「まぁマグロのことはいいだろう。障壁攻略についてだけど、今回はインビジブルを使うのがいいと思うんだ。さっきインビジブルで城門まで到達できたからね。」


「それが一番確実だよね。その案で作戦を考えようよ。って城門まで行ってたの!?ハァ・・・とりあえず皆の所に戻って作戦会議しましょ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ