第三十話 「いっちゃん、伯母さん宅へ帰る」
昼は工場、夜は定時制高校に通う生活を送る、いっちゃん。
忙しくても、学べることが楽しい、いっちゃんでしたが……。
G社では定時制の高校へも行かせてもらえた。
元々、教師になりたいと思っていた私は、とりあえず、高校に入らないと話にならないと思っていたので、これは嬉しかった。
高校の制服を初めて着た時は、「ああ、私も高校生になったんだ」と嬉しくなった。
勤務との両立は、最初は大変だった。慣れない重労働で途中から一日の仕事まとめもするようになったため、高校へはいつも遅刻ギリギリで通っていた。周りの同級生は、戦争で両親を無くした子がいたり、成人してから来ている人もいた。私は、そんな様々な境遇の人たちと一緒に学ぶのが楽しかった。
そのうち、工務事務所で働くようになってからは、比較的、仕事が早く終わることが多かったため、随分、楽になっていた。
しかし、ある日、私は少し呼吸が苦しくなって倒れた。
会社の上司に付き添ってもらい、病院で検査してもらうと、「少し心臓が弱っているから、しばらく安静するように」と言われた。
会社からは1ヶ月の自宅療養を命じられた。寮にいても、昼間は誰もおらず、何かあってもすぐに対応することができないため、実家に帰るように言われたのだ。
仕方なく私は、伯母の家に帰り、養生することになった。
(つづく)
ようやく手に入れた自分の居場所、そして学びの道。
しかし、病気のせいで再び伯母さんの家へと戻ることになったいっちゃん。
運命がまた変わってゆきます。
来週もお楽しみに。




