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水の泡
水の泡になった。人魚は海に沈みながら考える。別に恋したり、人間になったりしていない。さっきシャチに遊ばれて、波間でドリブルされたのだ。
綺麗な泡が海面へと上がっていく。体はどんどん水底へ沈んでいく。
いろいろ頑張ったのに。綺麗な珊瑚を集めたり、知らない歌を歌う生き物と浜辺でデュエットしたり、夏をエンジョイしていたのに。
シャチに言われた言葉を考える。──まどろっこしい、さっさとくっつけ!
何と何が?
浜辺で歌っておやつをくれる人が、シャチに突き飛ばされた人魚を助けようとしたのが陸で見た最後の記憶。無事だといい。
シャチが戻ってきてまた突き飛ばしてくる。
人魚には何も伝わらない。
#Monthly300 @mon300nov
毎月300字小説企画第44回お題・泡




