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バレバレ

 来夢の不自然な動きに敵も栞も首を傾げる。


 目線がまずおかしい。本来敵の動きに注意がいくものだが来夢の目線を辿ると栞のスカート付近に行っている。


 栞を押さえ込んでいる敵が試しにスカートの裾をめくれない程度につまんでみる。


 来夢が露骨に反応する。上がらないのかよと言わんばかりの態度。栞も引きつった表情で来夢の意図を汲み取ろうとする。


 この男、この期に及んで女性の痴態が見たいのではなかろうか、しかも人質となっている女性の痴態を。


 性癖だろうか、いや間違いなく性癖に違いない。


 このようなシチュエーションにしか興奮を覚えない男が少なからずいるとは聞いていたがまさか正義のヒーローを名乗る人物がそれとは。


 しかもこのタイミングで。


 栞は自分の置かれているピンチの状況でありながら失望を通り越して呆れた。


 敵の方も察したのか、来夢に問いかける。


「お前、最低だな」


「何が?」


気取られているとは微塵も気づいていない来夢は動揺を抑えつつ男に返す。


「何がって?お前スカートの中覗こうとしてんだろ、バレバレなんだよ」


「えっ?な、何言ってんの?お、俺そ、そそそんな、こちょ、事してないですけど?」


動揺が隠せない。


「噛んでんじゃねえか、明らかに動揺してんだろ?見たいなら見せてくださいって土下座しろよ、そうすれば見せてやらなくもないぜ」


「そ、そんなことして見ろ。ただじゃおかねえぞ」


 とは言いつつ見せてもらえば正々堂々変身できる。ただじゃおかない事にもできる。一石二鳥だ。


「最低!そういう等価交換ですか。見損ないました」


 栞は蔑んだ目で来夢に叫ぶ。


「い、嫌違うんだ、違わないけどそういう意味じゃなくて兎に角、違うの!」


「何が違うんですか?理由を」


「俺はそれを見ないと変身出来ないんだ!だから変身する姿を君に見せられないと言ったんだ」


「はっ?」


栞は訳がわからないと怒り露わにした。


「面白え。なんか知らないけど仲間割れか。――まっ、俺はどっちでもいいけどな。見たきゃ冥土の土産に見せてやるよ。布っ切れを」


敵の手が上がりかけた時、他の男が声を上げた。


「止めろ!」


「はっ?何だよパンツ見たくてしようがねえ変態にパンツ見せてやったところでボコボコにしてやる最高じゃねえか。邪魔すん――」


 栞を掴んでいた男の首が吹っ飛ぶ。栞の顔や制服に血飛沫が点々と。


 膝から崩れ落ちた栞の足はM字に。


 その瞬間、来夢の鼓動が爆音をあげる。焦らされた分、始動までのサイクルが異常に早い。


「お、おおおおぁっ!」


 栞は何が始まるのか分からず困惑した表情を浮かべる。首をはねた男は、忌々しげに来夢の様子を見つめている。


 「ちっ、遅かったか……」


「お前何すんだ!」


他の敵が首をはねた男に一斉に飛びかかる。一瞬で全員の首が飛ぶ。


 恐怖に打ち震えながら腰の抜けた状態で後ずさる栞を捕まえようとする男。


 その手が栞にかかる前にバイブマンとなった来夢の拳が男の頰に炸裂した。


 男は数十メートル地面を滑るように土埃を巻き上げながら後ろへと弾かれた。



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