チャンス
「チャンスなんじゃねえか?」
昼休み。屋上にていつものように来夢と宗田は作戦会議中。雲一つない青空の中、他の生徒たちは彼らに構うことなくいつもの時が流れゆく。
宗田は相変わらずお気に入りの唐揚げを頬張る。
「チャンスって何がだよ。俺は脅されてんだぞ。絵音にも根掘り葉掘り聞かれるし。誤魔化すのが大変だったんだからな。それに最近絵音のやつともうまくいってないし……」
「なんかあったのか?」
香ばしい醤油と鶏肉の相まったニオイが来夢の鼻を刺激する。お構いなしに一つ愛おしげに口に運ぶ宗田。
「あり過ぎで女性不信になりそうだ」
来夢は絵音の口から電マやらシコるやらキラーワードをぶち込まれた事、そしてショックを受けている自分の胸の内をぶちまけた。
「ま、まぁよぉ……。俺達も思春期な訳だし?情報量も半端ねえ世の中だからどこで仕入れてきても不思議じゃないけどもさぁ」
「だよな……。でもいざ、それ聞いちゃうと何だか」
「わかるよ、オメエの気持ちも確かにさ。わかるけどよ?俺達だって女子から見れば猥談してたり、アイドルに鼻の下伸ばしてる充分キモい存在なわけ。ま、人の振り見て我が振り直せとも言うし、良い教訓じゃねえ?」
「でもよ……」
「はいはい、その話しはそこまで!それよか、放課後、その栞ちゃんにあうっちゅうならチャンスだろって話し」
今日は来夢に分け与える事もなく唐揚げを完食してしまった宗田。来夢の目線には気づいていたがやたら女の子と絡める来夢が羨ましすぎてあえてガン無視したのであった。
「チャンスって何だよ」
再び問う来夢。まだ合点のいかない顔つきだ。
「だってよ?お前の変身トリガーがわざわざ向こうから鴨がネギもとい女子がパンツ下げてやってくるんだぜ、こんなチャンスモノにしなきゃ嘘だろ?」
「言い方。まるで俺がめちゃくちゃ飢えた変態みてぇじゃねえか。明けても暮れても女のパンツ欲してるようにしか聞こえねえぞ?他人が聞いたら」
「仕様がないだろ、それが変身トリガーなんだから。変身できなきゃ戦えないだろーが!変身できないイケメンなんかその辺の変態にも劣るよ」
「何だよその理屈。微塵も理解できねえよ?」
「じゃあお前敵が現れた時どーすんだよ!土下座してその辺の女の子に頼むのか?それこそ見てられねえよ。それにそうですか、わかりましたなんて聞き分けいい女の子いるわけねえだろう!通報されて捕まるのがオチだぞ。ヒーローが人助けの前に変態行為で逮捕じゃシャレになんねえよ」
そこは一理ある。来夢は沈黙するしかなかった。 ラッキースケベがそう毎回あるわけでもない。かといって宗田の言うように誰かに頼む訳にもいかないだろうし、仮にその方法しかないとしても絶対にイヤだ。
「な?だから、頼め!それしかない。俺もついてこうか?」
「お前が来たら話し抉れる。いいよ、頼むのはイヤだが何とかするし」
来夢は青い空を厳しい顔で眺めた。




