第十話 恋は遅刻すると負ける
告白回であり、最終決戦回です。
ラビの決め台詞も回収します。
時計塔が崩れ始めた。
黒い手が空を覆う。
それは、名前のない不安だった。
また失うかもしれない。
また裏切られるかもしれない。
また独りになるかもしれない。
誰の心にもある、終わらない恐怖。
ミオの体が光に包まれる。
「レイ、もういいよ」
「よくない」
「私は、あなたが進めたなら、それで――」
「勝手に終わるな!」
俺は叫んだ。
ミオが目を見開く。
ラビが懐中時計を投げてよこす。
「レイ! 言葉にしろ!」
「何を!」
「恋は遅刻すると負ける!」
こんな時まで白兎だった。
でも、その通りだった。
俺はずっと遅れていた。
言いたいことを飲み込んで、怖がって、逃げて。
だから今度は、遅れない。
俺はミオの手を掴んだ。
「ミオ!」
「レイ……」
「俺は君に救われた」
黒い手が迫る。
「でも、救われたから好きなんじゃない」
俺は息を吸った。
「君が笑うと嬉しい。君が泣くと苦しい。君がいなくなる未来なんて嫌だ」
ミオの瞳が揺れる。
「夢でも、物語でも、半分だけ本当でもいい」
俺は叫んだ。
「俺は、ミオが好きだ!」
世界が止まった。
ミオの目から涙がこぼれる。
「私も……レイが好き」
その瞬間、俺の視界に文字が浮かんだ。
白い光が爆発した。
黒い手が砕ける。
時計塔が再生する。
空に無数の時計が浮かび、すべての針が動き出す。
ラビが拍手する。
「採用!」
「何にだよ!」
「人生にだよ」
ミオが泣きながら笑った。
俺も笑った。
ようやく、心から。
告白と決着の回でした。
次回、最終話です。
次話
最終話 瞬きの中で始まるストーリー




