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領都

領都でもしばらくソロで依頼を受けていた。領都の様な都会では依頼の報酬が高くテキトーなモンスター狩りをするより、確実な依頼に取り組む事が効率的だった。

 特にソロの冒険者は少ないためそこそこの実力者であれば安定的に稼げるのが心地よく、数ヶ月もソロで活動する事になった。本当は別れの寂しさに怯えていただけだ、運よく親しい人が亡くなる場面に合わなかっただけで、犠牲が出ることが当たり前の仕事だ。

 ただ、面倒見が良い先輩や仲良くなった冒険者仲間に誘われ大型のレイドや臨時パーティを組む事はあった。

 だから人とのつながり絶やさないようにしていた。

 その日もたまたま知り合った冒険者仲間のリンダに何でパーティに入らないのかを聞かれ、最初は誤魔化していたがあまりにも絡まれ、俺も酔っていた事もあり、本心を叫ぶと笑われた、盛大に笑われた。酒場にいる皆に笑われ、寂しいと叫びながらどんちゃん騒ぎをした後日、ギルドマスターに呼び出された。

 死ぬほど恥ずかしかったが、出向かないわけにもいかず、ギルドマスターに会うと新人の育成に協力して欲しいとお願いされた。

 それで紹介されたのがバリーとメアリーと言う駆け出し冒険者だった。


 将来的に更に上を目指すならギルドへの貢献度は絶対だと先輩でこの街のギルドでも古株のサトーさんに言われていたことだ、期限は3ヶ月でアイアンクラスの実力を身に付けさせる事が目標だ。

 自分が数年かけてアイアンになった事を考えれば早すぎるスピードだが、指導者ありで、事前に試験も受け才気ある若者だ。

 国からも補助金と両親からも報酬が支払われるため、俺としてありがたい話だが、なぜ俺の様な素性が不確かな者を起用するのかを聞いたところ、全部調べたこと、以来達成率が100%で女やギャンブルに染まらず倹約家であるがギルド仲間からの信頼も厚い事が理由だと言われ、恥ずかしかったが受ける事にした。

 2人は絵に描いた様な優等生で家が貴族では無かったため、騎士学校には通えないから冒険者になって実戦で実力をつけたいが二人ともこの領都では名家の生まれのため、邪な考えやただ取り入ろうとする太鼓持ちが自然と集まってくるため、その指導者役には慎重になっており、更に最近は魔物が活性していることから領主もその騎士団も忙しく、ギルドの実力者も特殊任務やレイドのリーダーなど、外せないポジションとなっている。

 ギルドマスター曰く、そんなてんやわんやのなかで別れの寂しさでパーティを組めないと嘆く若者になら任せてもいいか、いやお前ももっと重責を味わえと思い任せる事にしたようだ。


 バリーとメアリーに基本的な事を教えるのに対して時間は掛からなかった。基本がしっかりしている2人にはより実戦で教える事にした。

 ただ野宿や解体、スカウト能力は知識として知っている様だが経験不足の様できっちり教え込む事にした。

 領都デモクラウスでの中級向けの依頼は主に南側から侵攻してくるオーク族との衝突、これは騎士団が管理しているが戦力を増加するため冒険者の参加も率先して行われている。他には北のバレナ高地でのバレナパイソンの討伐と卵の回収だ。

 他にもあるが、基本はこの二つを安定的にこなせる事を目指す。

 とりあえず、騎士団の戦闘も勉強になるオーク討伐を受ける。無限のように無作為に侵攻してくるオークを騎士団の指揮の元、討伐していく。

 そこそこ良い稼ぎであり、比較的に安全にオーク狩りができ、2人には学ぶべきポイントをしっかり教えられたと思う。

 そこでバレナパイソンの討伐依頼を受ける事にするが、流石にBランクモンスターを2人で倒す事は出来ないため、メインで戦うのは俺だ。

 もうすぐ、4回目の土の月を目前に俺のレベルは25になっていた。

 すでにBランクモンスターをソロで狩れる実力があるが、2人の成長のため活躍の場を作りつつ、2週間が立つ頃には危なっかしい場面が無くなり、シルバー目前の実力となっている。

 本来ならアイアンが3名程度でBランクモンスターを狩れればシルバークラスになれるがシルバークラスでも上位の俺がいる為、もう少しだけ依頼達成件数的にかかるだろうが、期限には十分、間に合うだろう。

 そんなある日、領都に警報が鳴った。


 けたたましい警報に焦ったが、いままでの経験が自信となって落ち着きを取り戻し、ギルドに急ぐ、そこにはすでに多くの冒険者や衛兵が集まっていた。

 しばらくするとギルドマスターと騎士団の副団長がロビーに現れ、オークキングが大群を率いて領都に侵攻を開始したと告げる。

 オークキングの侵攻は今回で2回目、前回は何とか迎撃したが討伐はできず、しかも今回は前回の倍はモンスターが集結しているらしく、防衛戦に徹し隣接する他領の援軍が着次第、反撃する作戦だそうだ。


 防衛戦1日目、敵の本陣は遠いため、遠距離を主軸に敵の数を減らす作戦、2日目も同様、3日目となる敵のプレッシャーがキツくそうそうに領都に退避して最初の大魔法ダイダルウェーブが敵に押し押せる。

 何とか距離を取れたので、また領都から出て遠距離を主軸に攻撃するが、すぐにモンスターの津波が領都に押し押せる。

 最初の防衛戦初日から1週間が過ぎ寝る暇も無く、押し押せるモンスターに疲弊する中、2回目の大魔法インフェルノが放たれ、領都側にしがみついていた残党を追い払うと、一時の休息が訪れたが、すぐにオークキング率いる敵本陣が前進を開始した。

 皆、絶望的な表情となったが、そこに嬉しい報告があった。他領のナバール侯爵率いる騎士団が到着、早々にオークキング率いる一団の横っ腹に突撃した。

 オークキングを怯ませるとともに領都側からも遠距離攻撃が降り注ぐ、オークキングは一時的に撤退するが諦めてはいないようで、森の中からこちらを伺っている。

 いつ攻撃が来るか分からないため、見張りを残し、領都の防壁内で休む事になった。


 ナバール騎士団は防壁の外、森を側面から攻め立てる位置に後退し、陣地を構築し睨み合いが続く。

 俺はバリーとメアリーにそれぞれ休む様に声をかけるのが精一杯だった。自分もこんな経験はないため、ギルドの先輩や職員に確認し、騎士団の号令に従うしかなかった。

 かなり疲弊はしているものの、援軍の到着は嬉しい、他の街のギルドからも応援は多少来ていたが知り合いはいなかった。

 そして、夕暮れモンスターが突如叫び出し突撃を開始した。

 ナバール騎士団が側面から攻め立てる、こちらも防壁から外に出て迎え撃つ、最初に大魔法のダイダルウェーブが敵を押し流し、隊列が大きく崩れたため、弓などの遠距離攻撃が効果を発揮する。

 何とか抜けてきた数匹を仕留めるだけで、かなり優勢に戦いは進んだ。

 しかし、遠くの森に異変が発生する。木が倒れ、森が割れていくのが見えた。

 不安で目を逸らせない。遠くの監視台が何か大声を上げているが何を言っているのかが分からない、そしてそれは顔を覗かせる。

 ドラゴンだと分かった時にはブレスが防壁を粉砕していた。離れたこちらまで熱が伝わってくる。顔を覆い防御していると横をナバール騎士団がオークキング目掛けて突撃していくのが見えた。

 ドラゴンだとかよく分からない。でも敵の大将を討ち取れたら変わるかもしれない。

 2人には逃げるように伝え、全速力で俺もオークキングを目指す。そこからはガムシャラに敵を掻い潜り、なぎ倒し、ただただ突き進む、後ろには他の冒険者やバリーとメアリーもいたと思うが考えられなかった。考える余裕なんて無かった。

 ナバール騎士団が怒涛の勢いのままオークキングに迫るなか、ドラゴンは防壁を己が爪や体重で蹂躙していく、神頼みでしか無いことは分かっている。モンスターが人間の常識で動いてはくれない。だからといって、ドラゴンを止めるには大魔法しか無いがそれをただ指をくわえて待つことも、ドラゴンに意味もなく踏み潰される事でも無く、オークキングだけでも刈り取る。俺たちの戦いは無意味じゃないとエゴでしかない理屈で、理不尽に対する怒りを奴にぶつける。ナバール騎士団がオークキングをメッタ刺しにするが、その分厚い脂肪と分厚い革が邪魔をして致命傷に届かない。俺は精一杯のダッシュからオークキングの首元にしがみつく、首に剣を突き立てる。体格差がありすぎて羽交い締めよりか肩車状態だったから、遠くで太陽の様な輝きを目にする。

 夕日に照らされた刀身がオレンジの夕日に照らされて太陽の様に光り輝く、剣を構えた青年が跳躍していた。おおよそ人ができる跳躍ではない高さでドラゴン目掛けて流星の様に斬りかかる時に見えた眩い斬撃、星が降ってきた様で綺麗だった。

 強烈な一撃だったが、仕留めきれてはいない。着地のタイミングでドラゴンの尾が容赦なく降り注ぐ、何とか剣で受け止めれたが、その剣は折れて使い物にならなかった。

 俺は渾身の力を使う火事場の馬鹿力だったと思う。オークキングの首元に突き刺した剣を刈り取るように引き抜き、青年に向けて力の限り投げ渡す。

 俺の大声が届いたのか、青年は空中で俺の剣を掴み、さらなる力を振り絞り、ドラゴンの首を切断してみせた。

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