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初めての仲間

数日後、傷も癒え冒険者ギルドにやってくると一人の少女に話しかけられた。

 彼女は先日の戦いで弓矢などによる支援をしてくれた人らしく近くにいた冒険者仲間が教えてくれた。

 どうやらスカウト職の彼女は仲間を探しているらしく先日の戦いで俺が前衛として優秀だと誉めてくれ、できればチームを組みたいと申し出てくれた。

 俺もソロにこだわってる訳では無いため、これを了承し初めての仲間ができた。

 彼女の名はプリンシバ、この赤毛で同じくらいの身長、手足がすらっと長い人間族の少女だ街の生まれで最近冒険者登録したらしい。同年代の友達には戦闘職がいなかったため一人で依頼をこなしていたらしい。

 軽い自己紹介やチームでの打ち合わせを終え、早速狩りに出かける。彼女は実家があるのでそこまで1日の稼ぎに執着はないかもしれないが、こちらに来てその日ぐらしに近い俺は連携のためだけに時間を使いたくなかった。

 変に異性を意識しなくて良かった。別に彼女が魅力的では無い訳じゃない。単純にそこまで余裕がある訳では無いからだ、先日のホブゴブリン一団との戦いで報酬はそこそこ良かったが、装備の修理や買い替えた防具、数日は傷を癒すため休養したから資金に余裕があるとは言えないからだ。

 そこそこ早く稼ぎたい。そう思い、いつもより少し森を奥に進む、スカウト職のプリンシバが先頭を務めるがすぐ後ろを自分なりに警戒しつつ続く、ゴブリンを数匹難なく倒し、運よくはぐれオークを討伐できた事は嬉しい誤算だった。プリンシバが解体の技術があったのでオークを現地で解体した。俺も手伝いをしながら解体の仕方を観察し、持てる分の肉を頑張って街へ戻った。

 オーク肉はそこそこ良い値がつくし魔石も小サイズで極小の50倍もする、ちなみに魔石(極小)の値段が銅貨4から6枚で今回は300枚での買取となり、今日だけで銅貨1600枚、1人当たり銀貨8枚の稼ぎに成った。一人だったらオーク1体でも強敵なので機会を逃していたと思うと仲間がいてよかったと思う。


 プリンシバとの連系も良くなり、かなり稼げる様に成ったが更に街の北側にあるトドロキ山でコボルト狩りをしたいが、あちらにはブラックボアがいる為、できればタンク役が必要だ。俺がタンク役をやってもいいかもしれないが、今からタンクとしての役割を学ぶより、仲間を集めることにした。

 クロックに相談したら同じくタンク役を練習中の仲間がいるからと仲介役を買ってくれた。

 一応、名誉の為に前回のホブゴブリン一団に遅れを取ったがクロック達はそこそこ強いチームだ、平原の先にある泉でBランクの魔物であるガラガラドリ討伐の依頼をクリアして帰り際にホブゴブリン一団に奇襲されただけで、普段ならホブゴブリン一団程度には遅れは取らないが、その時にやはりタンク役がいた方がチームが安定すると思い、自らタンク役の練習をクロックがしているらしい、そこで知り合った人を紹介してくれるそうだ。


 クロックの紹介で知り合った少年、ブータンは鬼人族で齢は11歳だが俺より大きい、何でも気性の荒い人が多い鬼人族のなかで温和なタイプの彼は孤立気味だったらしく、一人でこの街にやってきたらしい。街にやって来たはいいものの貴人族は気性が荒いことは有名でパーティを組んでっくれる人はいなかったのでソロ活動していたところ、タンクの練習をしていたクロックが大きな盾を担ぐ彼に声をかけたのが知り合ったきっかけらしい。

 ブータンを交えさっそくトドロキ山でコボルト狩りを行う。

 コボルトはゴブリンと違いより仲間と連系する傾向が強く、素早さもある為、しぶといがゴブリンは極小の魔石しか出さないのに対して、コボルトは稀に小サイズを出すことがあり、ブラックボアの肉の売値も良かった。

 この世界に来てから2年目の土の月に中級冒険者クラスの装備を手に入れるところまでこれた。ギルドランクもルーキーからブロンズになってからしばらくたったことでアイアンへの昇格条件でもあるトドロキ山の中腹以上に生息しているカッパーコボルトの一人10体、計30体の討伐に乗り出す。

 カッパーコボルトは通常のコボルトの2倍の大きさがあり、Dクラスのモンスターだ、しかも常に高所を取られての戦闘はかなり不利になる為、プリンシバのスカウト能力やブータンのタンクとしてよりチームでの連系が求められる。


 カッパーコボルト狩りの前日、宿屋でレベルが10になった時に貰えたスキルポイントが二つになっており、さらに職業が戦士から槍術士と剣士を選択できる様になっていた。

 ここはあまり悩まずに槍術士を選択し、スキルポイントは新たに生まれた体術に割り振った。

 体術は攻撃にも回避にも良い影響が出るため良いスキルだと思っている。

 翌日、さっそく自分の実力を試してみるが恐ろしかった、カッパーコボルトを完全に圧倒していたからだ。ただ、カッパーコボルトの集団と戦闘中にブラックボアの突進が来た時にはヒヤッとした。

 数日のうちにカッパーコボルトを累計40体倒し、見事アイアンに昇格した。

 アイアン昇格できた事でお祝いをしようと3人で集まる。場所はギルドの食堂兼酒場、ここでは無料の炊き出ししか食べた事が無いがおいしい魔物の肉が食べられるため、そこそこ裕福な商人なども訪れるらしい。

 エールで乾杯して、オーク肉のステーキにかぶりつく、馬鹿みたいな分厚いステーキは肉を食べている感覚が凄まじく、満足感がとても高かった。

 食事も落ち着き、今後の展望を話し合っているとクロック達がやってきたので、エールをご馳走する。

 なんせ祝いだと押し切る形でエールを強引に奢る。いつも世話になっているクロック達にはできるだけ恩に感じている気持ちだけでも返したい。

 借りた恩はエールで返すのが冒険者のやり方でもあり、アイアン昇格はクロック達も自分達の事の様に喜んでくれた。

翌日、ギルドで昨日は宴になって仕舞い話せなかった今後について話す事にした。

 しばらくはカッパーコボルト狩りと同じ場所に生育しているとトコシエ草を収集し、更に装備を整えるがそれから先をどうするか悩みどころだ、これからもこの街を起点に商人の護衛や指定討伐モンスター狙いの遠征型にするのか、トドロキ山の上層でBランクモンスターのホワイトウルフを狙うのか、はたまた別な街に向かうのか、ホワイトウルフは単体でBランクだ、群れで行動するあれを相手には出来ない。

 ちなみにワイルドウルフはCランク、そのボスであるキングワイルドウルフは推定Aランクモンスターだ。

 ウルフ系は知能が高いため、歴戦の個体になるとかなりの脅威になる。トドロキ山の主、ホワイトウルフ個体名「マーブル」はSランクの魔物で街が滅ぶ程の強敵だが、唯一の弱点であるカイカイ鳥の糞に含まれる物質が放つ匂いで鼻がおかしくなってしまう特性がホワイトウルフにある為、街を攻める事は無いが、かつてカイカイ鳥の糞を持参してホワイトウルフを大量に狩ろうとした冒険者は瞬殺され、そこで分かったのが彼らが嫌う物質は排泄後にすぐ霧散するらしい、そこでカイカイ鳥を持ってホワイトウルフに挑んだ冒険者はカイカイ鳥が排泄する前にホワイトウルフに瞬殺された。

 カイカイ鳥を担ぐ行為を馬鹿な行為としてこの街では言い回しで使われることがある。

 おどけて調子に乗っている相手にカイカイ鳥担いでるとかこれから計画性が無い事に無謀な挑戦をする相手にカイカイ鳥担ぐ気か?など定着している。

 ホワイトウルフを狙うならアイアンクラスの冒険者が10人以上のチームで挑むレベルで人数的にクロック達ですら厳しいだろうとプリンシバが言い俺も同意見だ。

 遠征型は商人の護衛と言う信頼がものを言う仕事で俺たちみたいなポッと出でしかも三人しかいないパーティには来ない仕事だ、指定討伐だけでは不安定過ぎるし、悩んでいるとこのギルドの古株の一人、ロックさんが声をかけて来た。色々とアドバイスもくれたが、先ずは装備を強化してから考えろと言われ、もっともだと思い、行動する事にした。


 一月後、そこそこ稼ぎも増えてそろそろ装備を新調するかと考え始めた頃、1頭のホワイトウルフと遭遇した。

 相手は1頭だけ、周囲を警戒するがプリンシバも頷く、ブータンに声をかけ、臨戦態勢に入る。

 カッパーコボルトはホワイトウルフを察知して逃げ出していたため、変な横槍もないが相手はBランク、強敵だ。

 ブータンが上手くタンク役をこなし、良いところでプリンシバの弓矢がホワイトウルフを牽制する。

 俺も自分の仕事を全うすべくブータンの影から鋭い一撃を放っていく、定石通りに戦闘は進むが気温が下がっていく、ホワイトウルフのパッシブスキル「氷牢」で周囲の温度は極端に落ちていく、体温が下がり動きが鈍くなる前に倒さなくてはならないが寒すぎて無駄な動きが多くなってきている。

 プリンシバの炎系魔法は遅すぎてホワイトウルフに当たることは無い、どうすれば良いのか手を拱いているとブータンがタンク役を一部解除する形でショートソードでの攻撃を開始する。

 その分、俺の方にも攻撃が来る回数が増えるが体術スキルのおかげで回避が何とか出来ているし、動くことで体の熱が上がり、動きが自然になってきた。

 長期戦は本来悪手だが、定期的に俺とブータンの攻撃が決まったタイミングでプリンシバの炎系魔法がヒットすることにより氷牢の効果を遅延させる事が出来ているが、決め手に欠ける戦術だ。

 そこでブータンは装備や自身の耐久値的にホワイトウルフが自分に致命傷を与えられるのが噛みつきしかないと確証し、より盾と剣を攻撃に特化した使い方を始める。

 俺も負けじと槍を短めに持ち替えて、攻撃力重視にし始める。プリンシバには援護と周囲の警戒を優先するようにお願いし、攻勢に出た。

 俺も噛みつきに最大限、注意しホワイトウルフの顔面に槍を向けるように戦った。

 ブータンの盾を使った裏拳が頭蓋の側頭部に決まったので即座に首に槍を突き立てた。同じくブータンもショートソードを首に突き刺しながらしがみつく、しばらくたった。プリンシバが声をかけてくれるまで俺もブータンも固まっていた。


 初めての明確な強敵、Bランクモンスターを自分達で考えて連係し的確に仕留めれた気がした。

 自分達のレベルが上がってる気がする。実際にレベルも上がっている。ただ、後半は興奮状態だったので視野は狭まっていたと思う。

 ギルドランクもシルバーに上がり、それからもカッパーコボルト狩りを繰り返し、かなりの稼げたので装備を一新する。流石に革鎧を卒業、革も使われているが金属が使われているが重さは特に感じないが安心感がある。

 メインの武器を変える事にした。何故かと言うと槍術にスキルポイントを振れなくなった。スキルレベルは10が上限らしく、新たに剣術レベルを上げて見ることにする。戦士として色々と武器は使えた方が良いとも思った。

 ブータンもタワーシールドに変え、プリンシバは弓をショートボウに変え、攻撃の手数を増やし、更にショートスピアで接近戦も練習していく、まだカッパーコボルトを狩りつつ、次のランクへ進むにはそうするべきかクロックや他の先輩にも相談したが、なかなか良い案がなかった。

 遠征型になるには様々な問題があるし、ホワイトウルフに挑むには自殺行為だ、前回も様なはぐれはあれ以来一回もなかった。

 この世界に来て3回目の土の月、もう限界だった。プリンシバはこの街から出るつもりも無いし、ブータンは鬼人族の特性が現れ戦闘を欲していた。俺も自分の可能性を探していた。

 3人とも納得しての解散とした。あんなに仲間になったのに不仲にはなりたくなかった。

 プリンシバはクロックのチームに入ることになった。ブータンは故郷に戻り、南側の都市を目指す。俺は領都を目指す事にするがその前に村長やクロック達にお礼をすべく、どうするか数日悩む。

 皆、良い人だお金なんて受け取ってくれない。だから手紙と教会にお布施をすると返礼品として貰える幸福のメダルを渡すことにする。幸福のメダルを渡すのはこの世界の定石だし、手紙は感謝を残す良いものだと思うから。

 この街を離れる日、目的の人には会えて幸福のメダルと手紙を渡せた。見送りにも来てくれた。

 最初は頑張って笑顔で手を振っていたが、我慢できずに乗合馬車でうずくまり号泣した俺を暖かく励ましてくれた人もいたので更に泣いた。


 そんな俺は領都で衝撃的な人間に会うことになる。

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