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レベルアップ

 レベルが上がった時、流石に音楽は鳴らなかったが、感覚的に分かったのでステータスを確認した。

 レベルが初めて上がった。能力値が微増していて、ずっと触れずに我慢していたスキルポイントが2から3に増えている。

 ゲームをやった事がある人なら感覚的に分かることだが、この世界はゲームでは無い。確証が無いので試しに振ることを躊躇っていたスキルポイントがレベルアップと共に増えた。

 今日はスライム狩りをそこそこできり上げ、1人になれる空間、個室がある宿に泊まる。

 以前からクロックやギルドの職員に聞いていた宿にやってきた。

 料金は2食付で銀貨一枚、ギルドの大部屋の十倍もするので高いが初レベルアップのお祝いだ。

 この宿は食事もそこそこ良いらしく、楽しみにしていた。暗くなるとお酒を飲む客でうるさくなる。だからその前に食事を頼む事にした。

 野菜と肉の入ったスープに硬くないパンが二つも出てきた。うれしい気持ちになり、自然と笑顔になる。そんな俺に気を良くした女将さんがサービスにブルストを出してくれた。

 女将さんに感謝しながら、早速食べ始めると、この世界に来てから初めてのちゃんとした食事に感動すらしたことを忘れない。

 女将さんにお礼を言ってから部屋に戻る。ここからが今日のメインディッシュだ。


 生活ができるまではあまりステータスに固執しすぎない事を決めていた。そもそもレベル1のステータス、槍スキル1しかないのに眺めていても変わらないからだ。

 レベルが上がり、能力値が全体的に微増し短剣スキル0が生まれた。

 0ってなんだよねって思ったが、これは適性が少なからず戦士だから生まれたもので、非戦闘職はこれすら生まれ難いのかもしれない。

 そもそもこの世界の人はステータス何て見れないのでみんな感覚で思ってるだけなんだろう。

 それにしてもチートのチ文字も無い謎スキルも無いこんなステータス、絶望しかない。

 この世界に来てもうすぐ1年になる。来月は土の月だ、30日で一月、それが12月を回る暦になっているが、季節感が薄い土地なのか1年たった気がしない。

 恐らくこの惑星の公転周期では無く、昔にいた迷い人が伝えた暦と言う概念だけが継承されたんだと思う。

 天文学や正しい観測が出来なければ、正確な暦など作れないし、閏年の様な誤差の修整をする為に知識も残さなくてはならない。

 学校を作って研究して、後世に伝えるなんて、普通の人には出来ないだろう。

 話は逸れたが問題はまさにスキルポイントをどう振るか、どう振れるのかを確認したい。

 恐らくリセットなどの振り直しは出来ないと仮定し、ただ振らないって消極的な選択はするべきではない。進むべきだ、何故ならスキルが生まれるかも分からないし、今あるカードで戦うしかない。そう自分に言い聞かせ、短剣スキルに1ポイントを槍スキルに2ポイント振ることを決め、短剣スキルは今すぐ振るが槍スキルは槍が手に入ってから振ることにした。

 なんたって最初から槍スキルがついているからだ。元の世界でも今の世界でも槍を持った事は無いので、恐らく適性があるからだろう。

 明日も朝から狩りをしたいので眠る準備をしたが思いのほか興奮していたらしく、窓から夜空を眺めてゆっくりと過ごした。モンスターの襲撃さえなかったら、ずっとあの村にいたのかなとか妄想して、眠りについた。


 土の月になり、お金も貯まったので槍を購入し小さい盾も買った。

 モンスターもゴブリンを討伐することがメインになり、稼ぎも少しだが増えた。クロック曰くモンスターが増えている事で被害も増え、更に都市部で魔石の需要も高まっているらしい。

 いつもの様にクロックに絡まれつつ、彼から有益な情報をもらった。

 いつか恩返しがしたい、できれば村長にも、でもお金はなんだか受け取ってもらえない気がして、どうすれば良いのか困っていた。

 やっぱり村の奪還ができれば良いかもしれないが、いまの実力ならワイルドウルフ一匹がやっとだろう。

 そもそもやっと戦闘による恐怖を多少克服できたばかりである。

 ゴブリン退治を頑張っているとレベルが上がった。やっぱり戦闘を行うとレベルが上がりやすいみたいで、ゲームなら当たり前だが、経験値何て値は無いので結果論でしかない。

 今度は小盾スキル0が生まれたが、やはり槍にスキルポイントを振ることを即決した。

 理由は武器の損耗率だ、この世界には壊れないものなど無い。本当はあるらしいけど、神話級の武器とか、でもそんな物が手にはいる可能性があるとは思えない。すでに一度、槍を修理に出して手痛い出費を経験済みであり、あの時に戦闘が継続していたらナイフと盾で超接近戦になるのは考えただけでも恐ろしかった。

 スキルポイントを振り終わった瞬間、遠くで悲鳴が聞こえた。

 危険かもと思ったがすぐに向かった。そこにはクロックのチームメンバーがホブゴブリン率いる一団に取り囲まれていた。すぐ助けになる様に準備を開始する。冒険者は自己責任の野蛮な仕事と思われるがそうとも言えない。何故なら冒険者ギルドだけじゃないがギルドとはそもそも互助会だ、お互いに助け合いながら成り立つもの、自然と競争関係になり得るがそれでも冒険者なら一般人だけじゃなく、ギルドのメンバーにも手助けしないと自分が助けて欲しい時に助けてもらえなくなるし、クロックには恩がある。

 石を集め、ゴブリンの一団の後方から全力で石を投げまくる。クロックたちと対面にならない様にする。石が間違ってクロックたちに当たってしまっては意味が無いからだ。

 投石に腹を立てた数匹がコチラに猛攻してきたので、槍で瞬殺した。自分でも驚いたがレベルアップとスキルのおかげだろう。そのまま大声で威嚇をしながらゆっくりと距離を縮めていく、別のチームも加勢に加わり、何となくゴブリンの群れからクロックたちを引き剥がしたが、逃げる事は出来そうにない。

 クロックの仲間で弓使いのラットが足を怪我している。何とか後退はしているが走って逃げる事は出来ない。

 俺はクロックに合流しクロックと一緒に前線で戦った。他のチームの協力もあり、何とかクロックたちも息を入れ直せ、防戦一方だったところを持ち直し、逆に攻めに転じる。

 俺もすでに二十体以上のゴブリンを倒しているが、数が減ったようには感じない。それに後ろに控えているホブゴブリンが不気味で仕方ない。

 体力的にもきつくなり始めた時、ホブゴブリンが取り巻きを連れ突進してきた。

 チームは瓦解、俺もギリギリ槍を手放してはいないが杖代わりにしてかろうじて立っている。

 流石にに焦り、死の恐怖がこみ上げてくる。パニックになりかけたその時、複数の弓が断続的にゴブリンの集団に突き刺さる。援軍だ、ただ恐らく後衛なのだろう、最後の気合を振り絞り慎重にゴブリンの死角を利用し奴に近づく、弓の攻撃に慌てるゴブリンを制するホブゴブリンに目掛け、突進、自分自身も一本の槍となる気持ちで踏み込んだ一撃はホブゴブリンを吹き飛ばした。

 ホブゴブリンがいなくなった事でゴブリンはびびって敗走するが弓に後詰されほぼ生き残ってはいないだろう。

 そんな中、俺は最後の力を振り絞ったため、地面にうつ伏せのまま倒れ込んでいた。

 吹き飛ばされたホブゴブリンが怒り凄い足音を立てながら俺の方に突き進む、俺はうつ伏せから仰向けになりなったが、立つことは出来なかった。

 ホブゴブリンが俺に斧を振り下ろす直前、ファイヤーボールの詠唱が聞こえた。

 ホブゴブリンは火の玉をくらい上半身を火だるまにされていたので、その隙だらけの心臓目掛けて槍を突き刺す。

 ホブゴブリンの雄叫びなのか悲鳴なのか分からないが鳴った後、倒れる様に槍に突き刺さったままホブゴブリンは息絶えた。


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