家族
新領主様御一行が帰られてからも変わらずに日々を村の為に過ごすなか、なんでかドラドとバーモンさんの当たりが強い、最近では舌打ちまでされる。他にも数人の村人からも睨まれている様にも感じる。
何か悪いことをしたかと思い悩んではいるが思い当たる節はなく、勇者から贈られてきたアダマンタイト製の剣を愛でる毎日を過ごしていた。
アダマンタイト製の剣は深海を思わせる深めの蒼い刀身を見るたびに少年心をくすぐられる。柄の装飾も素晴らしく、その性能も信じられないほどだ。
新しく衛兵を雇い始めた。そんな新人の彼らにも好評でキラキラした瞳で見つめてくるので、ちょっと良い気になって英雄を演じてみたりしたが、ドラドとフライは舌打ちしていた。
そんな平和な日々を送っていた能天気な俺についにキレたドラドやバーモンさん率いる一団が俺に詰め寄ってきた。
最近の不機嫌な理由はネイビーといつ結婚するのかだった。もうすぐ、この村にやって来てから2年目になるなか、いつまでネイビーを待たせるのか、それともいっそのこと、俺が貰いたいと怒鳴り散らす者まで現れるなか、ヘタレな俺も決心するに至る。
数日後、ネイビーを食事に誘う事にしたがこの村には数軒しか食堂が無いため、あまり村の人、知り合いには見られたくないため、近場の景色の良い川沿いを選んだ。
ピクニックの様だが、俺の緊張は高まりネイビーを直視できないがネイビーは楽しそうだ。持ってきたサンドイッチを食べながら雑談し、そろそろ帰る頃合いに結婚を前提に付き合いたいとプレゼントのネックレスを贈った。
ネイビーはびっくりしながらも嬉しそうにネックレスを受け取ってくれいま着けてくれとせがむので俺は顔を真っ赤にしてつけてやるとネイビーは満足そうに笑った。俺は恥ずかしさのあまり誰にも見られなくて良かったと思う。
翌日から村はお祝いムードが漂う。何故か分からないが俺とネイビーの事がバレており、村人からニヤニヤされている。
そして、後には引けない俺はネイビーの両親に手紙を出し、結婚の挨拶に伺う事をしたためた。
2週間かけて王都へ向かう。ネイビーと昔話を2人だけでした。長い2人だけの結婚旅行の様だ。
俺はネイビーの話を静かに聞いた。子供の時から義勇軍に入るまで、ずっと聞いた。
俺の話もした。旅は長かったから、頭が良く好奇心が強いネイビーは自分の話は途中でどうでも良くなったのか俺の話を全部聞き出そうと詰め寄って来たので我慢できずにキスをした。
王都に付き、両親に挨拶しネイビーが友人と友好を深めている間、俺はネイビーの両親の仕事を手伝っていた。
口下手な俺は作業に没頭してる方が楽だし、人の作業を通じて言葉以上の何かが自分を形作っていく事をスキルやステータスに見ていたからだ。
思えばこの世界に来てから随分とスキルが増えた。
これがこのステータスが俺がこの世界に来てから得た全てだ。
だからこそ誇らしい、ステータスを見るたびに自分が歩んできた日記にも思えるものだ。毎日の様に見ている。ネイビーには伝えた。最初は信じてもらえなかったが全て包み隠さず伝えたところ、更に興味がそそられたようだ。
そこで話題になったのが他人のステータスが見えないのか、またはステータスを見えるようになれないかのかと言う話題だ。そこで話題になったのが同じく転移してきた者、手がかりがあるとすれば勇者だ。
結婚式に勇者を呼ぶのか結婚の報告に領主に報告か了承が必要なのかを確認すべきだ。帰ってから村長に確認しよう。
数日、王都に滞在し村ではなかなか買えないものや村で不足しがちな物を馬車に乗せネイビーの両親と一緒に村へ向かった。
道中では子供の頃のネイビーの話にネイビーが恥ずかしがって可愛かったがお返しと言わんばかりに俺の子供の頃の話や両親の話をさせられた。
村に付くと皆が迎えてくれた。一ヶ月以上も村から離れた事になる。久々と言ってもおかしくない。さっそく屋敷に前にバーモン商会に仕入れてきた物を卸してから屋敷に向かう。
村長に相談し領主に結婚の報告と式の招待状を送り、周辺の貴族にも招待状を贈った。会ったこともない人に招待状を送るのは変な気がしたが貴族同士の繋がりを作るきっかけになるから送ることになった。
王都から仕入れてきた物の中に純白の生地がある。それを村の装飾師にドレスを依頼する。
式は一月後、それまでに貯まった仕事を片付けて式に備える。勇者含め複数の貴族から参加を示す返信の手紙が来たのは驚きだった。
異世界に転移してから13年目となり、たまたま良い人に出会う事ができ、ただの子供だった俺がいっぱしの冒険者になり、義勇軍で活躍して爵位を貰うまでなった事、そしてこれから結婚をしようとしている。
あの時もあの時も思いもしない展開が起こっているし今だにそれが続いている。
たまに思うこれが夢なんじゃないかと、いつか元の世界に帰ってしまうんじゃないかと、でも勇者の話しを聞いてそうはならない可能性がかなり高く、もう一生、両親には会えないのだと思い知る、そんな夜を過ごす。




