第十話 束の間の休息
「カイン! あれ食べたい!」
ノアは前方にいる屋台を指差すと、走り出した。
「買いすぎるなよ!」
俺はノアの後ろ姿を眺めながら、そう叫んだ。
今、俺達は情報集をケインに任せてのんびり散歩をしている。
強くなる為の特訓も大事だが、それと同じくらい休暇を取ることも大事だと俺は思っている。
「もぐもぐ……おいしい」
ノアは両手に一本ずつ串焼きを持ち、それらを交互に食べながら無邪気に笑った。
「そうか。良かったな」
俺はふっと笑うと、思わずノアの頭を撫でた。
「ふふっ 口開けて」
ノアは微笑むとそう言った。
「あ、ああ」
俺は頷くと口を開けた。
その直後、ノアは俺の口に串焼きを突っ込んだ。ちゃんと串がのどに刺さらないように調整されている。
「もぐもぐ……美味いな」
俺はそのまま一口食べると、口元を手で拭きながらそう言った。
「でしょ。と言う訳で、もう二本買ってもいい?」
ノアはねだるような視線を俺に向けながら、そう言った。
「ああ……いいぞ」
そんな目で見られて断れるはずもなく、俺はそのまま頷いた。
「じゃ、行ってくる」
ノアは串焼きを完食すると、もう一度屋台へ向かった。
「ノアと散歩……と言うかデートだな。これは」
ノアとの距離感は少しずつだが縮まっている気がする。だが、ノアが俺のことをどのように見ているのかが分からない。最初と変わらず友達なのか、それとも……
だが、そのことについてなおに聞く勇気が俺にはない。
「まあ、全てが終わった後に聞けばいいかな」
俺の復讐が終わり、平穏に暮らそうと思ったその時に、勇気を振り絞って聞いてみるとしよう。
「ふぅ……学園は丁度今日から夏休みだったな」
鍛錬に明け暮れ、気が付けばもうこんなに経っていた。
あいつらが来るのは速くて五日。遅くても十日程だろう。
「……ん?」
俺はふと、視線を感じて振り返った。
「……気のせいか?」
俺のことを観察するような視線が飛んできた気がした。
「気のせい……と言いたいところだが、警戒はしておかないと」
追手ではないと思うが、警戒しておくことに損はないだろう。
「もぐもぐ……カインを見てた奴ならもうどっか行ったよ」
串焼きを頬張りながら近づいてきたノアは、そう言った。
「そうか……ま、襲ってきたら潰すだけだ」
俺は軽い口調でそう言うと、再びノアの頭を撫でた。
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「犯人で間違いなさそうだな」
あいつらの顔、服装。どちらもゲルディンで見かけた奴らと同じだ。
「それじゃ、真偽のスキル持ちを呼んで、質問に答えてもらうとするか」
真偽のスキルは嘘をついているのかどうかを知るスキルだ。これを使えば一発で分かる。
ただそれでも、真偽のスキルを持っている人が嘘をついている可能性を消す為に、簡単な調査をしないといけないから面倒なんだよな。
「……てか、あの二人やべぇな」
あの二人は見ただけでかなりの強者だということが分かる。日常生活の銅さに戦いの動きが入り込んでいるように見える。ああいう奴とはあまり闘いたくない為、素直について来てくれるといいんだが……
「頼むぞ……」
俺は暴れられないことを祈りながら屋敷へ戻った。
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