カッコよく戦って、カッコよく勝ちたい!!
訓練場に集まった人間達が見守る中、ナリバスの弾いた金貨は、キィィィンと音を鳴らしながら宙を舞い……今、地面に落ちた。
金貨が地に落ちた瞬間、ナリバスが大剣を構えながら、俺目掛けて真っ正面から突っ込んで来る。
すっごい速いスピード!だが避け切れない速さじゃない。
この瞬間、俺の中でプランが決まった。
まず突っ込んで来るアイツの攻撃を俺が紙一重で避け続ける。
そしたら功を焦って大振りの攻撃をして来るハズだ。
そこを俺がカッコよく真剣白刃取り!!…………これだ!
俺は真剣白刃取りをドヤ顔で決める自分の姿と、どよめく会場の姿を想像してニヤニヤする。
さあ来い、さあ来い、さあ来い!さあ掛かって来い!!
上半身裸の俺は、そこから一歩も動かず、腕を組みながら攻撃の瞬間を見極める───ッ!
サトウ・タロウは動かない。
余裕の表れなのか、この程度の突っ込みは歯牙にもかけないってのか、コイツの実力が全く見えてこない……!
だが、ここで止まる訳にはいかない!このまま叩っ切る!
俺は、そのまま速度を緩める事無くサトウ・タロウへ向かって猛スピードで近づき……遂に剣の間合いまで来た!
相手が何を企んでいようが、ここはもう俺の必殺の距離だ!逃げる事も、受ける事も、躱す事も出来ない!
「……フッ!」
俺は腕力だけじゃなく身体全体を使ってギア・ザ・ボリックを奴の左脇腹目掛け、一気に振り抜く!
来た来た、来ましたよ!攻撃が!
これをカッコよく最小限の動きだけで紙一重で避けます!
「な、何───ッ!?」
ナリバスの必殺の一撃は、サトウ・タロウの薄皮すら切れずに左脇腹で止まっていた。
「……………………」
…………はい。
1年前まで普通の高校生をやってた奴が熟練の冒険者の攻撃を見切れるワケが無いんですね。
いや~、俺の身体、頑丈でよかった~~~!ミスリルの剣を防ぐだけはありますよ!!
「ぎゃはははは!!アイツ!アイツ!!」
遠くから俺の思考を理解しているバカスライムのバカ笑いが聞こえて来た。
……取りあえずパワープレイで誤魔化すか…………チクショ~~~!
俺は脇で止まってる剣を左手で掴み、そのまま力任せに剣ごとナリバスを投げ飛ばす。
「おおおぉぉぉお!?」
ナリバスは情けない声を上げながら面白いくらいに飛んで行く。
「ぎ、ギア・ザ・ボリック!!」
ぶっ飛ばされながらナリバスが剣の名前を叫ぶ。
すると、まるでフォークボールかっていうくらいに、空中のナリバスの軌道が急速に変化して地面に落ちて行った。
ははーん?さてはアレが、あの剣の能力かな?重力系と見た!
能力バトル物が好きな俺は、たった数秒で敵の能力を大胆予想!この予想が果たして吉と出るか、凶と出るか!?
……にしてもカッコいいな、アレ!俺も欲しい!!
「痛ってぇ……」
地面に落ちたナリバスは剣を地面に刺しながらゆっくりと立ち上がる。
「なんて馬鹿力だ!……ギア・ザ・ボリック!!」
ナリバスが再び剣の名前を叫び、こっちに向かって突っ込んで来る。
ワンパターンな奴と思うかもしれないが、今度のは最初の比じゃないスピードで向かって来た。
ハハーン、成程ね。今度は剣の能力で軽くでもしたか?だが───!
ナリバスが剣を振りかぶる前に、視界からサトウ・タロウの姿が消えた。
「な!?」
「遅いな」
サトウ・タロウの声が自分の真後ろから聞こえて来た。
「───ッ!!」
ナリバスは咄嗟の判断で振り返らずに大きく円を描くように走り続ける。
普通、あんな状況に出くわしたら、驚いて身体が硬直するか、振り返ってしまうだろう。
だがそれは間違いだ!
そもそも不意を突かれて、更に自分の後ろにまで立たれているっていうのに、振り返って確認する事に何の意味がある?
一手遅れてるのに、二手遅れてどうする!
攻撃する為に走っていたが、背後からの攻撃を避ける為に走る!そして次の攻撃に繋げる!
俺は今度は逆に奴の死角を取ろうと、サトウ・タロウの周囲を走り続ける。しかし……。
何だ?何だ、この違和感は?
奴の周囲を走り続ける俺は大きな違和感を感じた。その直後。
「……お、おい、アイツ……!」
「目を、両目を閉じてやがる!!」
この戦いを見ていた観客の冒険者から違和感の答えが聞こえて来た。
「ッ!?」
こ、コイツ!もしかして全神経を集中して俺の攻撃を避けるつもりか!?
そんな獣人の俺でも出来ないような芸当を、人間のコイツがやるっていうのか!?
ナリバスの心に衝撃と動揺が走る。
しかし実際は、ナリバスの考えているような事は無く……。
『もう、どっから攻撃が来るのか分かんねぇし、そもそも反応出来ねぇし、こうなったら目をつぶって、それっぽくだけしとこう』
……という浅い考えしかなかった。
───くッ!だ、だが、ここで止まる訳にはいかない!このまま反応も出来ない俺の最高最速の一撃で斬るだけだ!!
キョウの浅い考えなど知る由もないナリバスは、余計な迷いも考えも捨てて走った。ただひたすらに足を動かした。
サトウ・タロウの周囲を高速で動き回るナリバス。
彼のスピードは、最早、Sランク冒険者でも捉える事が困難な程だ。
……そんな事をしなくとも、とっくにキョウはナリバスを見失っているとも知らずに。
「……取ったッ!!」
奴の死角を完璧に取る事が出来た俺は、今度こそ必殺の一撃を───
「甘いな」
サトウ・タロウは、閉じていた目を開き、垂直に飛んだ。
目を閉じ、全神経を集中して音を聞いて見切るってマンガやアニメでよくある奴をやってみたが、上手く攻撃を躱せたみたいだ。
まぁ最悪、見切れなくて攻撃が直撃しても俺の無敵の筋肉が攻撃を防ぐだろうし『コイツ無敵か!?』って感じになるから問題無い!両対応プランだ!
「う”っ!?」
ナリバスの必殺の一撃は虚しく空を切る。
逆に、飛ぶ事でナリバスの攻撃を避けたサトウ・タロウは、悠々と地面に着地してから右の拳を素早く放ち、ナリバスの顔面すれすれで止めた。
「訓練場に集まった人間達が見守る中、ナリバスの弾いた金貨は、キィィィンと音を鳴らしながら宙を舞い……今、地面に落ちた。
金貨が地に落ちた瞬間、ナリバスが大剣を構えながら、俺目掛けて真っ正面から突っ込んで来る。
すっごい速いスピード!だが避け切れない速さじゃない。
この瞬間、俺の中でプランが決まった。
まず突っ込んで来るアイツの攻撃を俺が紙一重で避け続ける。
そしたら功を焦って大振りの攻撃をして来るハズだ。
そこを俺がカッコよく真剣白刃取り!!…………これだ!
俺は真剣白刃取りをドヤ顔で決める自分の姿と、どよめく会場の姿を想像してニヤニヤする。
さあ来い、さあ来い、さあ来い!さあ掛かって来い!!
上半身裸の俺は、そこから一歩も動かず、腕を組みながら攻撃の瞬間を見極める───ッ!
サトウ・タロウは動かない。
余裕の表れなのか、この程度の突っ込みは歯牙にもかけないってのか、コイツの実力が全く見えてこない……!
だが、ここで止まる訳にはいかない!このまま叩っ切る!
俺は、そのまま速度を緩める事無くサトウ・タロウへ向かって猛スピードで近づき……遂に剣の間合いまで来た!
相手が何を企んでいようが、ここはもう俺の必殺の距離だ!逃げる事も、受ける事も、躱す事も出来ない!
「……フッ!」
俺は腕力だけじゃなく身体全体を使ってギア・ザ・ボリックを奴の左脇腹目掛け、一気に振り抜く!
来た来た、来ましたよ!攻撃が!
これをカッコよく最小限の動きだけで紙一重で避けます!
「な、何───ッ!?」
ナリバスの必殺の一撃は、サトウ・タロウの薄皮すら切れずに左脇腹で止まっていた。
「……………………」
…………はい。
1年前まで普通の高校生をやってた奴が熟練の冒険者の攻撃を見切れるワケが無いんですね。
いや~、俺の身体、頑丈でよかった~~~!ミスリルの剣を防ぐだけはありますよ!!
「ぎゃはははは!!アイツ!アイツ!!」
遠くから俺の思考を理解しているバカスライムのバカ笑いが聞こえて来た。
……取りあえずパワープレイで誤魔化すか…………チクショ~~~!
俺は脇で止まってる剣を左手で掴み、そのまま力任せに剣ごとナリバスを投げ飛ばす。
「おおおぉぉぉお!?」
ナリバスは情けない声を上げながら面白いくらいに飛んで行く。
「ぎ、ギア・ザ・ボリック!!」
ぶっ飛ばされながらナリバスが剣の名前を叫ぶ。
すると、まるでフォークボールかっていうくらいに、空中のナリバスの軌道が急速に変化して地面に落ちて行った。
ははーん?さてはアレが、あの剣の能力かな?重力系と見た!
能力バトル物が好きな俺は、たった数秒で敵の能力を大胆予想!この予想が果たして吉と出るか、凶と出るか!?
……にしてもカッコいいな、アレ!俺も欲しい!!
「痛ってぇ……」
地面に落ちたナリバスは剣を地面に刺しながらゆっくりと立ち上がる。
「なんて馬鹿力だ!……ギア・ザ・ボリック!!」
ナリバスが再び剣の名前を叫び、こっちに向かって突っ込んで来る。
ワンパターンな奴と思うかもしれないが、今度のは最初の比じゃないスピードで向かって来た。
ハハーン、成程ね。今度は剣の能力で軽くでもしたか?だが───!
ナリバスが剣を振りかぶる前に、視界からサトウ・タロウの姿が消えた。
「な!?」
「遅いな」
サトウ・タロウの声が自分の真後ろから聞こえて来た。
「───ッ!!」
ナリバスは咄嗟の判断で振り返らずに大きく円を描くように走り続ける。
普通、あんな状況に出くわしたら、驚いて身体が硬直するか、振り返ってしまうだろう。
だがそれは間違いだ!
そもそも不意を突かれて、更に自分の後ろにまで立たれているっていうのに、振り返って確認する事に何の意味がある?
一手遅れてるのに、二手遅れてどうする!
攻撃する為に走っていたが、背後からの攻撃を避ける為に走る!そして次の攻撃に繋げる!
俺は今度は逆に奴の死角を取ろうと、サトウ・タロウの周囲を走り続ける。しかし……。
何だ?何だ、この違和感は?
奴の周囲を走り続ける俺は大きな違和感を感じた。その直後。
「……お、おい、アイツ……!」
「目を、両目を閉じてやがる!!」
この戦いを見ていた観客の冒険者から違和感の答えが聞こえて来た。
「ッ!?」
こ、コイツ!もしかして全神経を集中して俺の攻撃を避けるつもりか!?
そんな獣人の俺でも出来ないような芸当を、人間のコイツがやるっていうのか!?
ナリバスの心に衝撃と動揺が走る。
しかし実際は、ナリバスの考えているような事は無く……。
『もう、どっから攻撃が来るのか分かんねぇし、そもそも反応出来ねぇし、こうなったら目をつぶって、それっぽくだけしとこう』
……という浅い考えしかなかった。
───くッ!だ、だが、ここで止まる訳にはいかない!このまま反応も出来ない俺の最高最速の一撃で斬るだけだ!!
キョウの浅い考えなど知る由もないナリバスは、余計な迷いも考えも捨てて走った。ただひたすらに足を動かした。
サトウ・タロウの周囲を高速で動き回るナリバス。
彼のスピードは、最早、Sランク冒険者でも捉える事が困難な程だ。
……そんな事をしなくとも、とっくにキョウはナリバスを見失っているとも知らずに。
「……取ったッ!!」
奴の死角を完璧に取る事が出来た俺は、今度こそ必殺の一撃を───
「甘いな」
サトウ・タロウは閉じていた目を開き、垂直に飛んだ。
「う”っ!?」
ナリバスの必殺の一撃は虚しく空を切る。
逆に、飛ぶ事でナリバスの攻撃を避けたサトウ・タロウは、悠々と地面に着地してから右の拳を素早く放ち、ナリバスの顔面すれすれで止めた。
「───ッ!?」
ナリバスは、死を直感し、思わず息を呑んだ。
寸前で止められていなければ今頃……。
「…………お前の勝ちだ」
ナリバスは、一瞬悔しそうな顔を見せたが、すぐに爽やかな顔で自分の負けを認めた。




