主人公らしいことが出来るんじゃないの!?
───俺、榊原境は愛する者を守る為に最強の力を手に入れるべく、仲間の馬とスライムと一緒に無人島で修行をしようとしていた。
『何故、無人島で修行を?』
そんなの娯楽や誘惑があったら集中できないでしょ!?
というわけで、まずは修行に適した、いい感じの無人島を見つけるべく海を激走!
そうしたら都合良く、いい感じの無人島を発ッ見!早速無人島に上陸だッ!!
「おぉ~!自然豊かな無人島だァ!」
白い砂浜に木々が生い茂る森に山!まさに無人島中の無人島!
そんな、ザ・無人島に来たらやる事はまず1つ!!それは───!
「俺達はまず!この無人島に家を作る!!」
飲み水の確保も食料調達も大事だが、やはり少年の心を失っていない男がこんな所に来たら、まず極限状態でも安らげる我が家を作りたい!作ってみたい!
アイテムボックスには水も食料も寝床になるテントだって入ってる。
けどそれじゃあ趣きが無い、修行にならない!というか無人島に来たらサバイバルだろ!
俺は家を作るべく森に入り、必要な素材を採取&伐採して家を組み立て、何とか昼前に仮の拠点を作る事が出来た。
「まあ張りぼてみたいなモンだが、初日だし取りあえずこんなもんでいいだろ。さて、お次は───」
その時、タイミングよく俺のお腹が鳴る。
「食料調達だ!!」
俺は来ていた服を脱ぎ捨て、木で作った銛を持って素潜りを敢行する。
「ごぼぼぼぼ、ごぼぼぼ!(今日は魚だ!)」
こうして修行を兼ねた無人島サバイバルが開始された。
無人島サバイバルから数日後───
自給自足のサバイバル生活を送りながら、いい感じに修行も捗っていた頃、とんでもない問題が発覚した。
「ここ無人島じゃねぇッ!?」
森に林に山に川に海にと、辺りをウロチョロ探検していたら基地があった、人が大勢いた。
「全然人いるじゃねーか!全然無人じゃないんだが!?てか軍の私有地かこれ!?マルテミの!?」
これマズイ奴か?マズイ奴だよな!?不法侵入とかそう言う!?
「……撤収───ッ!!」
俺は、いッそいで必死こいて作った家を破壊、俺達が居た痕跡を跡形もなく消し去ろうとする。
「お前スライムだし、ここら辺の奴食って消化してくれない!?」
俺はスライムのクリスタル・ボゥルくん、いや様に証拠隠滅のお願いしてみる。
『腹減ったけど嫌だ 俺はゴミ処理機じゃない』
なんと使えないスライムだ!協力的じゃない!人がこんなにも困っているというのに助けてくれないなんて!
しかし憤っている場合じゃない、一刻も早く滞在の痕跡を消さないと!
もし見つかって捕まりでもしてみろ!?確実に明日の朝刊の一面を飾る事になるに決まってる!それはマズイ!それだけはマズイ!もしそんな事にでもなってみろ!?
『お主ぃ~、ワシをほっぽり出してどっかに行ったかと思えば、一体な~にしておるんじゃ~??』
ディザベルに大金払って貰って釈放されながら、ずっとネチネチ言われ続けるに決まっている!
「修行しに来たのに犯罪者になりに来たんじゃ馬鹿すぎるだろ!」
とにかく証拠を隠滅してこの無人島から脱出だ!次は何処で修行するかは後でいい!とにかく脱出!!
「夜!夜だな!人に見つからないように今日の夜、この島を脱出……って夜逃げじゃねぇか!!」
俺は頭を抱えながら完璧な夜逃げの計画を練った。
その日の夜───
証拠の隠滅に無事成功した俺は、辺りに人がいない事を確認し、脱出用に作ったイカダに乗り込んだ。
別に来た時と同じように海を走って脱出しても良かったが、やっぱり無人島から脱出するならイカダだろ?と思い、渾身のイカダを作って脱出することにしていた。
「オールも作った、帆もある、後は漕いで脱出するだけ!」
俺は作ったオールを手に取り、夜逃げの第一歩を───
「おぉん?なんだアレ?」
なんか遠くからデッカイ船がまっすぐこちらに……!?
「まぁずい!!」
俺はオールを使って逆走!島に逆戻りする。
「なんてタイミングの悪い!定期船か!?」
この島には軍のものと思われる基地がある。そしたら当然船も来るわな?
「なぁんで今来んだよ!?」
俺は沖に上陸後、作ったイカダをアイテムボックスにぶち込んで茂みに隠れる。
暫くしてどっかからやって来た船は基地のあった海岸の近くに泊った。
船の近くには基地から来たと思われる人が大勢居た。
「あれが用事済ませねぇと見つかるから脱出出来ねぇじゃねーか!定期船の物資の搬入っていつ終わるんだ?一刻も早く脱出したいのに!」
俺は焦りながら茂みに隠れて動向を見守っていると、船からワラワラと大勢の人が降りて来た。その数、数百人。
「鎖に繋がれた人がドンドン出て来る……ん?」
船から降りて来た人の多くは首輪をしてるし、手枷も足枷も付いている、服だってみすぼらしい。
「んん?」
最初は、この島って犯罪者の収容所なのか?って思ったけど、それも違うみたいだ。
子供に大人、老人まで老若男女問わず色々な人が諦めと絶望の顔で船から降りて来ている。
「ア゜ッ!!!」
俺は茂みから超跳躍!人々の前に躍り出る!!
「な、なんだ貴様は───!?」
急に現れた俺に軍服を来た連中が一斉に驚く。
「おぅ待てぃ!!」
「なんなんだ貴様は!?」
「それ以上の乱暴狼藉、非道な真似は、この主人公が許さないぞッ!!」
俺は考えうるカッコイイ決め台詞と決めポーズでバッチリ決める。
「本当になんなんだ貴様は!?」
「俺が来たからにはもう大丈夫だ!みんな安心してくれ!!」
俺は奴隷風の人々を安心させるべく声を掛ける。
奴隷っぽい人たちは俺を見て安堵の表情を───
「誰───!?」
浮かべてはいなかった。
「……お前達の計画は全てバレているぞ!」
「な、なにィィィ!?」
嘘だけどノリと勢いが大事だし、そう言っておく。
「貴様達の野望は、この俺が───いや、この俺達が!」
俺の相棒である馬のリヴァータとスライムのクリスタル・ボゥルが、ぬるっと俺の横に現れる。
「打ち砕くッ!!」
俺達は思い思いの決めポーズを取りながら、真後ろで赤、青、緑の爆発を起こす。
「「なんなのコイツら───!?」」
困惑する軍人と奴隷の人々を置き去りに物語の主人公がやるような奴隷救出劇が急遽開幕した!!




