パジャマパーティー大成功!!
アリアステル王女とルルが顔を洗いに部屋を出た後───
「いきなり仕掛けるなんて思わなかった」
リュララ王女達は、2人が居ないこのタイミングでしか出来ない話をし始めた
「相歌の言う通りです!アレが相歌の言う通り、本当に白金の魔女だった場合、どうするおつもりだったんですか!?」
「すみません。彼女がどんな反応をするか知りたかったので……」
「もし逆上して襲い掛かってきたらどうするつもりですか!?」
「その時は相歌が何とかしてくれますから」
「至近距離ならね、それ以外は無理」
「ほら?」
「──────はぁ……」
ゼクシレンはリュララ王女に色々と言いたい事はあったが、グッとこらえてから大きく溜息をついた。
「素直に返してくれるならよし。逆上しても相歌が殺せるのでよし。どっちに転んでも問題はありませんよ」
「それは───」
「それに彼女がサトウ・タロウに相当入れ込んでいるのが分かりましたから、そこを利用すれば今後の展開も楽になる。今回の収穫とはしては上々です」
「そうですけど…………はぁ、もういいです」
「それで、次はどうする?」
「そうですね……『100年以上前の人間が何故肉体も精神的にも子供の様になっているのか?』とか『国をも滅ぼした殺戮者が次は何をしようとしているのか?』とか色々と気になる事はありますが、一番は……」
「「一番は?」」
相歌とゼクシレンが同じ台詞で同時にリュララ王女に聞く。
「『言い伝え通りに殺すべきなのか?』ですね」
「その為に召喚したんじゃないの?」
「そうなんですけど、今の彼女が世界を滅ぼすような存在とは思えなくて……」
自分達が相歌達を呼んだのは世界を滅ぼすと古くからクシジアスの言い伝えで言われていた魔女を殺す為。
最初は誰もが信じていなかったが……100年前、大量殺戮を行った魔女……『白金の魔女リリ』が現れた。
この時、初めてクシジアス王国は自国に伝わる言い伝えを信じ、魔女を殺そうと躍起になったが……結局魔女には返り討ちに会い、魔女はその後消息を絶った。
だが当時の王は辛酸を舐めさせられた事もあり、自分達の手で魔女を殺さない限り安心は出来ないと、白金の魔女を殺す為の魔法を国を挙げて作らせ───それが私の代で異世界から優秀な戦士を召喚する『召喚魔法』という形で完成した。
相歌達を召喚したのも白金の魔女を殺す為。
……しかし、私は実際に白金の魔女に会って、言葉に出来ない違和感を感じていた。
「人間なんてどうとでも変わるよ。好きな奴が死んで、それで気が狂って……とかじゃない?」
「それはそうだけど、私には別にいる気がして」
「言い伝えの奴が?」
「そう」
あの言い伝え自体アバウトな物。白金の魔女が殺すべき対象ではないかもしれない。
しかし白金の魔女が大量殺戮を犯したのは事実、言い伝えの魔女が他に居たとしても殺すべきなのは確か……だけど……。
「じゃあどうする?」
「……暫くは観察、かなぁ……どうにか2人を手元に置いておきたいんだけど……何か良い方法無い?」
「まあサトウ・タロウじゃない?」
「そうだよねぇ……とにかく彼に会わない事には始まらない、かぁ……」
リュララ王女は寝っ転がりながら身体を伸ばして寛ぐ。
「はぁ……パジャマパーティーなんて、魔女と何を話せばいいのぉ……」
「そこはゼクシレンが何とかするでしょ」
「私が!?」
「そうですよ、ゼクシレンが余計な事を言うからぁ~」
「ぐっ……!わ、分かりました……私がなんとかします」
「なんとかしてください~」
リュララ王女は、だらけきった格好で今後の展開をゼクシレンに任せようとする。
「───戻って来たみたい」
相歌は気配でアリアステル王女達が戻って来た事を察知し、リュララ王女とゼクシレンに伝える。
相歌の報告を聞いたリュララ王女は、だらけた格好を止めて、すぐに姿勢を正すとアリアステル王女が部屋をノックする音が聞こえて来た。
「アリアステルです」
「はい」
リュララ王女が返事をすると部屋の扉が開き、アリアステル王女とルルが部屋に戻って来た。
「すみません、只今戻りました」
「……その、さっきは取り乱したりして……その、すまなかった……」
ルルは気まずそうにしながら言う。
「別に大丈夫、気にしてないから」
「私も気にしていませんよ」
「わ、私もだ」
ぶっきらぼうに言う相歌と便乗するリュララ王女、そして今後のパジャマパーティーを任されて緊張しているゼクシレンの三人が問題無いと返事をする。
「そ、そうか……それなら───」
「それなら良かったです!これで問題無くパジャマパーティーを再開出来ますね!」
「う、うむ……」
『この空気でやるのか……』とアリアステル王女以外は思ったが、互いに言い出せる空気では無かった。
「それで気になっていたんですけど……ルルってサトウ・タロウさんと……その……キス、したことはあるんですか?」
いきなりそれを聞くか!?
いや、2人で顔を洗いに行っている間に急にアリアステル王女が呼び捨てになっていたりと急激に距離を縮めていた事にも驚いたが、この空気の中、それを聞くのか!?とリュララ王女達は思った。
「あるぞ」
いや、普通に答えるのか!?
「そうなんですか!?」
「う、うむ」
「その先は?」
「ちょっとっ!?」
『普通、深追いする!?』と急にぶっこんで来た相歌に、リュララ王女は信じられないと、若干裏返りながら驚きの声を上げた。
「あ、ある……」
「あるんですかッ!?」
「あるのか!?」
恥ずかしそうに答えるルルに食い気味に驚くリュララ王女とゼクシレン。
「とんでもないロリコンだ」
「ろ、ロリ……いや、まあそうなるのか……?」
「キスってどうでした!?サトウ・タロウさんが初めてなんですか!?」
───こうして地獄の様な空気の中で決行された第1回パジャマパーティーだったが、意外にも盛り上がり、かなりの成功を収めた。




