最後の襲撃者
冒険者ギルドと不動産ギルドの2人のギルドマスターにオススメされた家具店にやって参りました。
本日買うのはこちら!
・椅子
・テーブル
・寝具
最低限ここら辺は無いと不便ですからね、サクッと買い揃えて行きましょう。
「まずはベッド!長旅でもう全身バキバキ!早くふかふかのベットで休みたいぜ」
「うむ、そうじゃな」
「とりあえず各々良さげなのを買って……ってボゥルはベッドいるの?」
『いらない』
まあ元は野生のスライム、別に何処でだって寝れるか。
「じゃあ他に必要な物は?」
『本』
なんか子供にオモチャをねだられた親の気分だ。
にしてもこのスライム、人間の言葉が分かるからって本好きすぎだろ。
「はいはい、後で買いに行くから」
今日の買う物リストが1つ追加された。
「じゃあベッドは2つか」
「いや3つじゃ」
「……ん?」
3つ?3つ?何で3つ?
「…………ああ!来客用ね」
「いや、ワシとお主のじゃ」
こ、この女……頭の中、ピンク過ぎるだろ。
「……じゃあほら、時間無いし手分けして買っていくよ」
「うむ。……いや待て」
「はい?」
「この状況、買い物デートと言えるのではないか?」
何か言い出したぞ、この女。
「いやそれよりも新婚の夫婦の様ではないか?」
……まあ確かにね、実際そうかもしれない、ただ───
「本日はご兄妹でお買い物ですか?」
横からぬるっと男性店員が口を挟んで来た。
そうなんです。俺の彼女は身長126cm、どっからどう見ても彼女には見えません。
まあ俺としてはロリコンの疑いを掛けられなくてラッキーなんだけど。
ですが見てください、ディザベルの不服そうな、この顔。この後八つ当たりされる人は大変ですね~。
俺は、この後の自分の未来をまるで他人事のように思いながら家具を買い揃えていった。
───夕方、今日購入した家具などは全部アイテムボックスにぶち込んで身軽なままマイホームに帰って来た。
「後は買ってきた家具を設置するだけじゃな」
そう言ってディザベルは家の庭で人形のようなゴーレムを3体程生成した。
「さて行くぞ。既に家の掃除は出かける前に家に置いて来たゴーレム達にやらせておるから、これが終わればやっとゆっくり休めるぞ」
「おお~、用意周到!今日は夕飯買ってきたし、これさえ終われば!」
「そうじゃな、これさえ終われば……」
恐らく俺とディザベルが考えている事は違うだろうが、深く考えないことにしてゴーレム達と連携して家具を設置した。
「さて、ワシはまだやる事が残っておるから先に夕飯を食べておれ」
「そんな時間掛かるの?」
「ふむ……まあ1時間くらいかのぅ」
「別にそれくらいなら待ってるよ。アイテムボックスの整理とかもしたいし」
「そうか」
『俺は先に飯が食いたい』
流石スライム、人間らしさの無い自由さでいいですね。
「あーはいはい、先に食べてていいから」
俺はクリスタル・ボゥル用に買ってきた大量の豚のステーキを皿に盛りつけた。
「そういや因みに1時間も何するの?」
「この家を襲撃しようなんていう不届き者を八つ裂きにするトラップを張り巡らせたり、結界を張ったりとかじゃな」
「へぇ~」
「では行ってくる」
「行ってらっしゃい」
俺がディザベルを見送る傍ら、肉を馬鹿食いするスライム。
「……あ、やべっ!馬の世話!!」
俺は爆速で外に出て厩舎に向かい、リヴァータ達の餌を用意した。
「全く騒がしい奴じゃのぅ」
ついさっき別れて外に出ていたディザベルは笑いながらキョウを見ていた。
───夕飯!
今日の俺の夕飯はミートボールがゴロゴロ入った山盛りのミートソースパスタ!!美味い!!
───お風呂!
まるでプールのようにバカデカい風呂に俺は大興奮ッ!!
「フゥー!でっけぇ~~~!早く泳ぎてぇ~~~!!」
なんでこんなバカデカい風呂の家を買ったのか?泳ぐ為だよッ!!
「ンッン~♪では早速───!」
「ほほぅ、これは凄いのぅ」
ディザベルが乱入してきた。
「な、何ですか貴女!?あっ、アア───ッ!!」
「くふっ、くふふふふ!」
お巡りさん!この人、痴漢です!
…………夜。
風呂場でディザベルにねっとり絡まれて搾り取られた俺は疲労困憊でうつ伏せになってベッドに倒れていた。
「つ、疲れた……まじで精魂尽き果てた…………」
別に新居だからって子供の様に、はしゃいだからって訳じゃない……いや大人ならではの、はしゃぎ方はしたか……。
「はぁ……疲れた……まあでも、この心地良い疲労感。このまま寝れたら───」
最高。
「くふ、くふふ♪」
マルテミ目指して旅をして来た、この7日間。
毎日盗賊やらなんやらに襲撃され続けて来た、この7日間。
マルテミに着いて、やっとこれで馬鹿野郎から襲われる心配はもう無い、これでゆっくり羽を伸ばせる、くつろげる……そう思っていたのに。
「んふ~っ♪キョ~ウ♡」
まさか身内がラスボスだなんて……!
「うわああああああ!」




