家を買おう!
マルテミの冒険者ギルドのギルドマスター、ディランと談笑しながら、やって参りました不動産ギルド!ここで超・大豪邸を買うわけですよ!
というわけで早速入店!
不動産ギルドに入るとディランを見た職員がすぐさま対応する。
ディランは不動産ギルドの職員と短いやり取りを交わすと俺達はギルドの応接室に案内された。
案内された部屋で暫くの間待っていると、少しふくよかな体系の黒髪のおじさんが部屋に入って来た。
どうやらこのおじさんが不動産ギルドのギルドマスターみたいだ。
「お待たせしました。ギルドマスターのアリダです。そちらの二人が今話題の───」
「ああ、サトウ・タロウとルルだ」
「フッ、よろしく」
ピッと人差し指と中指を立てて少しカッコつけてみる。
「それで家を買いたいとの事ですが、ご希望の物件は何かございますか?」
どんな家がいいか、それはこの7日間でじっくり考えて決めていた。
「風呂!とにかくデカい風呂がいいです!まるでプールみたいな浴槽のある家が!」
日本人に生まれたからには一度は夢見るバカデカい風呂!そして風呂で泳いでみたいという欲望と野望!それらを一度に叶えたいんだ俺は!
「それと広い庭にプール!あ、あと馬がいるんで厩舎も欲しいです!!」
「なるほどなるほど……」
「私は広い部屋が沢山あると嬉しいな♪」
……なんか久々にディザベルのぶりっ子を聞いたな。
まあ今は冒険者ルルだから別にそれが普通なんだろうけど……なんか気持ち悪いな。
とか考えていたらディザベルに足を踏まれた。エスパーかコイツ。
「お二人のご希望を満たす物件が幾つかありますが……」
「大丈夫です!お金なら幾らでもあるんで!」
「ハハッ!確かにそうだな。金なら幾らでもあるし、これから奴らを捕まえた分、増えるもんな」
俺の言葉を聞いたディランは大笑いしながら膝を打つ。
「豪邸も豪邸、超・大豪邸を買いに来たつもりですから、お金の事は気にしないでください!!」
「分かりました。そうなると……この4軒でしょうか」
不動産ギルドのギルドマスター、アリダは物件の情報を纏めた分厚いファイルの中から4枚の紙を取り出してテーブルに置く。
俺はテーブルに置かれた4枚の紙を見てみる。
…………何も分からない。
俺がガキなのもあると思うけど、こんなの紙を見ただけで分かる奴いるのか?
「この中ならここかな」
ディザベルは4枚の紙の中から1枚を指で差す。
お、おばあちゃん……!?
やっぱり生きてきた年数が違いますよね!?頼りになるぜー!
「───痛ッ!?」
また足を踏まれた。思考盗聴されてる!?
「内見して問題無かったらここにするけどいいよね?ね?」
「は、はい……」
俺は足の痛みに耐えながら了承する。
「畏まりました。ではこちらの内見は───」
「い、今からで……」
「畏まりました、では行きましょう」
俺とディザベル、それからディランはアリダ先導のもと、ディザベルが希望した物件に向かった。
ディザベルが希望した物件の立地は、メインストリートからかなり離れていた。
買い物する時ちょっと不便かもって思ったが、メインストリートから離れている分、雑踏も無くて静かで住む分には割といいかもしれない。
物件の方はというと希望通りの広い庭にバカデカいプール!そして離れた所には厩舎がある。正しく俺の希望通りの豪邸だ!
そんな絵に描いた様な豪邸に入り、アリダに部屋の紹介をしてもらっているがかなり広い。この感じならディザベルの『広い部屋が沢山欲しい』って条件もクリアできそうだ。
っていうか、この豪邸、3階建てだ……!しゅごい、こんなの余裕でディザベルの条件クリア出来るだろ。
後は肝心の風呂だが…………合格です!なんなら庭のプールより広い!!もう気に入っちゃったもんね!おら、ここに住むだ!!
「ここにします!」
「私も問題無いよ」
「畏まりました」
「ここいくらですか?」
「金貨10億です」
日本円でそのまんま10億円。
「じゃあ一括で」
国家の威信を揺るがすような事件を別々の国で2回も解決してますからね、10億なんて余裕で持ってます。
「畏まりました。では、お支払いはギルドに戻ってからでお願いします」
「分かりました。これって今日から住めますか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
やっっった!これで早速、自分の部屋で1人っきりで休める!
もうね、ずっと前から自分の部屋が欲しかったんよ!それが遂に今日、その念願が叶う訳だな!
「じゃあ早速ギルドに戻りましょう!!」
「おっとその前に」
不動産ギルドに戻ろうとした矢先、ディランに呼び止められる。
「お前ら、こんな豪邸に住むんだ、馬の飼育員とか掃除の手伝いのメイドとかいるだろ?」
「──────メイド!?」
メイドってあれか!?あれだよな!?あのメイドだよな!?
「ウチで斡旋してやれるが、どうする?」
家にメイドがいるなんて最高過ぎるでしょ!!
「勿論ッ!お願いしま───」
「必要無い」
ディザベルが無情にも俺の言葉を遮ってくる。
「いや、いやいやいや!どう考えたって必要でしょ!?こんなバカデカい屋敷、掃除なんて一苦労よ!?」
「必要無い。そんなのワシのゴーレムにやらせればいい」
「いやでも!」
「必要無い」
「それでも!」
「五月蠅い」
「はい…………」
男の夢、潰える。




