風俗店『ティーア』
風俗店『ティーア』
自称この国1番の風俗店と自称するだけあって他の風俗店とは一線を画していた。
まず店舗の大きさだ。
他の店は精々2階建てが関の山で、サービスを提供するのは1階のみのパターンが多い。
そんな中『ティーア』は、まるで貴族の別荘のような外観の4階建ての建物で無駄にデカい。
更に無駄にデカい建物と同様に広い入口には営業時間中、スーツ姿の男達が警戒に当たっているらしいが今は18時頃、本来の営業時間は20時からなので今は外に誰もいないが。
スーツの男に中に案内され入ってみると、なんというか海外ドラマや映画で出て来るクラブのような内装をしている。
オーナーが待つ部屋まで歩きながらこの店の説明を聞いていると、どうやら1階から3階までが営業スペースらしく、男の従業員達が開店準備を進めていた。
4階が関係者以外立ち入り禁止のスタッフルームで、そこにあるVIP用の接客室に俺は連れて行かれるらしい。
ここに来る時、タロウ様専用の癒しをくれるって言ってたし、よくドラマで見るような悪徳政治家が両脇に美人の姉ちゃんを侍らせるプレイみたいなのを期待してもいいんだよな!?
「お待ちしておりました、サトウ・タロウ様」
全然違った。普通に薄紫色の髪の優男風の細身のイケメンが俺の事を待っていた。
部屋に入った途端、ここまで俺を案内していたスーツの男が退室し、イケメンと2人っきりになってしまう。
「俺の癒しは!?美人の姉ちゃんは!?」
「すみません、まずは2人っきりでお話をさせて下さい。その後でなら自由にして頂いて構いません」
「自由にしていいって美人の姉ちゃん相手に!?」
「はい」
「あんな事やこんな事、えっちな奴も!?」
「ええ、勿論です。ここはそういうお店ですから」
「よーし、話を聞こうか!」
俺は黒色の本革のソファーにドカッと座る。
「ありがとうございます」
イケメンもテーブルを挟んで俺の対面にあるソファーに座る。
「まずは自己紹介を。私はこの店のオーナー『ティーア・ミジェ』です」
まんまじゃねーか。
「ああ、よろしく」
俺はティーアと軽く握手をする。
「ダンジョンの踏破おめでとうございます」
「おう、ありがとう」
「単刀直入にお聞きします、今回の収益は、おいくら程になりましたか?」
「想定では金貨5億枚。まだオークションが始まってないから正確には分からないが、それくらいになるだろうってギルドの職員が言ってた」
ギルド職員が言うにはミスリル鉱石の塊もそこそこの高値で売れるみたいだが、それよりも宝箱から手に入れた大量の宝石がどれも希少な宝石だったみたいで目ん玉が飛び出る程の高値が付く事が予想されるらしい。
因みにえっちな夢見放題の夢見の水晶はディザベルによって売られてしまった。すっごい悲しい。
「そうですか……それではやはり、こちらを持つのに相応しいみたいですね」
ティーアは懐から取り出した黒色のカードをテーブルの上に置いた。
「これは!?」
「そちらはこの店のVIP会員を証明するカードになります。資産として最低でも金貨5000万以上無いと獲得出来ないカードなんですよ」
「へぇ~、VIPってどんな恩恵があるの?」
「様々な恩恵がありますが1番の恩恵は、通常の方は23時までしか滞在出来ませんが、VIP会員の方は翌朝9時まで滞在出来ます」
「朝帰りじゃん!」
「ええ、朝帰りです」
成程ね、お気に入りの女と夜通しえっちな事が出来て寝泊まり出来ると。いいじゃんこのカード!
「これって今日から!?」
「ええ、今日からです」
「あ~いいじゃん、貰っちゃおう」
俺はVIP会員カードを受け取り懐に仕舞った。
「そしてここからは他言無用でお願いしたいのですが……」
「OKOK!俺は口が堅い方なんだ」
それを聞いてティーアはパチンと指を鳴らし部屋の外に話し声が漏れないように防音魔法を展開する。
「タロウ様は奴隷について、どの程度知っていますか?」
「ん?そりゃあまあ一般的な知識と、この国でも禁止されている事くらい」
「もし、奴隷をここで買えるとしたら?」
「え?」
「ここで買えるんですよ奴隷が」
「でも禁止されてるんじゃ?」
「それなんですがね、既に多くの貴族連中を取り込んでおり王族でもなければ私達を捕まえようとはしません」
「つまり非合法が合法になってると」
「そういう事です。そして奴隷の購入方法なんですが毎月1回ここの地下でオークションを開いてまして、今日がその日なんです」
「へぇ~、一応どんなのがいるか今、見てみたいなぁ」
「勿論です」
ティーアはそういうと指に嵌めていた指輪の色が変わった。
どうやらあの指輪、以前俺がディザベルから貰った指輪と同じものようだ。
暫くすると部屋に裸の女性が3人、入室して来た。
「おぉ~、これがご自慢の奴隷?」
「そうです」
入室して来た奴隷の女性は全員首枷をしており、2人は銀色で1人は赤黒い首枷を付けられていた。
「これってあの魔封じ?あの赤黒いのは見た事無いけど」
「これは隷属の首枷と言いまして、どちらも私のお手製で魔封じと似た効果を持っているんですよ」
「ほぇ~~~!成程ね!……それじゃあ、こっちも態度を改めて、ただもてなされるだけの客じゃないって事を見せないといけないな」
そう言って俺はアイテムボックスを開き右手を突っ込みある物を1つ取り出してテーブルの上に置いた。
「これは白金のインゴットですか?」
「ええ、これはお近づきの印にどうぞ受け取って下さい」
「これはどうもご親切───」
ティーアが座ったまま白金のインゴットを受け取ろうとした時、突然目の前から白金のインゴットが消え小さな靴を履いた子供の足が現れた。
「に───?」
ティーアは突然視界に入った子供の足を見て、不思議そうに顔を上げた瞬間───
ディザベルの右の踵落としが脳天に直撃し、ティーアはテーブルも床もぶち抜いて4階から地下まで落ちていった。




