人生で初めて女の子から告白された!!
「な、何でェェェ───ッ!?」
榊原境、苦節17年にして人生初の女の子からの愛の告白を受けた。
健全な男子諸君ならば、この夢のような状況、舞い上がり大声で『やったーッ!!』と叫びたくなるだろう。
……だが、俺は舞い上がるどころか困惑していた。
『え、何で風呂に入って来てんの!?』とか『何で俺、告白されてんの!?』とか色んな疑問と感情で頭の中はパニック。
それを全部ひっくるめて出たきた言葉が『何で!?』だった。
「やはりそうか」
「やはりそうかぁ!?」
何故、ディザベルの姉であるララに告白されているのか全く分かっていない俺とは違って、ディザベルは1人納得していた。
「お姉ちゃんはワシと一緒にお主の事をずっと見てきたんじゃぞ?ワシが惚れた程の男をお姉ちゃんが好きにならぬはずがない」
「え、えぇ~?」
ディザベルに急に褒められて、俺は気持ち悪いニヤケ面をしながら気色悪い声が出てしまった。本当に評価が台無しである。
「……いや、でもよ!?ララが俺の事を好きになったのは分かった、理解もした。でも何で告白を!?俺にはもうディザベルがいるし」
「ん?何か問題でもあるのか?」
ディザベルは、何を言っているんだコイツ?といった顔で俺を見ている。
「いーや、いやいや!?告白されてんですよ!?俺がホイホイと、この告白を受けたら二股……浮気になる訳で!?」
「別に付き合えば良かろう?」
「ハァァァ~!?もし俺がディザベルよりもララの事を好きになって、ディザベルと別れる事になったらどうすんの!?」
「ワシの事よりもお姉ちゃんを好きになるのは仕方ない事じゃが、別に別れる必要など無いじゃろ?」
「へぇ!?別れる必要が無い!?」
「ワシらと付き合い、ワシらを愛し、ワシ達と、け……結婚すれば良いじゃろ?」
ディザベルは、ちょっと照れながら、とんでもない提案をして来た。
「いやいやいや!?そしたら重婚よ、俺!?そんなのダメでしょ!?日本じゃ───」
「お主の居た世界の法律は知らんが、異世界では重婚など珍しくとも禁忌でもないぞ?」
「あ、あぁ…………」
そうでした、ここ異世界なんでした───!
「…………いやでも!でもよ!?重婚OK!本人の了解も得られた!じゃあ付き合うかっ!って、そんなの誠実さの欠片もないでしょうよ!?」
「キョウは、そんな事しないでしょ?」
「うっ……!?」
「それに、キョウなら絶対に私とお姉ちゃんを幸せにしてくれるって信じてるから」
ディザベルは、俺の指と指の間に自分の指を絡める様に入れて、優しく手を握ってきた。
柔らかな小さな手の感触が、俺を信じてくれている女性の気持ちが痛い程伝わって来る。
「…………とんでもない殺し文句だな……!」
「ふふっ……♪」
ディザベルは、恋人繋ぎを止めて浴槽から立ち上がる。
そして、そのまま浴槽から出て、ララの元へ歩いて行った。
「それじゃあ今日は、お姉ちゃんに譲ってあげる」
「いいの?そんな余裕かまして?うかうかしてると私がキョウくんの1番になっちゃうよ?」
「そこは絶対に譲らないよ?お姉ちゃん相手でも絶対に負けないから」
ララの挑発も何のその。ディザベルは、余裕たっぷりに笑って見せる。
ララは、そんな妹の姿を見て優しく笑った。
「それじゃあ2人とも、私は先に寝るね」
「うん。おやすみ、ディザベル」
「おやすみ、お姉ちゃん」
ディザベルは、キョウとララの2人に、おやすみの挨拶をして浴室から出て行った。
「…………あの、俺はララの事を何も知らないのに、それでもいいのか?」
それでもいいのか?っていうのは、俺はララの事を好きでも嫌いでもないというのが現状だ。
そんな状態で、向こうが俺に惚れてるからって、付き合っていいものなのか?
「大丈夫。ぜーったい、私の事を大好きにしてみせるから」
ララは『任せて!』と、ディザベルに負けないくらい大きな乳房を揺らしながら自信満々に胸を張って言った。
「それじゃ~あ!私の事をなーんにも知らないキョウくんに、早速、私の魅力をアピールしちゃおっかな~♪」
ララは、上機嫌に言いながらバスチェアに座った。
「まずは私の髪質!洗いやすさからね?」
「この感じ、前にもあったな~」
以前、ディザベルの髪をこんな感じで洗った事があったなーっと思い出しながら、ララの髪を洗い始めた。
「姉妹そっくり?」
「ああ、見た目も甘え方もそっくりだ」
「まぁ~、双子だからね~」
「……ふ、双子ぉ!?」
「そうだよ~、同い年」
「はぁ~……どうりで似てる訳だ……」
ディザベルとララは、性格や話し方こそ違うが、容姿は本当にそっくりで、いつか間違えてしまうんじゃないかと内心ヒヤヒヤしている程だ。
「同じ人を好きになっちゃったしね~……ねぇ、キョウくん?」
「ん?」
「ありがとう。ディザベルを助けてくれて」
「……次からは絶対にもっと早く助ける」
ジガスの時と今回と、酷く痛めつけられたディザベルの姿がフラッシュバックする。
助けられたから、ギリギリ間に合ったからOK!ではない。
今度こそ、次こそは絶対に危ない目には合わせない、もっと早く助け出してみせる……!
「それも大事だけど、私が言いたいのは、そうじゃなくてね」
「え?」
「こう言えば良かったね。ディザベルの心を救ってくれてありがとう。ディザベルが、おばあちゃんの姿の時からキョウくんが一緒に居てくれたお陰でディザベルは救われてたんだよ?だからありがとう」
「……なんだか、むず痒いな。別に特別な事はしてないのに、ただ一緒に居ただけでお礼を言われるなんて……」
そう、ただ一緒に居ただけ。ただ一緒に生活していただけ。
一緒にいる中でディザベルの事を好きになって、それでずっと一緒にいただけで褒められるなんて……。
「それと、私との約束も守ってくれて、ありがとうね」
「…………約束?約束なんて何かしたか?」
俺は、ララの髪に付いた泡を流しながらララとの約束を必死こいて思い出そうとする。
だが、いくら考えても、脳をフル回転してもララとの約束なんて思い出せなかった。
いや、そうじゃない。
そもそもララは生き返ったばかり。約束なんてする暇は無いハズだ……。
「……あー、そういえば言ってなかったけどダンジョンで話してた大人のディザベルって、アレ、私だから」
「…………」
ダンジョンで話してた大人のディザベル……?
ダンジョン…………。
ダンジョンというとガーンデーンのアレだな?
大人のディザベルってガーンデーンのダンジョンでのアレ……だな?
「───んんっ!?昔のディザベルじゃなくて!?ララぁ!?」
「うん。ディザベルの足を引っ張るなって言ったディザベルが私だよ」
「あのバカ強いディザベルがララぁ!?」
「うん。ディザベルより強くなってって言ったよね?」
「え!?あっ?え!?言ってたけど、ついさっきまで死んでたんじゃ……!?」
「それなんだけどね。私が、ずっとディザベルの眼の中で生きてたのって知ってる?」
「ああ……」
そういえば、そんな事を言っていたなぁ……。
「それで、あの時のディザベルって自分の過去に打ちのめされて、心の奥底で闇に囚われて、それが落ち着くまで、表に出て来れなかったの」
「はい……」
「そこを利用して、一瞬だけ空いたスペースに私が出て来れたんだよね」
「なるほどぉ……なるほど!?いや全然、成程じゃないが!?」
俺は、驚きすぎて後ろに仰け反てしまう。
「あんの、おっそろしい、キレッキレの大人ディザベルがララだってぇ!?」
「結構、昔のディザベルそっくりに演技出来たと思うんだよね~」
「え、あ、そ、それで……え?何の話だっけ?」
急に予想外の方向から伏線を回収をされたせいで、何もかもが頭から飛んでしまった。
「だーかーらー」
「うおっ!?」
ララは、俺のお腹に抱き付いて来た。
……丁度、股間の辺りに柔らかい胸の感触が……ッ!
「約束を守ってくれてありがとう。本当はディザベルを守る為に脅したつもりだったんだけどね」
「えぇ!?お、脅しだったの!?」
「そっ。まさかこんなに早く約束を果たされるとは思ってなかったけどね?」
「そ、そりゃあ、まあ……俺だってディザベルを守りたいし……」
「…………ディザベルを守る為に、幸せにする為に見守ってたはずなのに、キョウくんが必死になって頑張って約束を果たそうとする姿に、約束を守った、あの姿に、あの瞬間に───」
ララは、抱き付く力を強めながら俺の顔を、俺の目を、その綺麗な白銀の瞳でじっと見つめながら……
「───私は、恋に落ちたんだよ?」
俺への愛を伝えた。
……俺は、ララのそんな姿を見て『可愛い』と『好きだな』と素直に思った。だから───
「……ん…………」
俺は、ララを抱き上げながら、彼女の唇にキスをした。
「……俺も、今、恋に落ちた」
「……ふふっ♪ここも私の事が好きだーって言ってるもんね?」
ララは、その柔らかな手で俺の男性器に優しく触れた。
「そ、それは……あんな風に胸を押し当てられたら…………」
「『ディスティア』」
「え?」
「それが私の本当の名前。ちゃんとこれからは、そっちの名前で呼んでよ?」
「……分かったよ、ディスティア」
「…………じゃ、残りの身体も、洗って貰おうかなー♪」
ディスティアは、好きな人の口から発せられた自分の名前をゆっくりと噛みしめながら、キョウに催促をした。
「そ……それは……耐えられなくなりそうだ」
「え?あぁ~……」
ディスティアは、俺の股間を見ながら『耐えられない』という言葉の意味を理解した。
「じゃあ、ここでシちゃう?」
「うぇッ!?」
とんでもない提案が彼女の口から出て来た。
「初めてはベッドの上が良かったけど、キョウくんが辛そうなら───」
「じゃあ、ベッドまで耐えるさ!」
「……いいの?」
「流石に、そこまで獣じゃないって」
「ホント~?毎回朝までやってるけど?」
バレてら。
「…………耐えます」
「ふーん……。まっ、辛くなったらいつでも言ってねー」
「耐えます」
俺は、無心になって、色欲を、性欲を捨て去って、ディスティアの身体を洗う事に集中した。
肉欲よ、去れッ!!




