恋のライバル出現!
「皆さん!今日は本当にお疲れ様でした!」
───時刻は既に、夜の20時。
救助活動を終えたディザベル達は、マルテミの王女であるアリアステルによって、マルテミ城に集められていた。
「皆さんのお陰で、1人も犠牲者を出す事無く救助を終えることが出来ました!マルテミの王女として、改めてお礼を……!」
この場に皆さんを集めたのは、この為。
救助活動に協力してくれたディザベルやリュララ王女達に対し、アリアステルは深々と頭を下げた。
「頭を上げてください、アリアステル王女。私達は、人として当然の事をしたまでです」
頭を下げるアリアステルをクシジアス王国の王女、リュララが止めた。
「ですが今回の件は私が……私達が王族のせいで……!」
今回の件に関与し、兵や国民、ディザベル達に対して後ろめたさのあるアリアステル。
そんな彼女に対してディザベルは、ただ事実だけを述べた。
「国を危機に陥れたのが王族だと言うのならば、救ったのも、また王族だと思うぞ?」
今回の一番の功労者が誰なのかを知っているディザベルは、2人の会話に割って入る。
「そうですよ!今回、犠牲者を出さずに済んだのはアリアステル王女が国民達を即席の救助隊として使ったからです!私達の力など微々たるものでしたよ!」
「それ……は……国民の皆さんが快く協力してくれただけで……」
「家族や友を救いたいという気持ちから協力したのも勿論あったかもしれんが、それでも国民達に支持されてなければ、今日の、この結果は無いと思うがのぅ?」
「それでも私は……私のせいで皆が……」
「全く頑固じゃのぅ……。そんなに自分の力を認められぬのなら国民に聞いてみてはどうじゃ?」
「それは……そうですね。後日、国民の皆様に今回の件を全てお伝えしたいと思います。正直に話さなければ示しが付きませんから……」
「ふむ、なら決まりじゃな……ふあぁ……」
ディザベルは、眠気を抑えきれず、人前で欠伸をしてしまった。
「すまぬが今日はもう解散せぬか?正直、疲れ切ってしまった……」
「そうですね、私も今日は疲れてしまいました……」
アリアステルは笑顔で話しつつも、その顔には疲労が見える。
「今日はこれで解散……と行きたい所なんですが……ルルさん」
「ん?」
「そうですね……2日後に、あの女性の事や、あなた自身の事も含めて私達に全て話してくださいませんか?」
「……そうじゃな、2日後に、あの女を含めて全て話そう」
「うぇ!?いいの!?」
まさか全て話すだなんて夢にも思っていなかったキョウは、驚きの声を上げながらディザベルの顔を見る。
「お主が来る前に粗方、あの女が話してしまっているからな。仕方あるまい」
「あっ、そうなんだ。……まぁルルが良いって言うなら止めないけど」
「うむ。ではまた、2日後に会おう」
「はい。皆さん、今日は本当にお疲れ様でした」
アリアステルは、再び深々と頭を下げた。
「またのぅ。行くぞ、タロウ」
ディザベルは、タロウの腕を引いて自宅に帰ろうとした。
だが、そこでキョウが何度も何度も同じ人物の顔を、ヤマダ・ハナコの顔をチラチラと見ている事に気付いた。
「……おい」
ディザベルは低いトーンでキョウに圧を掛ける。ワシという者がいるというのに、他の女に現を抜かすな、と。
「いや、あの……すっごい見覚えのある人がいて……」
ディザベルに圧を掛けられているのは分かっている。だが、あの黒髪の女の子の事が気になって気になって仕方がない。
キョウは、思い切って彼女に気になっている事を聞いてみた。
「あの……もしかして日本人……ですか?」
「そうだけど?」
当然の事の様にヤマダ・ハナコは即答する。
「あっ、なーんだ、日本人かぁ~~~…………日本人ッ!?」
キョウは、4度見しながら超オーバーリアクションで、たまげていた。
「それが何?」
「いや!?いやいやいや!?!?!?ずっと自分1人だと思っていた転移者が、ここに来て現れたァ!?それも同じ日本人!!こーれは、盛り上がって参りました!!」
こういうのでいいんだよ、こういうので!と言いながら、鼻息荒くヤマダ・ハナコに近づこうとするキョウ。
そんな彼を2人のロリババアが引きずる。
「そんな事より、もう帰るぞ」
「もう疲れちゃったよ~、おんぶして~」
「ちょ、ちょっと待って!?今、すっごく大事な───!」
「「五月蠅い」」
「オアアアアアア…………」
本当に、それはもう本当に、そういう転生、転移系の物語的に良い所だったのにキョウは2人のロリババアによって無理矢理、家に連行されてしまった。
「ご無体なぁ…………」
───こうしてディザベル達の長い1日が終わった……かに思えた。
「ふぅ……生き返るぅ~……」
「そうじゃのぅ……」
キョウとディザベルは、自宅の大浴場の浴槽のお湯に浸かっていた。
勿論、タオルなどは無い。全裸で。
「やっ……と甘えられる……」
ディザベルは、座りながらキョウの胸板に、もたれかかった。
キョウは、そんな彼女の頭を優しく撫でる。
「……なぁ?なんか胸、デカくなって───」
その時、何者かに勢いよく大浴場の扉を開けられた。
「な、なにィ!?」
「キョウくん聞いて!!私もディザベルに負けないくらい、キョウくんの事が大好きなの!!」
大浴場の扉を開けたのは全裸のララ、ついさっき生き返ったばっかりのディザベルのお姉さんだった。
「───な、なァにィィィィィ!?」
「私とも付き合って!!」
───突然の愛の告白、突然の春、突然のモテ期、そして突然の修羅場がやって来た。




