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俺を異世界に召喚した悪い魔女の婆さんをロリババアにしたら何処までも粘着して来るようになったんですけど!?  作者: アステロイドV2
第三章 恋のライバル出現

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浅慮な考え、行い、その結果

───クニアの吸収魔法によって瀕死になっている国中の全ての国民を救助する為に、一度自宅に戻ったディザベルとララ。


2人は服を着替えながら、あ(・)る(・)話(・)題(・)について話をしていた。


「……ごめんね、ディザベル」


いつも明るくて笑顔で余裕があって軽快な口調で喋るお姉ちゃんが重苦しく口を開いた。


「え?」


「私のせいで怒りも憎しみも復讐も、全部ディザベルに押し付けちゃったよね……」


ディザベルに対して罪悪感のあるララは、俯き、顔を逸らしていた。


「お姉ちゃん……」


……そうか、そうだった。


お姉ちゃんは、私にくれた魔眼の中で生き続けていたと言っていた。


それはつまり、命を捨ててまで助けた妹が復讐に狂って行く様を、手出しも口出しも出来ずに、ただ見続けると言う生き地獄を今日まで生き続けていた事に他ならない。


……本当に、復讐の為なら色んな事をした。


殺しも、誘拐も、盗みも、キョウにすら言えないような事を、そう何もかも……。


その度に、ただ見ている事しか出来ない、お姉ちゃんは、魔眼の中で後悔と罪悪感に苦しんでいたのだろう。


それが、どれ程の苦痛だったのかは、私では想像がつかない。


───でもね、お姉ちゃん。お姉ちゃんが苦しむ事は無いんだよ。


「独り残されたディザベルが復讐に身を焦がす事くらい、少し考えれば分かったのにね……」


「……違うよ、お姉ちゃん。復讐は誰に指図された訳でも、誘導された訳でもない。私が、私自身が自分の意志でやった事なんだから」


ディザベルは、俯いているララの両手を握りながら話し始める。


これはかつて、目が見えなかった頃の自分に、お姉ちゃんがやってくれた話し方だ。


こうするとね、相手は安心するんだよ?知ってた?お姉ちゃん。


「正直、無関係の人を大勢殺してしまった事は今でも後悔してる……。でも優しかった皆をあんな風に殺されて、私は復讐しないなんて考えられなかった……!だから、お姉ちゃんが気に病む必要なんてない。これは私一人の責任、私一人の罪なんだよ」


「違う!それは違うよ、ディザベル!」


ララは顔を上げて、ディザベルの手を握り返した。


「お父さんや、お母さん、村の人達がどうするかは分からないけど!私もディザベルと同じ立場だったら同じ事を同じようにしてたよ、それこそ無関係の人も大勢殺してね……」


「お姉ちゃん……」


「……だから……だから、これは2人の罪だよ。2人で背負って、2人で償って行こ?」


お姉ちゃんは、私も共犯だと笑いながら言ってくれた。


やっぱり優しいね、お姉ちゃんは。私と違って……。


「だからさ!?急に降って湧いた罪滅ぼしのチャンス、無駄にしないようにしないとね!」


「そうだね!一緒に頑張ろう、お姉ちゃん!」


ララとディザベルの2人は、気持ちを切り替えて救助活動に向かった。




「おい、見てみろよコレ?面白いぞ」


───マルテミ城の地下、牢屋のある空間でナリバスは面白いものを見つけていた。


「これは……うちの大臣とカルシュさん達ですね……」


ナリバスの後ろから現れたアリアステルは、牢屋から出ているカルシュと、牢屋の鍵を持っている大臣を見て溜息をつく。


「状況から察するに、大臣が脱獄の手引きをして外に出した矢先、あの人の吸収にやられて、揃って気絶しているようですね……」


「へぇ~、脱獄……それで、どうするんですか?助けるんですか?」


アリアステルに付いて来たキョウは、漫画や洋画とかでしか見た事の無い脱獄シーンを物珍しく見ながら、王女であるアリアステルに指示を仰ぐ。


「そうですね、彼らからは色々と聞かなければならない事が沢山ありますから」


「わっかりましたー!」


キョウは回復薬を手に取り、カルシュに飲ませる。


「……おい、いいのか?」


ナリバスは怪訝そうな顔をしながらキョウに質問する。


「ん?何が?」


「お前が助けようとしてる、そいつ……お前の女を襲った奴だぞ?」


呑気に回復薬を飲ませているキョウにカルシュの事を教えた次の瞬間───!


気絶していたカルシュが跳ね起き、即、戦闘態勢をとった!


「カルシュ!テメェやる気か!?」


ナリバスが吠えているがカルシュは無視した。


……今の状態でも、この犬はどうにでもなる、俺の敵じゃない。


他はアリアステル王女と数人の騎士……丁度良い、こいつらから武器を頂戴して犬を倒した後、アリアステルを人質にとれば───


そこまで考えていたカルシュの目に、間抜け面で、こちらを見ている、ひ弱な黒髪の男が映った。


……なんだコイツ?見るからに弱……いや、アリアステルと一緒にいるって事は冒険者か?


って事はナリバスのような戦士じゃなく魔法使いか?


……フン!なら、その間抜け面に見合う馬鹿な奴だな!こんな閉所で魔法使いなど役に立つものか!


敵対者の戦力を見極めたカルシュは、一気にキョウに向かって駆け出し、攻撃を仕掛けた!


「まずはお前から───!」


魔法使いを狙うのは定石通りだ。


万が一、閉所でも使える厄介な魔法を持っていても真っ先に倒してしまえばいいし、コイツを盾にすれば他の騎士やナリバスも攻撃がし辛くなる!


カルシュの、この判断は実に正しい。100点を与えてもいいだろう。だが───相手が本当に悪かった。


「あぐっ!?」


カルシュの顔面にキョウの拳がヒットした。


「ぶべっ!!」


カルシュには何が起きたのか理解出来ないまま、鼻血を空中に撒き散らしながら尻餅をついた。


「な……?へ……?」


何だ!?殴られた!?殴られた、のか?見えなかったぞ?何も!?


カルシュは困惑していた。


敵の戦力を見誤ったとしても、自分は腐ってもSランク冒険者だ。


どの国にも大体10人程度しかいないSランク冒険者だ、冒険者達の頂点なんだ!


その自分が、こうもいいようにやられるなんて……!!


何だ!?何なんだコイツは!?


カルシュは尻餅をついたまま見上げた。自分を殴って来た、あのヒョロガキの顔を見る為に。


「今日だけで2人もルルに手を出した奴に会うなんてな……」


カルシュの目の前にいたのは、身長2メートルを超える筋肉ダルマの大男だった。


「本当に何なんだ!お前は───ッ!?」


キョウの姿の変貌っぷりに、カルシュは目を見開いて驚愕した。


───そして逃げた。全速力で、脱兎のごとく。


キョウの大きく変貌した肉体を一目見ただけでカルシュは、自分との力の違いに気付いたからだ。


こんな奴とまともに戦ったって勝てる訳が無い、ここは逃げるのみだ。


……決して筋肉ダルマの大男に威圧されたらじゃない。……いや、誰だって逃げたくなるだろ。


「───何だ!?何なんだ!あのバケモノはッ!?」


カルシュは背中を向けながら全力でキョウから逃げる。


「ハァハァハァ!!」


後ろから凄まじい圧を感じる……!まるで背中を刺されているようだ!


「はぁはぁ……!」


もう大分逃げた筈だ、距離を稼いだ筈だ。


……少しだけ……ほんの一瞬だけ後ろを見てみよう。確認だ、確認が必要だ。奴が来ていないか、確認が必要だ。これは必要な事だ、必要な事なんだ。


「ハァ───!」


キョウの身体から発せられている並々ならぬプレッシャーに耐えられなくなったカルシュは、自分に言い聞かせながら、一瞬だけ後ろを振り返った。


──────奴の手のひらが、もう目の前にあった。


「おおぉッ!?」


キョウは、全力で走って逃げるカルシュの顔面を右手で掴むと、そのまま王城の壁に押し付け、めり込ませた。


「ば、バケモ…………」


「俺がバケモノ?違うな、俺は彼氏だ……!」


キョウに顔面を壁に押し当てられながら、カルシュは意識を失った。


…………こうして国を乗っ取ろうとした防衛大臣、ダルスンと、それに加担していた闇ギルドの長、カルシュの計画は、そんな事など一切知らなかったキョウとディザベルによって悉(ことごと)く防がれ、完全に潰(つい)えてしまった。



「…………な、なんでしょうか……とても頼もしいはずなのに、夢に出て来そうです……」


「ああ、俺もだ……」


半裸の肉ダルマが全力疾走でカルシュを追う後ろ姿を見ていたアリアステルとナリバスは、コイツが敵じゃなくて本当に良かったと心の底から安堵した。

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