ダイアモンドよりも強く、硬く、光り輝くもの
キョウに蹴り飛ばされて壁に激突し瓦礫に埋もれていたヴィスタだったが、創造魔法によって創り出した巨大なダイアモンドの両腕で邪魔な瓦礫を吹き飛ばし、キョウ達の前に姿を現した。
「ウソ……だろ……!?」
瓦礫から這い出て来たヴィスタの姿を見て驚くナリバス。
彼が驚くのも無理もない。
ヴィスタは、遠く離れた場所にある壁まで蹴り飛ばされたというのに……。
キョウに不意打ちされ、防御も出来ずにまともに喰らったというのに……。
傷らしい傷は一切見当たらず、まさに無傷の状態でキョウの前に立ちはだかっていたのだから……!
「───死ね」
ヴィスタは、怒りや憎悪などという感情を一切見せる事無く、ただ無表情で1000本のダイアの剣をキョウに向けて発射した。
「2Pカラーみたいな奴だな」
ディザベルの事を『リリ』って、白金の魔女の頃の名前で呼んでたし、昔からの知り合いなんだろうが
……そんな事はどうだっていい!
「おおぉぉぉ!!」
キョウの筋肉が!気迫が!魔力が!オーラが!一気に膨れ上がり、ガーンデーンのダンジョンで、ディザベル戦で見せたキョウの最強形態、理想の二十代の姿に変身するッ!!
お前が、ディザベルを倒したって言うのなら!
お前が、ディザベルより強いって言うのなら!
「オラァァァァァ!!」
キョウは、迫り来るダイアの剣に向かって拳のラッシュを繰り出した。
避けはしない。俺の後ろには守るべき女がいる!
キョウの両腕は残像を発生させながら、たった1秒で100本のダイアの剣を砕いた!
「あ───たたたたたたた!!」
キョウの拳は勢いを失わず、ヴィスタの剣を次々と破壊していく───!
以前までの俺なら、この形態でも3秒も掛けて50発程度しかパンチを撃ち込めなかっただろう。
だが今は!厳しい修行によって、1から身体を鍛え直した、今の俺なら!1秒で100発は撃ち込める!
「いい加減に───」
キョウがヴィスタのダイアの剣を600本ほど拳で砕いた頃、キョウの周囲に無数の小さなダイアの剣が浮かび上がる。
「死ね」
次の瞬間、まるでブリザードの中に入ってしまったかのようにキョウの姿が外から完全に見えなくなってしまった。
ヴィスタが繰り出したのは、ディザベルを打ち倒した、あの攻撃だった……!
「あんなの私でも無理」
遠く離れた位置にいたヤマダ・ハナコが、ヴィスタがキョウに夢中になっている隙にディザベルの真横に来ていた。
「お主、いつの間に……」
「あんなの喰らわなくて良かった」
「……ふん、確かにお主程度ならそうじゃろうな」
「……なに?」
───しかしディザベルは知っていた。
「あの程度の攻撃で止まる男じゃないぞ」
普通の人間なら、あの攻撃を喰らえばミンチになっているだろう……だが───!
「効くかァァァ!そんなもんッ!!」
いつまでもしつこく纏わり付く無数の小さなダイアの剣を、キョウは筋肉で弾き飛ばした。
「俺の身体は、ダイアよりも硬い!!」
当然、無傷───ッ!!
「私のサトウ・タロウは───!」
もう、ディザベルには見えていた。
最愛の人がヴィスタを打ち倒す光景が……!
「いや、死ねよ」
ヴィスタは、残り400本のダイアの剣をキョウの周囲に展開する。
「何度やっても───!」
「黒焦げになれ」
ヴィスタが瓦礫から這い出る為に使った巨大なダイアの両腕がヴィスタの前に現れる。
そしてその巨大な指先から薄い水色のビームが10本も撃ち出される……が、それで終わりじゃなかった。
ビームはキョウの周囲に展開していたダイアの剣に当たると、素通りしてキョウに向かうビームと別のダイアの剣に向かって反射されるビームの2つに増殖していた。
そうして別のダイアの剣に反射してを繰り返してビームは倍々に増えていき、数えきれないほどのビームがキョウに襲い掛かった。
「……流石にアレは無理じゃない?」
「…………まぁ、何とかなるじゃろ」
ディザベルの見えていた勝利の景色に、あの攻撃を凌いで勝つだなんてシーンは出て来なかったが、まぁキョウなら何とかするだろうという、謎の信頼感があった。
「効くかァァァ!そんなもんッ!!」
案の定、キョウの筋肉がビームを弾き返していた。
「ほれ」
ヤマダ・ハナコは絶句していた。
「俺は厳しい修行で筋力だけじゃなく知力も磨いた!その成果がコレだ!『インテリジェンス・ブロック』!!」
キョウはボディビルポーズを次々に取り、ビームを弾き返す!
「『インテリジェンス・ブロック』は筋力と知力の合わせ技!磨き抜かれた筋肉が!計算しつくされたポーズによって。どんな魔法も反射するッ!!」
…………キョウが何を言っているのか一切理解出来ぬが……まあ……応援しておくか……。
「が、頑張れー♪いいぞー、そこじゃー、勝てるぞー、信じておるぞー」
「応ッ!!」
ディザベルの熱い声援を受けた事で、俺の中に信じられない程のパゥワーが宿るッ!!
「だ───りゃりゃりゃりゃりゃッッッ!!」
俺は回転しながら、周囲に浮かんでいるダイアの剣を全て粉砕する。
「───さっきからッ!」
ヴィスタは、キョウに向かって巨大なダイアの剣を創り出して、それを振り下ろす!
「フゥンッ!!」
当然、こんな攻撃が今のキョウに通じるはずも無く、キョウは右の正拳突きで粉砕する。
「なんなんだ、お前はッ!?」
ヴィスタは、巨大なダイアの腕を飛ばし、その強大な質量でキョウを握り潰そうとする。
「そんなもんで───!」
キョウはダイアの両腕を己の筋力だけで破壊し、そのまま瞬間移動と錯覚してしまう程のスピードでヴィスタの懐に飛び込んだ!
「───ッ!?」
ヴィスタは咄嗟にダイアと自分の位置を入れ替えて攻撃を回避しようする。だが───
「俺達の愛を阻めるものかよォォォ!!」
それよりも早く、キョウの拳がヴィスタの腹を貫いた───!




