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旅立ち

エンハンブルクの某宿屋


魔法使い「金欠じゃぁ……デリヘルも呼べん。」


勇者「早く、次、行こーぜ。」


僧侶「戦士が帰ってきてからね。」


勇者一行は復活にかかった費用で経済難に陥っていた。当分、売春宿は禁止になっていた。


魔法使い「僧侶!一発やらせてくれ!」


ゴッ


僧侶のメイスが魔法使いの頭頂部にクリーンヒットした。


ドサ!


倒れた魔法使いは頭からピューっと音を立てながら血を出している。


勇者「おいおい、次死んだらアウトなんだぞ?爺さんは?!」


僧侶「これくらいで死にはしないわよ。」


そこへ慌てた様子で戦士が外から帰ってきた。


戦士「おい!みんな!これを見てみろ!」


勇者「ん?」


僧侶「新聞?」


魔法使い「ソリタニアのじゃぞ……」(ピュー)


そこには勇者達を屠った女が聖女と称えられて笑顔で写真に写っていた。


ノワール=B•オルクス


それが彼女の名前だった。


僧侶「辺境領イスラ。エンハンブルクダシマ領と山を挟んだソリタニアの田舎。」


戦士「あの野郎、領主様かよ!」


勇者「よし!仕返ししに行こうぜ!」


魔法使い「待て待て、ワシはまだ死にとうないんじゃが?」


僧侶「今行っても、返り討ちね。」


勇者「あー、そっか。」


今の装備でノワールに立ち向かうのは自殺行為だった。


戦士「まずは装備を整えてからにしようぜ!」


魔法使い「そうじゃ、そうじゃ!」


勇者「奴は炎系だったな。それじゃ、水系か、同系の炎の装備を探しに行くか!」


すぐに勇者一行は旅立った。




その日、アルゲン達を見送りに私は屋敷の玄関にいた。

手配したタクシーの馬車にはすでに忍者の二人が乗っている。


外は春の陽気に包まれ、街からは街道開通に向けた大きな建築現場の賑やかな音が聞かれ、山の所々には桜が満開になっている。


アルゲン「ノワール様、それではコレで。」


ノワール「ジョン•マクシムって子をしっかり教育して、支えてやって?金融業は甘くないでしょうし。」


アルゲン「わかりました。」


ノワール「後、母にもよろしくね。」


アルゲン「わかっております。長らく、ノワール様にお仕えできて光栄でした。」


ノワール「ちょっと、首都の金融支部に移るだけじゃない?あなたたちはこれからもずっとオルクスファミリーの一員なんだから。」


アルゲン「ははは、そうですな!」


アルゲン達を乗せた馬車が首都に向けて出発した。と同時にヴァイスがカバンをもって屋敷から出てくる。

ホムンクルスがヴァイスと行ってらっしゃいのキスをしている。


ノワール「あら?ヴァイス。どこか行くの?」


ヴァイス「えー!?君がリーリアのとこの宿屋の相談役に行けって言ったんじゃないか!」


ホムンクルス「お父さんはいつお戻りになられるのですか?」


ノワール&ヴァイス「誰のお父さん?」


ホムンクルスは魔女からもらった妊娠検査キットを恥ずかしそうに両手で掲げてみせた。


陽性。


ノワール「あら!やったじゃない!」


ヴァイスは泣いて喜んでホムンクルスを抱きしめている。


あ、そうだ。


ノワール「二三日、遅れても文句はないでしょ。先方には伝えておくわ?セレナ•トレイスカ女史がいるし、急がなくても、何とかなるわよ。」




私は男装してドラゴン精製施設に向かった。途中ゴブリン達に軽く挨拶して行く。


ノワール「ウホウホ!」


ゴブリン達「ウホウホー!」


長老が洞窟の外で日光浴している。その横には壮年期くらいの個体が皆に指示を出していた。


ノワール「代替わりの時期なのかしら?」


その指示を受けたゴブリン達は斧で山を切り開いている。これから棚田を作るのだろう、あるグループは石を持ってきている。


ノワール「自分たち用の野菜畑だもの、そりゃ精が出るか。」




ドラゴン精製施設の前にある池から組み上げた水を精製する機械化された工場があり機械人形達が出入りしていた。


ノワール「桃の天然水、コレは売れるわ!宿屋や食堂に卸して観光名物にしましょう!」


麻薬、鉄器の密造、販売

売春業、金融業、

街道開通、武具のギルド、道具屋のギルド、宿場町

クエストランド経営、

備蓄小麦の買い付け。


どれも順調だ。


街道が本格始動する来年には税収で上位に食い込む。私の夢はもう少しでかなう。


ノワール「そしたら、その次はどうしよう?」(ニチャァ)


まあ、それの相談も兼ねてマリアッチに会いに来たのだ。


ノワール「マリアッチ!ここの施設は慣れた?」


マリアッチ「はい!新しい区画も発見しましたし、シンフィールド先輩の残してくれた資材とデータを参考に魔獣も作り始めました!」


ノワール「新作?」


マリアッチ「はい!ご覧になられます?」


マリアッチは卓上のモニターを監視カメラの画像に切り替えた。


マリアッチ「竜種の魔獣です。」


ノワール「へぇ、なんて名前?」


マリアッチ「大きい蛇はヨルムンガンド。多頭のやつはラドン。その横の巨人はテュポーン。その横にいる女型巨人はティアマトです。」


ノワール「いっぱい作ってるわねぇ。食料とか大変じゃない?」


マリアッチ「そこはご安心を。シンフィールド先輩は生物としてドラゴンを生み出されてましたが、私のは魔獣です。エネルギー摂取を捕食に限定してません。」


うん、よくわからん。


ノワール「ここにきて一番変わったのはアナタねマリアッチ。今すごく輝いてるわ!」




数カ月後


季節は夏、朝早くのこの時間はまだ過ごしやすい。私は花束を買って墓地に一人で来ていた。ここに来た当時のことを思い出す。


みんな変わった。


そして、ここを辺境のド田舎を良くしようとみんなで頑張っている。




家族のために領地を経営してた男、ここに眠る

              リチャード•オルクス




ノワール「見て?とうさん。この町、だいぶ発展してきたでしょ?」


私は中央の貴族共に負けない。そして、あなたにも負けない。立派に領地を経営してみせる。


私は持っていた花束を父の墓標に捧げた。




介護施設の新棟が完成したのを機に、それまで屋敷で見ていた介護利用者を引っ越しさせた。


街道建設予定地のすぐ隣に建った立派な介護施設を屋敷の自室の窓から眺める。


ノワール『公金注入して、木材も人も余ってたから早い早い。』


コンコン


ノワール「なぁに?」


ホムンクルス「そろそろ夕飯の時間です。ノワール様。」


メイド達も夏季休暇を取らして、屋敷はがらんとしていた。残ってるのは身重のホムンクルスと私くらいだ。


ホムンクルス「給餌きゅうじは私が。」


ノワール「ダメよ、体を休めてなきゃ。マリアッチが手伝いに来てくれてるから私に任せてなさい!」


ホムンクルス『不安だ……』


しかし、自炊経験豊富なマリアッチがほとんど一人でチャチャッと3人分作ってくれた。


息巻いてた私はあまり活躍できなくていじけた。


マリアッチ「美味しいですよ!早く食べましょう!」


ホムンクルス「ホント!美味しい!ノワール様が作るからてっきり、変な味付けかと思ってました!」


ぐぐ、言うわね……しかし、完全に否定もできない。料理なんて生まれてこの方したことがない。


食卓まで運ぶのが面倒だからと厨房で女子が三人集まって飲み食いする。


シュッ!トン!


投げたナイフで飛んでいたハエを始末する。


ノワール「こういうのを適材適所っていうんだわ。」


マリアッチ『ホムちゃん!ノワール様を怒らせちゃダメ!』(ヒソヒソ)


ホムンクルス「ご、ごめんなさい!」


ノワール「いいのよ。今度、マリアッチに教わるわ?」


マリアッチ「はい!その時は手取り足取り!務めさせていただきます!うへへへ……」


ノワール「あ、そうだ。マリアッチの作ってた魔獣はどうなったの?」


マリアッチ「近々、ロールアウト予定ですよ。」


ノワール「そうなの?できたら見に行こうかしら?」


マリアッチ「できたら連絡します!いつでもいらしてください!」


ホムンクルス「あ、今、蹴った。」


ノワール「お腹の子?」


マリアッチ「へー、母体の神秘ですね!どれどれ?」


マリアッチがホムンクルスのお腹を触る。


マリアッチ「わ!ほんとだ!」


ノワール「わ、私もいい?」


ホムンクルス「どうぞ。」


ホムンクルスのお腹に押し当てた私の手にドン、と言う衝撃がある。


おー、我が子よ。元気に育てよ。(え?)




みんなでお風呂に入り、その日は早めに就寝となった。


マリアッチ「それでは私はドラゴン精製施設に帰りますね。」


ノワール「泊まっていけばいいのに。」


マリアッチ「いえいえ、魔獣達の世話がありますので。」


マリアッチは姿鏡から幽世かくりよ経由で帰って行った。いつの間に幽世から行き来できるようにしたんだろうか?今度、私も利用させてもらおう。




私は戸締まりを確認するためランプ片手に屋敷を歩き回っていた。


そんな中、一階の窓が開いてることに気がついた。外から生暖かい夜風が入ってきている。

その近くの部屋から物音がするのでそーっと扉から中を確認した。


「この引き出しにも何もねぇ。」


「しけてんなぁ、ラストダンジョンだろ?ここ。」


「んなわけないでしょ?」


「いやいや、あのタンスはどうじゃ?パンツ位あるじゃろ。」


見知った四人組の聞き覚えのある忌々しい声がする。


戦闘に突入する?


はい

いいえ◀


びっ


私はホムンクルスの事を思い出して、その場を音を殺し足早に離れ、ホムンクルスを起こしに行った。


ホムンクルス「ノワール様。」


しーっ


ノワール「強盗よ。黙ってついてきなさい。」


ホムンクルスを連れて、地下の隠し部屋に行く。


ノワール「アナタなら行けるでしょ?」


一応、ホムンクルスに幽世で迷わないよう眼鏡を渡す。


ホムンクルス「ノワール様は?」


まぁ、見てなさい。(ニチャァ)


ホムンクルスは私のその顔に安心したのか素直に鏡の中に消えていった。


戦士「あ!こんなとこにいやがったぞ!」


勇者一行が集まってくる。




ースルト。戦闘モードで起動。ー

ーアヌビス。戦闘モードで起動。ー

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