スルト神降(ダウンロード)
エンハンブルク、ダシマ領 サメンフント支部
ノワール「はい、これ。」
サメンフント「お越しになるとわかっていたら、お出迎えも、お茶等も用意いたしましたのに。ていうか、いろいろ質問しても?」
レイピアを腰に下げた剣闘士姿の私はゴブリンと意思疎通ができるようになるブレスレットをサメンフントに渡しに来た。
これから本格的にエンハンブルク側の麻薬畑を再利用する。農作業用マンパワー、ゴブリン達と意思疎通できてもらわなきゃ困る。
ノワール「手短にね?このマスク暑いんだから。」
狼の顔の私は白いアヌビスをすっぽりと被っているから、暑くて窮屈で早く脱ぎたかった。
サメンフント「顔はどうされたんです?」
ノワール「隠してるのよ?いけない?見られちゃまずいでしょ?私がここに来てるとか。」
なるほど。
サメンフントはそれ以上の詮索はしなかった。知りすぎるのはこの世界ではご法度だろうから。
サメンフント「このブレスレットは?」
ノワール「今度、麻薬畑の農作業にゴブリンを連れてくるから、それで彼らと意思疎通ができるわ。」
私は自分がはめているブレスレットを掲げてみせた。
ノワール「ウホウホ!(こんにちわ)」
サメンフント「あ、ホントだ!こんなモンどこから……」
ノワール「魔女の道具屋で注文したの。」
サメンフント『魔女!?ゴブリンのみならず魔女だって?!この姐さんはやばい!やばすぎる!』
サメンフントは口をつぐんで冷や汗をかいている。まぁ、仕事に忠実なら私の事をどう思ってようが構わない。
ノワール「そうそう、エンハンブルクではモンスターのことはどう伝えてるの?」
サメンフント「あー、昨日の新聞に載ってるんで見ます?」
私は新聞を広げた。1面には大臣の婚約とか心底どうでもいいことしか書いてなかった。
サメンフント「三面記事です。」
ノワール「フンフン、結構、狩られてるわね。」
サメンフント「勇者一行、サマサマですよ!いや、穀倉地帯を守ったのは大きいですよね!」
ノワール「ちっ!おのれ勇者どもめ、忌々しい!」
サメンフント「……え?!」『も、もしかして……!』
ノワール「マリアッチに追加で作成依頼しないと。」
サメンフント『この姐さんが首謀者かー!マリアッチって誰?!魔女か?呼び捨て?!魔女を?!』
サメンフントはズレた眼鏡もかけ直さずに椅子からずり落ちかけている。
ノワール「何してんの?アンタ?」
サメンフント「は、ははは……な、なんでもありません。」
ノワール「近日中にゴブリン連れてくるから、よろしくね?」
引きつった笑いしか口から出さなくなったサメンフントを置いて私は事務所を出た。
昼食
私は隠し部屋のマリアッチと共に昼食をとることが多くなっていた。
私の表しか知らない屋敷の使用人やメイド達に顔を隠して自室で一人こもってるより、事情の分かってる者たちと過ごしたほうが気分が楽でいい。
マリアッチ「ホムンクルスについてですか?」
ノワール「そうそう、アレって妊娠出産できるの?」
専門外の事を聞かれて記憶を引っ張ってくるように目を上に向けてマリアッチはワインを煽っている。
マリアッチ「確か、可能ですよ。妊娠出産機能オミットは追加オプションですし。
マタル様はめんどくさがりなので、ホムンクルス作成時に何も追加項目にチェックを入れてないなら。」
ノワール「それなら、よかった。追加項目なんて何もチェック入れてないわ。」『あ、そんな項目あったのか。ちゃんと見てなかった。まぁ、いいか。』
ホムンクルスは今、ヴァイスと共に仲良く昼食をとっているだろう。
それだったら、それを最大限利用するだけだ。
ノワール「妊娠出産育児とか、いろいろしてもらおうかなって。」
私は切り離した肉をフォークで刺して上に振っていた所を魔獣にその肉をパクっと取られた。
ムッチャムッチャ……
ノワール「めっ!」
魔獣「キューン……」
マリアッチ「あー、なるほど、出産めんどくさいですもんね!お腹の中である程度、魄 (シキ=体)を育てないといけないし。」『私もその時は、ホムンクルスを作ろうかな〜、でも、高いんだよなー。』
ノワール「実家の母も前よりやつれてたとかヴァイスが言ってたし、安心させたいってのも理由なんだけどね。」
あ、でも男とするのはどんな感じかは興味がある。今度、ホムンクルスの身体に聞いてみよう。
その日の夕方
マグマ溜まりまでの坑道が開通したという知らせを受け取った私は、いてもたってもいられず、すぐ現地に向かった。
登山の途中で日が落ちたが、今回はレイピアに炎をまとわせると言う光源がある。
ノワール『ついた。』(ハーハー)
そこには人一人入れる穴が山の麓に空いていた。
ムァ……
ノワール「さすがに熱気が凄いわね。」
私は意を決して中にはいった。マグマ溜まりまで来ると、以前、噴火してるので中に空洞ができていた。
空気が焼ける。
暑さで出していた舌、そうしてる方がヤケドしそうだから、私は舌を長い口にしまった。
「よく来た、小さき者よ。」
マグマの中から何かの声がする。
ノワール「スルト?」
スルト「そうだ。神降ろしの巫女よ。我はこのマグマから出られない。溶け込んでいるからな。」
ノワール「アナタをそこから出すにはどうすればいいの?」
スルト「マグマに飛び込め。」
えぇ!?確実に死ぬんですけど!!
スルト「我はここからお前を見てきた、顔を戻したいならそうするしかない。」
ノワール『どうする私?』
飛び込む
その場を去る
ズルッ
え?!
ドボン
ーーーーーーー
エンディング Mエンド トウシン
実績解除 スルトダウンロード
ぴ!
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BEST 税収更新!!
ーーーーーーー
アレ?コンティニューは?
今回は、これで続行だからな。
私は洞窟の前に立っていた。全身真っ赤に焼けた鉄のような光を放っていて、夜だと言うのに私の周辺だけ昼間のように明るい。
ノワール「私はどうなったの?」
そうだ!顔!私は自分の顔を触って確認した。
ノワール「鼻がない、毛もない、ツルツルお肌!やったぁ!元の顔だ!」
しばらくすると体は光らなくなり、元の暗闇に戻った。
その時の満天の星空が私を祝福してるように感じた。
ドシン
お?
ヌゥっ!
山間から大きな影が出てくる、星に照らされて輪郭がつややかに光る。
ノワール「あの感じ、爬虫類?!」
生き物を解体がてら観察してた私は夜に光るウロコの反射と同じようだとそれを見て感じた。
ゾワッ
それと同時に全身の毛が逆立つのを覚えた。
「……」
怪物の影はジッとこちらを見ている。
やんのか、こら?
そう思った瞬間、私の体はまた光りだした。
ゴゴゴゴゴ……
空気がはりつめ、大地が鳴動する。
ビクッ
それを見た大きな影は恐れをなして山間に引っ込んでいった。
ノワール「何アレ?」
大きかった。つか、自分の今回、神降ろししたスルトの力を試すチャンスだったのでは?と思うとちょっとこの展開はがっかりだ。
ウズウズ
ノワール「今度、試そう!」
アヌビスのスキル、ウプウアウトもそのまま使える。
ボアァァッ!
ノワール『うわ!なんか火の勢いが増してる!』
スルトを神降ろししたからか?逆に私は山火事にならないように注意して屋敷に戻った。
久しぶりに人がまだ起きてる時間にお風呂に向かう。
そこには先客のホムンクルスがいた。
「「あ。」」
2人して、同時に声を上げた。
ピコーン
彼女は影武者、見られてもどうということはない。ウンウン、そういうことにしよう。
ホムンクルス「顔もとに戻られたんですか?!」
ノワール「まぁね?」
私は洗面所で湯船に入る前に頭や体を洗った。
久しぶりの人の体、全身シャンプーで洗わなくていい。
その感動を私は噛み締めていた。
ゴシゴシ
だからその間の沈黙も気にならなかったが、ホムンクルスの方は生きた気がしなかっただろう。
思い詰めた表情のホムンクルスの待つ湯船に入る。
ホムンクルス「あの、それで私はどうなりますか?」
ノワール「どうもしないわよ。ヴァイスとそのまま居て?アナタは私のオモテ、裏は私がやる。」
ホムンクルス「ノワール様も、その、好きですよね?ヴァイス様のこと……」
ノワール「まあね?けど、性的に好みか?と言うと違うのよねー。いじめたくはあるけど、彼、ノーマルでしょ?」
それを聞いて安心したのかホムンクルスの顔がようやく緩む。
ホムンクルス「わかりました。あの、ヴァイス様とは?」
ノワール「そのまま、続けなさいな。私も妊娠出産する手間が省けるから、いいのよ。」
ホムンクルス『変わった倫理観だなぁ。』
こうして、
2人で居ても、ホムンクルスは影武者ということで屋敷の者たちも変には思わなくなった。




