VSマンテス領主
ノワール「は!」
ガバッ!
ノワール「うづ!」
背骨に激痛が走る。私はベッド脇にいたイスキアにゆっくり寝かせてもらった。体の節々も痛い。
イスキア「後で夕飯持ってきますから。ノワール様、落ち着いて。」
ノワール「ち、が!」『お腹が空いたんじゃないわよ!』(////)
全身の痛みでうまくしゃべれない。
ノワール『参ったわね。』
気づいたところは屋敷のベッドの上、聞けば帰りが遅いと心配した忍者達がゴブリンの巣を訪ねたところ、
ちょうどズタボロの私が運ばれて来たそうで、そこから屋敷に運んで寝かせていたという。
アルゲン「奴らに襲われたのではないのですね?」
アルゲンシュタインは彼らの言葉は分からない。私が彼らに襲われたのではと疑っている。
それは私をここまで連れてきたルーカーも一緒だった。
イスキア「それにしては、すぐにノワール様を返してくれましたよ?」
ルーカー「まぁ、確かに……。レイピアも返してくれたし。」
私は痛みを堪えて彼らを必死に擁護した。
ノワール「ク、マ よ、や、……のはっ」
ルーカー「あー、クマかぁ。」
アルゲン「よく、助かりました。」
ノワール『よくなったら、彼らにお礼に行かないと。』
ブレスレットは?私は痛みで震える右腕を掲げる。
そこには大きなヒビの入ったブレスレットがあった。
ノワール『ちゃんとは使えなさそうね……』
その時、慌ててマリアッチが部屋に入ってきた。
マリアッチ「おまたせしました!買えましたよ!」
アルゲン「ハイポーション、買えたのか!」
マリアッチ「はい!お代はノワール様のヌードでいいそうです!ノワール様の絵を描きたい魔女がいるとか!」
えぇ!?何、勝手に決めてきてるのこのコ?!
私はマリアッチが買ってきた瓶の中身のゲロマズな粘液を飲まされた。私は涙目だったに違いない。
くそー!覚えてなさいよ!
しかし、しばらくすると背骨の激痛はミルミル回復して体の全身の痛みもなくなった。
私はすかさず、私をのぞき込んでいた魔女の額にデコピンを見舞った。
ピシッ
マリアッチ「あう!」
ノワール「マリアッチは後で私の部屋に来るように!」
マリアッチ「ご、ご褒美ですか?!」
そうよ。たっぷり泣かせてやるわ。
マリアッチはまだコチラの意図をわかってないのか、目を輝かしている。
察した忍者達はドン引きしていた。
その次の日の朝、
南のマンテス領、宿場町ベントからイスラ、ゲルブムントに続く道に豪奢な箱車の一団がやってきた。
それらは私とヴァイスが待つ町の領民館に停車すると辛気臭い顔をした大臣や臭そうな役人たちが降りてきて、嫌味を言い始めた。
「まだ、大きい宿屋はできてないようですな。」
「左様、これから開発するのですから。」
「田舎じゃのぉ……」
「人が少ないせいか、きれいな町ですな。」
「いやはや。まったく。」
その中で、今回の新規街道敷設に唯一反対したマンテス領主兼大臣がこちらをにらんでくる。
ヴァイス『うわー、めっちゃ睨んでるよあの人。』(ヒソヒソ)
ノワール『そりゃ、これから競合するであろう相手ですもの。こっちだって、仲良くする気なんてないわよ。』
マンテス領主「オルクス伯、また大胆なことをされますなぁ。街道はそのままソリタニア首都のオクシドまでつなぐ予定ですかな?」
ノワール「えぇ、その予定です。まさか、遠回りになるベントへは通さないでしょう?」
マンテス領主「そのようですな!」
お前のところに流れていた行商人の何割かはこちらでもらうとしよう。(ニチャァ)
ヴァイス『ちょっと!また怖い顔になってるよ!ノワール!』
おっと、いけない。
マンテス領主「ところで各ギルドは誘致されましたかな?アレがないと街道を敷設しても宿場町としか機能しませんぞ?」
ヴァイス「あ、それなら問題ありません。声は掛けてあります。」
マンテス領主「黙れ!貴様になど聞いておらんわ!使用人!」
ノワール「申し遅れました。この方、公爵家の血族、マルフィール家の末子、ヴァイス•マルフィール様です。」
マンテス領主「うぅ!し、失礼しました……」『クソ〜、禍津神め!』
深々とお辞儀をするマンテス領主の頭を踏みつけてやりたいのを私は我慢しながら見下ろしていた。
ふん、ザマァ見ろ。
マンテス領主『一気に税収が上がった田舎領主が調子に乗りおって、絶対、悪事をしてるに違いない!』
ギラリ
他の大臣達も目が光る。
マンテス領主『シッポを掴んでやるぞ!禍津神!』
街道を通す山(ゴブリンの巣、麻薬畑がある)を見渡しながらヴァイスが大臣や役人達にメリットを踏まえて説明している。
ヴァイス「……なので、切り出した木材は建築に回すので一石二鳥なのです。」
「そうなると林業もイスラの一人勝ちですな!」
「いやはや!うらやましい!」
ノワール「建設は地元の土建屋に頼んであります。ご心配なく。」
マンテス領主「ほう、もう入札を済まされてると?」
あ、しまった!まだだ。
ヴァイス「こ、これからですが、ここの領地の企業に入札をかけるものですから!」『うわー!ノワールのバカー!』
「なるほど、それなら私の所の建設企業も入札に参加しても?」
「それはいいことを聞きました!私の所も参加しますぞ!」
「大きな宿屋宿の建設には実績がありますから、お任せいただければ素晴らしいものを作りましょう!」
「いやいや、フェアプレーで行きましょう!」
マンテス領主「そうです!談合はいけませんなぁ!」
ジロリ
全員の視線が私に集まる。
ノワール『ぐ、何よ!ヴァイスまで!公金を独占して何が悪いのよ!?』(ダメです)
その中でヒョロい役人が山の測量がしたいと申し出てきた。
ヒョロい役人「あのー、山に入っても?」
ヴァイス「そ、測量はこちらで提出した資料がありますよ!?そちらを参考になさってください!」
ヒョロい役人「いえいえ、こう見えて私、地質調査の博士号を持ってるものですから!」
マンテス領主「おぉ!ソレはソレは国立大学出は違いますな!どうでしょう、オルクス伯?」
ヴァイス「あわわわわ、」
ノワール「ええ、どうぞ?」『仕込みか?三文役者め。白々しい。』
その時、急に空が暗くなり、雷鳴が鳴り響き、遠くの山で雷も落ち始め、山には濃い霧が発生した。
驚いた諸侯は雨を避けるためにも近くの民家に避難した。
ザァァー!
ヴァイス『ノワールぅ!今度は何やったの?!』(ヒソヒソ)
ノワール『私じゃないわよ!』
マンテス領主「今日はここまでですかな?」『ちっ!運のいいヤツめ。明日はこうは行かんぞ。』
「そうですなぁ。」
「雨も、通り雨という感じでもないようです。」
マンテス領主「どうでしょう、オルクス伯。
今日は現地視察はお開きにして、屋敷で会議ということにしては?」
ノワール「ええ、かまいませんよ。」『アルゲン達か?大臣側の忍者を警戒して山にアルゲン達を配置しといて正解だったな。』
屋敷に入ると大臣達はヴァイスとの会議に入った。
ヴァイス「もー、ノワールは話さないで!」
ノワール「ええ、任せるわ。頼むわよ。ヴァイス。」
ドキーン
ヴァイス「うぅ、うん!」『ノワールに頼られてる。頑張らなきゃ!』
ノワール『…………可愛いわねぇ。』
会議は滞りなく終わり、会議室から出てきた大臣達はそれぞれの客室に戻る者、屋敷の中を物色するものと別れた。
ノワール『後者は私が何かしてないか、ガサ入れする気かな?』
マンテス領主「なんかこの屋敷は獣臭いですな?」
ノワール「私、馬で遠駆けするんです。それですかねぇ。」『魔獣の臭い?慣れてるせいか、気が付かなかったな。』
マンテス領主「それに、めぼしい絵画などもなく殺風景ではないですか?」
ノワール「田舎の領地ですし、節約しておりますの。皆様のように湯水のごとく散財というわけには行かないんですよ?」
マンテス領主「ぐ、なるほど、なかなか大変なんですな!」
ノワール「あぁ、そうだわ。絵で思い出しました。今度私モデルをやるんですよ?ヌードだそうです。」
「そ、ソレは、ソレは……」
マンテス領主達はたじろいでいる。
マンテス領主の後ろの大臣達はそれで隠れてるつもりなのか、ヒソヒソと話を始める。
『ここにも何もないのではないか?!』
『いやいや、山に放った忍者が帰還しとらん。』
『ホントか!?絶対、何かしとるぞ!』
『公にやらねば……』
マンテス領主「明日はいよいよ、現地の測量。楽しみですな。」
ノワール「えぇ。」
マンテス領主『スマしよって、今に見ておれ。』
皆が寝静まった深夜
私は忍者達をワイナリーの奥の隠し部屋に集めた。
そこには魔女のマリアッチ、ドルガの他に見知らぬ魔女もいた。その身体はボンキュボンと例えるのが一番しっくりくるだろう。
ドルガ「シンフィールド、助かった。」
その魔女はシンフィールドと呼ばれているようだ。
シンフィールド「お安い御用さ、こっちも新しい戦術を編み出せたしなぁ。」
ところで、とシンフィールドはマリアッチに向き直った。
シンフィールド「マリアッチ、ここ間借りしてもいいか?」
マリアッチ「も、もちろん!シンフィールド先輩の研究を間近で見られるチャンスですし!」
ノワール「なんか作るの?」
シンフィールド「へ!まぁ見てな!」
ドルガ「うるさくするなよ。」
ノワール「?」
アルゲン以下忍者達は言葉を無くし、暗い。
ノワール「あなたたちもよくやったわ。お疲れ様。」
アルゲン「はい。」
何があったのかしら?
ルーカー「魔女怖い……」
イスキア「ノワール様も気をつけたほうがいいですよ?人間と魔女は違うんです、やっぱり。」




