表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/33

禍津神のクローサーと禍津神のノワール

私とマリアッチは混乱する舞踏会場を出て、王宮内で姿鏡を探した。その横を慌てた近衛兵や男たちが右往左往している。


マリアッチ「深夜じゃないので多分一人でしかいけません。クローサーさんは禍津神使い、同じ禍津神使いのノワール様ならクローサーさんのところにたどり着けるはずです。」


誰もいない一室に、見つけてきた2枚の姿鏡を合わせて、片方に私の口紅で門を描く。


ノワール「マリアッチ達はいつ来たのよ。」『この子の中では私は“様”でアイツは“さん”なのか……』


マリアッチ「街道で夜行バスです!」


あ、普通に物理的に来たのか。魔法で来たのかと思った。


マリアッチの大きな丸眼鏡をもらってかける。

マリアッチが眉間にしわを寄せ。ぼやける私の顔にピントを合わせようとしている。


ノワール『……怖いんだけど。』


マリアッチ「いきますよ?準備は良いですか?」


クリオ「ボス戦だ、セーブしときたいぜ。」


ノワール「いつでも。」『なにそれ?』


マリアッチの呪文で姿鏡の輪郭がズレる。私はソコに飛び込むように入った。


クリオ「行こうぜ。」


ノワール「カスカータ。」


私は先に剣を抜いて、眼鏡越しに見える輪郭だけ白い真っ暗な道を進んだ。


クリオ「へえ、ホントに奴の痕跡があるぜ。ノワール、そこを右だ。」


私には見えないが、クリオには禍津神の痕跡がわかるらしい。クリオのナビゲーション通りに進むと一つの屋敷が見えてきた。その時、クリオが不思議なことを語りだした。


クリオ「俺はこの先の展開を知ってる。お前がこの先どうなるかもな?」


ノワール「?どうなるのよ?」


クリオ「まぁ、これ以上言うのは契約違反さ。お前といれて楽しかったぜ。」


ノワール「ふーん。よかったじゃない?」


一縷いちまつの不安を感じながら屋敷へと入った。




ノワール「ダークフォンス!」


バチン!


魔女の守護者、襲いかかってきたゾンビたちをバラバラに弾き飛ばす。通路一面、飛沫した臓物や手足で散乱している。


赤いドレスもカスカータも髪の毛も黒い血でドロドロだ。


グキッ


髪の毛を使ったクリオのスカトンケイル(百の手)。腕でつかんでいたゾンビの首が取れる。

首をなくしたゾンビの体はあらぬ方向にあてもなく歩いていく。


クリオ「やれやれ、ソイツで最後か?」


ノワール「結構多かったわね?」


クリオ「そこの部屋だ。」


髪の毛が指差す扉を開ける。そこは広い部屋にキングサイズのベットにおいてある寝室だった。


クローサー「おいおい、今いいとこなのに。」


ベッドの上には半裸のクローサーと

乳首には洗濯バサミ

背中にはたくさんのろうの塊とムチの跡

おしりにはピンクのが収まっている。


そんな、あられもない姿のヴァイスがうーうー言って、された口枷くちかせからよだれを流して失神している。


クリオ「奴は今、マジックアイテムを身に着けていない。」


ノワール『やるなら今ね!』


私は走ってカスカータでクローサーに切りかかった。


クローサー「ダークフォンス。」


剣を魔法の結界で弾くとクローサーはすかさず、真っ黒の球体を放ってきた。


バチン!


クリオ「あっぶねぇ!」


クリオの手がそれを防いだが、同時に髪の一部が弾けとんだ。


クローサー「へぇ!お前の禍津神はそこかよ!」


ノワール「ダークフォンス!」


私は距離を取るためにダークフォンスを至近距離から放ったが。クローサーはそれを避けも防ぎもしない。


当たった所から黒い手が伸びている。


クローサー「そんなもん私には効かないよ。」


ヌルッ


クローサーの体から大きな禍津神が這い出てくる。


御主人様、コイツは食べていいの?


出てきた禍津神が私を見ながらクローサーに尋ねる。


クローサー「好きにしな。」


クリオ「安心しろ、ソイツは斬れる。」


こんなのに勝てるのか?


私はダークフォンスが効かない相手に不安をいだいていた。それをクリオは分かっていた。


クリオ「う!」


ノワール「どうしたの?!クリオ!」


クリオ「このくらいいいだろ!」


私は動揺した。クリオが頭を抱えて苦しんでるのも。大きな声を出すのも初めてだった。そして、その私に向けられてない言葉に。


クリオ「行け!ノワール!ヤツの弱点は左目だ!」


ノワール「行くわ!」


禍津神の無数の腕が走って向かってくる私を掴もうと殺到してくるが、それをクリオの手が阻む。


タッ


ノワール「死ねぇ!」


床を蹴って私はカスカータを禍津神の左目に突き立てた。


う、うわぁぁぁ!


ブシュゥゥゥ


その大きな禍津神は真っ黒な煙と共に消滅した。


クローサー「うわ、やりやがった。けどなぁ。」


ヌルッ


ヌルッ


クリオ「まだ飼ってやがんのか?!」


クローサーの体から禍津神が2体這い出てきてクローサーを守るように私の前に立ちふさがる。


ノワール「ダークフォンス!」


禍津神の手が私のダークフォンスを打ち消す。


クローサー「無駄だ!お前はソレをオーブでしか使えないのか!?」


クローサーは短く呪文を唱えると真っ黒な球体が円盤状に形を変える。


クリオ「ヤバイ!エッジだ!」


クローサー「ダークフォンスにはこう言う使い方もある!」


ズバッ


私をかばうように髪の毛が身体をその場から逃すも高速で放たれた黒い円盤に髪の毛はバッサリと切られてしまった。


クリオ「うぉぉ…………」


ノワール「クリオ!」


私の髪の毛からクリオの気配が消滅する。その時、クローサーが声を上げる。


クローサー「はぁ?!今それどころじゃっ!?」


クローサーは何かに一言二言返事をすると舌打ちをしてこちらを一瞥いちべつした。


クローサー「お前と遊ぶのは此処までだ!急用ができたんでなぁ。コイツも返してやる!」


クローサーは禍津神たちと共にその場から消えた。


ノワール「どうなってるの?クリオ?」


しかしもう、クリオからは返事が返ってこない。脳裏にも何も見えない。


あられもない格好でベッドで横たわるヴァイスに軽くふくを着せると。

私は戦闘でヒビの入ったメガネをかけて、屋敷を出た。来た道、戻る道も分からない。私は迷った。


ノワール「どうすんのよ。この状況。」


このままじゃ二人ともこの真っ暗な空間で野垂れ死んでしまう。


途方に暮れていると、上から一粒の光がやってきて私たちの周りをくるくる回ると私の前をゆっくりと飛んでいった。


ノワール「ついてこいって言うの?」


私は気を失ってるヴァイスを担ぎながらその光の後について行った。

すると、長方形、姿鏡の形の出口から心配そうにこちらの空間を見ているマリアッチの姿を見つける。


マリアッチ「ノワール様!こっちです!」


私はヴァイスと共に姿鏡から外に出られた。


アレ?2人じゃん?


不思議に思った私はマリアッチにメガネを返しながらその事を尋ねた。


マリアッチ「とりあえず、今は帰りましょう!」




ルーカー「うわ!どうしたんですか?!その髪とヴァイスさん?!」


ノワール「とにかく出して!」


混乱する王宮を出た私たちは箱車に乗り込むと御者のルーカーに叫んだ。

私の髪はおかっぱ位にはなっていただろうか?首筋の皮が切れて、少し血がにじんでいた。


マリアッチ「ヴァイスさんの魂はまだ幽世にあります。早く、もとに戻さないと!」


ノワール「戻す方法は?!」


箱車の中で魔女の胸ぐらをつかむ。


マリアッチ「うぅ、落ち着いてください!ノワール様!」


いろんなことがあって、私もどうすればいいかわからず頭をかきむしった。


あぁ、こんな時にアドバイスや軽口を言ってくれるクリオはもうこの世には居ない。どれほど、自分が、クリオに依存していたか思い知らされる。


最初は嫌っていた。周りで起こる凶事はすべて私のせいにされ、近所の貴族達や同い年の子達からも禍津神がいるからだと言われ、忌み嫌われた。心底、自分の運命を呪った。


もう……今の私の同志と呼べるのはヴァイスしか居ない。


ルーカー「着きましたよ!」


マリアッチ「姿鏡を2枚用意してください!」


そうこうしていると、滞在中のホテルに馬車が到着した。ルーカーは箱車を飛び降りると姿鏡を探しに行った。


その間に、私とマリアッチの2人で物言わぬヴァイスを部屋まで運んだ。


ルーカー「見つけてきました!」


ノワール『全部失うもんか!ヴァイスは私のものだ!』




午前二時を待って、私とマリアッチは再び、幽世かくりよへと足を運んだ。


ノワール「小瓶?」


マリアッチ「はい。これにヴァイスさんの魂を入れて持ち帰ります。」


私は小瓶を受け取るとマリアッチは方位図と羽飾りをあしらったヘビが巻きついた杖の金細工のペンダントを取り出した。さながら、十字架に見えなくもない。


マリアッチ「こっちです。」


ダウジングと言うやつだろうか?


左手に持った紙に書いてある方位図の上を右手から垂らした鎖の先についた金細工がその方位にクルクルと楕円を描くように回っていている。




しばらく進むと.

今さっき見た光の粒が輪郭があいまいな、横たわるヴァイスの上をくるくる飛んでいて、私たちが来ると天に昇っていって消えた。


ノワール「ありがとう。」


その光に言葉をかける私はなぜか涙を流していた。


マリアッチ「ノワール様、小瓶を。」


私は持っていた小瓶をマリアッチに渡すと、彼女は小瓶の蓋を取ると呪文を唱え始めた。

すると、液状になったヴァイスの魂はスルリと小瓶に吸い込まれていった。


マリアッチ「噛まずに唱えられました!褒めてください!」


ノワール「それをどうするのよ?」


マリアッチ「後は、これをヴァイス様に飲ませるだけです!戻りましょう!」




ルーカー「あ、姫様が居ない間にヴァイスさんに服着せときました。」


ノワール「ナイスね、ルーカー。マリアッチ?」


マリアッチ「はい!」


ベッドに仰向けに横たわるヴァイスの口に蓋を開けた小瓶を押し込む。


ノワール「大丈夫なのそれ?」


マリアッチ「まぁ、見ててください!」


ヴァイスは小瓶を勢いよく吐き出すと。上体を起こした。


ヴァイス「あー、すごい夢を見た。」


それを聞いた私はヴァイスをきつく抱きしめた。


ヴァイス「え?え?ここはどこ?ノワール?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ