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バカしかいない異世界で最強軍師になってみた  作者: 鉄道の人
チート嫌いのソウタの昔話
66/70

チートとNo2くん

「それでね、君にはこの子の肉体に宿ってあの暴走した可哀想な1号くんを破壊してくれ。どうだ?これでわかりやすい」

「え?」

言っている事が理解できなかった。

僕、ソウタは地下の研究室のような所、名も知らないが僕らを作り、黒幕でもある男(甲と呼ぼう)と対峙していた。

てっきりここでタイマンでもするのかと思ってたんだが。

「わからないですか?ならもっと簡単に言うとですね、あなたにはこれからこの子に乗り移ってもらいます。そしてあの化け物をぶち殺してください。そうすればおしまいです」

甲はそう言った。

「おしまい……って、あなたはどうするのですか?」

究極の人間を作る事が使命と化した甲の計画はそれで終わりの筈ない。

「いいや、それで十分ですよ。ノウハウは記録させていただくしそれがあればもうこんな苦労は無しだ。0は何をかけても0だから大変だけど、1まで来たらこっちのものなのです」

「……」

よく分からない理論をまくし立てる甲。

まぁいいさ、そのかわりしっかり仕事はさせてもらうよ。

「分かりました、じゃあ早速始めましょうか」

僕はそう言ってカプセルの中に横たわる少女へと歩み寄った。

「おっと?これまでの態度とは変わってやる気になりましたね」

「上でエイタさんが待ってるから」

「結構結構。じゃあこれに座って」

甲はパイプ椅子を置いた。「はい」

僕は何も考えずそれに腰掛けた。

「ではまず目を閉じてリラックスして下さい」

言われるままに目を閉じる。

「次に自分の心臓の音を聞いてください。鼓動を感じながらゆっくりと深呼吸をするのです」言われた通りにすると、なんだか頭がふわっとしてきた。

これは一体……。

「まあ、ざっとこんな感じの事を何回かするんですよ。おっと、返事はいりません。次!」



いつの前にか記憶はプッツリ途絶えていた。

麻酔で気絶させられる気持ち、というべきか。気がつくと僕はまたあの真っ白な部屋にいた。

あれ?なんだろうこの違和感は。

自分が自分じゃないような。

いや違う。自分は自分だ。

でも何かが違う。

「おはようございます、気分はいかがですか?」

甲が話しかけてきた。

「最悪だよ。頭の中ぐちゃぐちゃで吐きそうだ」

「それはよかった!成功ですよ」

甲は満足げにうなずくと続けた。

「鏡をどうぞ」手渡された鏡を見るとそこには見知らぬ顔があった。

僕の顔ではない。

「誰?」

「それがあなたの新しい体です」

どういう事?

「順を追って説明しますね。まず私はあなたにこう言いました。『人の魂とは何か』と」

そんな話もあったか?随分前の事だから忘れてしまった。

「これで完成体2号の完成だよ。君だったら彼女の感情のリンクも容易いだろう」

『うん、落ち着く』

!?

たしかに僕の体から出た声だが、確か僕は何も言ってない。

なのに勝手に喋っている。

「彼女は私が作った『真の』人工知能を搭載した、いわばアンドロイドです。あなたの思考を読み取って反応するようにプログラムしました」

「つまり、今の僕は彼女を通して会話しているってわけかい?」

「そういうことです。もちろんあなた自身の言葉を発する事もできますよ」

「……」

「だけど性能は一般の人の脳に劣っていません。むしろ優っています」


『あのでっかいの、たおすの?』

何というか、変な気分だ。

自分の体が意図しない行動を取る事は。


「話が早くて助かります」

「聞いてましたもの」

『ぜんぶ、きいてた』

「さて、もう行ってもらっていいですか?早くしないと彼死にますよ?」

「それは……」

『たすけよう。でかいの、たおして』

どうやら彼女は僕と同意見のようだ。

さすが同じ体……という事なのだろうか。


「あなたはこの後、どうするんですか?」

「記録を取った後は、また死ぬまで研究を続けますよ」「……わかりました」

「それじゃあよろしくお願いしますね」

甲は笑顔を浮かべると部屋を出ていった。

「さあ行こうか」

僕は彼女に語りかける。

『いく!』


さっきの長くて険しい道をあっという間に通り過ぎる。

「すごいですね」

『あなたがうごかしてる。すごいのはあなただ』

「ところで、名前は?どう呼べばいい?」

『No2はいや?そうなら好きにして』

「わかった。えーと、どうしよう……あ、そうだ、イナにしよう」

『いいけど、なんで?』

「友達の名前からです。なんか似てる気がして」

『そう』「じゃあこれからはそう呼びますよ」

『ん、いいよ』

僕はそのまま進み続ける。

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