チートと絶望少年
2021/03/29
見事にはめられた。
何でこんな目に遭ってしまうんだ。
特に汚くもない地面にうつ伏せて、絶望に打ちひしがれている。
甲からしたらとても惨めと思うのか。
それとも特に何も思わないのか。それならそれで助かる。
なんにせよ、僕はだいぶショックを受けた。
それどころではない。お偉いさん(多分そうだと思う)の目の前で大恥をかいてしまったのだ。
元々こんな事するガラではないんだ。だから結構無理したって言うのに……!
頭を落ち着かせる為、心臓の出力がかつてなく上昇しているのが分かる。
そしてそのたび真っ赤に染まった頬と変わっていない冷たい床に現実を突き付けられている。
今すぐ帰って透明化したい。
え? 大袈裟? とんでもない!
だって想像してみな?
先輩の前で一発芸して滑ったら驚く程スベったんだよ? 別に甲を笑わせるつもりでは一切ないんだけど。
しかもそれが親友に勧められた物だとしたら?
はぁ……爆発したい……。
僕を虐めて楽しむつもりだったのか。
そうゆう趣味をお持ちの方だったのか。
今度エイタの水筒の中にセンブリ茶入れて泣かせてやりたい。
でも流石にこれは非常識かな。
いーや、でも偉そうな人に恥をかかされたんだ。このくらい当然な筈……。
全細胞からビームが打てればいいのに。
ともかく、あとでエイタには謝罪をしてもらわないと。僕の気が済まない。
そう思ったら、やっと立ち上がれる自信がついた。
「わぁ。燃えていますね」
甲がまだ言葉に笑いを含みながら言った。
自分でも少し燃え上がった様な気がした。
「だって、酷くないですかこの仕打ち」
信じてる人に裏切られるというのは(そんなに大した事ではないんだけど)直接的なダメージの他に甚大な精神的ショックを与えることがある。
そんなに大した事ではないんだけど(大事なことなので2回言いました)
とにかく早く平常心を取り戻そう。
まず深呼吸。
「心中お察しですね」
あー、うん。
察してくれ。そして同情してくれ。
「エイタって……こういう事する人でしたか?」
これ以上イタい話をほじくり返されたら二度と立ち直れないかもしれない。早くこの話題を逸らしたい。
頼むからいつもしてるって言ってくれ。
そうでなきゃここ出てすぐの岬で紐なしバンジーしてやる。
「こんな事例初めて聞きました」
よし、紐なしバンジーだ。
あまりにメンタルが雑巾絞りにされたので思わず膝から崩れ落ちて、また床に倒れた。
「あの、帰っていいですか?」
「ええ、……正直、ここまで貴方が不憫だとは思ってませんでした。死にたいのも分かります。 でも困るのでやめて下さい」
やっぱね。
でも、ちょっと休みたいな……
もう、気が狂ってもおかしくないや。
「暫く待つくらいならいいですか?」
「ええ、それなら貴方の気持ちが済むまでごゆっくり」
初めに戻る。




