チートと残念なソウタ君
ひゃっはー受験おわったぜ!!
鍵を差し込む。蓋を開ける。
長らく開けていなかったのか、錆びた鉄がすり減る音がした。
錆びているという事は、長い間この施設はこのままだと考えられる。
近くに雨の雫が落ちる様な音はしていなかったが、どこか湿気っている空気が辺りに満ちている。
湿気が多すぎるのは食べ物が黴るし、機械が異常を起こすと聞いているのであまり良い雰囲気はない。
かといって乾燥している所が好きなのかの言われたら微妙だろう。喉がすぐ乾くし、なにより火が起きやすすぎて怖い。
結局、どんな物でも極端は良くなく、それぞれの塩梅が必要なんだな。
甲が埃を払っている様な動作を見ながら、そう考えていた。
その赤褐色の小さな空間から、まずは左の1番手前にある意味深そうな体積20㎤ほどありそうな窪みに左薬指を押し当てる。
十数秒静寂が続いたのち、突如として奥側の壁が上へ開き、古めかしく、しかしながらどこか懐かしさも感じる機械が現れた。
「す……すごい」
「これが科学ってやつですよ」
え、なにそれかっこいい。
これが指紋認証か……一体、どんな仕組みなんだ。なんで壁が動くんだ?
どう見てもそんな感じの装置と読み取れる物の類いのものはなかっんだが。
甲の体の隙間から指紋認証装置を覗いてみたのだが、ほんとうにこの中に装置があると言われても信じる事が出来ない。こういう事には疎いので、かざす所の位置すらわからない。
成る程、高度な仕掛けもそうだけど、それをいかに自然に隠すことも大事なんだな。
エイタから聞いたが、最近は『小型化』なるものが流行りだそうだ。
TVやパソコンといった電化製品とか言う奴だな。
実物を見た事はないんだが。
本当に最近の技術ってすごいんだな。
正直言うと、科学というものが少しありえなく感じてしまう。
例えばそう、自分の目の前で起きている事とか。
甲はまたまた奇妙な画面を起動させた。
さっきの指紋認証で起動する物なのだろうか。
『WTHDHXZN』
いかにも年代物の、荒い画質のすこし丸みがある画面に、意味不明な文字列が現れた。
(こいつアルファベットわかんないのかっておもった奴に朗報だ! ソウタ君は少し前まで研究動物みたいな扱いをされてたので勉強してる暇なんて全くないんだ!)
「あー、今回は運が悪いですね。よりにもよってこれが出てきてしまうとは」
どういう事だ? 一定時間で答えが変わるなんて事があるのか。
甲はこの暗号の意味がわかる様だ。毎回この仕掛けを解いているからなのかな。
少し考えてみるか。




