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バカしかいない異世界で最強軍師になってみた  作者: 鉄道の人
チート嫌いのソウタの昔話
52/70

チートと誰も知らない大戦争

瓦礫が散らばっている施設の跡地で、僕は襲撃者と対峙した。


半裸で筋骨隆々。1番嫌いなタイプだ。


一方、僕は何時もの青と黒のジャケットとそこらで売ってそうな機能性重視のズボン。


そもそも戦闘のつもりではなかったので、武装なんて散弾銃と日本刀だけだ。


火の粉混じりの風が吹き付ける。

神とやらが余興にでも僕達に目を着けたのだろうか。


「河津エイタ」


「あー、完全体Mark I」


完全体だと?

じゃあ、やっぱりあいつが……!


嗚呼、いつか来るとは思っていたものの、とうとうこの日が来てしまったのか。


あの人が居ない今になって、最も恐れていたことが。


自分の不運を呪う。


いっそのこともう施設は見捨てて退避しようか。


否、ソウタを置いてなんて行けるわけない。どうにか回収できないものかと考えたが、相手に見つからずソウタの所へ行ける自信がはっきり言ってない。


そして、『ここで討たねばどこで討つ』と決意した。


そうと決まれば話は早い。


『あいつを磔にして』


最初から手加減なんていらない。


そして同時に、何かが発動した音がした。


「うぉっ!」

その瞬間、地面から丈夫そうな蔦が奴の体を縛り付け……


なかった。


蔦は突然土に還り、音もなく崩れ去っていた。


僕は自分の腕に絶対的な自信があったので、それはそれはとても驚いた。


そして気づいた。

「なんだよここは……」


いつの間にか、場面が違っていた。


先程までの燃え盛る施設は何処へ行ったのか、まるで霧がかかったかのような変わり様だ。


「チッ! 余計なことしやがって!」


目の前の男……『完全体』がコンバットナイフを投げて舌打ちした。


僕は一瞬戸惑ったものの、問題な躱せた。


対等なデバフでもかかったのか……?

でも身体に異常は感じない。倦怠感もない。


ハッと気づき、僕はまた蔦を出そうとする。

しかし蔦は出なかった。


「やはりか……!」

この結界の絡繰に気づけた。

『チート禁止』だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーー





望んだものはなんでも叶うと言う慾望の塊の様な特殊能力。正にチート。使い方を誤ったら地球滅亡なんて容易い容易い。


核兵器より簡単に世界消せる自信があるよ。


そもそもあの施設にいたヒトは全員チート研究の為に作られた、いわば動く人形。


本来は皆んな感情を持たない。少し前の僕やソウタみたいに。


そんな僕らがなんで感情を持って喋ってるだって?


それは簡単。


僕みたくチートで人間にしてもらったんだ。


これで僕達はめでたく人形から晴れて人間になれたって訳だ。


まぁ、いつも実験に駆り出される時は感情を押し殺してるけどね。




だけど、あの『完全体』は違ったんだ。


人になる事を選ばず、そのまま感情を手に入れた。


恐らくエンジニア達がそう仕組んだので間違いなさそうだが、普通あんな事出来る筈が無い。


言うならば『完全体だから出来た事』だ。





ーーーーーーーーーーーーーーーー



side:天の声




そして今。

この結界の中では一つの人形と一人の人間がいる。


かたや感情とチート能力を持つ人形。


かたや感情とチート能力を持つ人間。



『人形』だからこその脅威は計り知れない。


前代未聞しかない戦場で、エイタは一度撤退して

今度はさっきの剣を鞘から出して、両手で構えながら深呼吸した。



ーーほんの一瞬、時が止まった。


そしてまた、時は動く。


エイタは一気に『完全体』の元へ走り込み、先制打を叩き込んだ。


初撃こそ当ったが、2連撃は流石に避けられた。


「2度も同じ手には乗らないぜ」


『完全体』そのあと、直ぐに地面に残っていたかなり大きな瓦礫を投げつけた。


エイタはそれを刀身でいなす。

そして慣性で元の場所に戻った。


振り出しに戻る。


「俺の番だ」

今度は『完全体』がエイタへ殴りかかってきた。


一般の大人より一回り大きいあの拳の攻撃をモロ直撃なら負けは確実だろう。


だからエイタは一つ仕組んだ。


「まず、左に軽く移動して」

必然的に、彼を狙う『完全体』の攻撃方向も変わる。


「3,2,1……今だ!」

ギリギリを見計らって、真反対の右方向に滑り込む。


『完全体』はそのまま迎撃行動を取ると踏んだだろうから、その勢いを殺す為に一瞬体制が歪む。


エイタはそこに一閃を入れた。


「がっ!」


今度は確実にダメージが入り、確かに出血させた。


しかし反撃はまだ終わらない。

負傷して動揺している所へ、今度は膝蹴りをお見舞いする。


だが、あっち側もタダでは転ばなかった。


『完全体』が吹っ飛ばされる直前に、エイタに回し蹴りを当てて来た。


流石に無理な体勢で攻撃したものだから、然程威力は低かったが油断は禁物だ。


一瞬の判断ミスがプレミになってそのまま御陀仏なんて事もあるかもしれないからだ。


「痛ってぇ……」


「ほーう? なかなかやるじゃないか」



相手はまだ体力があるみたいだ。


結界のせいで両者とも、チートが使えないから実力でぶつかり合うしかなかった。


「五分五分……いや、こっちがジリ貧って所だな……。 体格の差かなぁ」


なんとか勝ち筋はないかと考える。





ーーーーーーーーーーーーーーーー




一方その頃。


side:ソウタ



「さっきからやばい事しか起こっていないなあ」


エイタさんがあっちへ行って戦ってしばらく経ったけど、本当に変だ。


エイタが強そうな武器取り出して、『これ勝てるかな』って思ってたら気持ち悪い筋肉が現れて、

そしていつのまにか変な霧がかかってあっちの様子が伺いにくいし……


僕はこの泥黎*のど真ん中の様な惨状をただ固唾を呑んで傍観するしかないのか?


まるで神々がこの遊戯を楽しませる為の道楽なんじゃないかと思ってしまうほどに、ここで奇妙な事案が多発している。


「そうだ! 僕も何か力添え出来る事はないかな!」


と思い、武器を想像しようとしたんだけど、そもそもの武器をあまり知らない僕にとっては鬼門だったんだ。


エイタさんは武器をあんまり見してくれなかったこら、模範解答なんて分かるはずないし、果てにはそれを贋作なのかすら知る術が無い。



まだ自分の不甲斐なさを憎む。

「想像ってこんなに難しいのか」って。



……気を取り直そう。

いつまでもこのままだとラチがあかない。



そうだ。

違う方法を試してみよう。


何はきっと、上手くいくだろう。

さぁ、まずはどんな事をしようか。



*泥黎あんり

地獄、奈落の底。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




side再びエイタ


「オラァ!」


「ヘッ!」


キィン!


ドガァ!


およそ一時間は経過しただろうか。

ここで『完全体』との戦闘はまだ終わりが来る様子が全くと言っていいほど無い。


一方が攻撃して、それを防ぐ。そして隙あらば反撃。


それの繰り返しが何度続いただろうか。


「あー、ヤバイな」


そろそろ僕の体力が危険域に陥りそうだ。

もっとも、耐久戦に引き込まれたらこっちの勝算はゼロ。


動きからして体力が有り余っていそうな『完全体』に僕が叶うはずが無い。


そんな時、ふと頭の中に作成が舞い降りた。


「そうだ、こんな時は……」


ーーキッカケを作るんだーー



一か八か、刃こぼれ仕掛けたボロボロの剣を一直線に構えながら『完全体』に突っ込んでいった。


「はああああああああああああっっ!」



無論、玉砕覚悟の特攻ではない。


これもちゃあんと理由がある。


「何だアイツ? 正気か?」


『完全体』は少し体を左側へと動かして、僕の突進を避けた。


「オラッ!」


おまけに足に上段回し蹴りを入れる。



……ここまで、殆ど作成通り。



『完全体』の蹴り足が僕の左足に当たるほんの2、3秒前で、僕は小さく跳んだ。


ガッ!


そして、放たれた『完全体』の足の平を思いっ切り踏ん張って蹴飛ばした。


「何ィ!?」

予想外の動き、そして慣性で後ろ側に吹っ飛ばされる衝撃が重なった声が聞こえた。


「よっし! あとはこれで!」

僕はそのまま結界の壁に向かって動いている。



ガキィン!


……僕は結界に剣を刺した。


予想通り、結界は結構硬くて完全破壊には至らなかったものの、ヒビを入れることに成功した。


僅かながらの月光が、僕の身に刺さりこむ。


そして、何より『チート禁止』でもここなら使えるかもしれない!


僕は早速、ソウタへ信号を送った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







side:天の声


一方その頃、エイタ達が戦っている施設へ走る影があった。



「クッソ……状態は相変わらずか」


また彼が連絡をくれるという空虚な希望を信じ、件の施設から1番近い集落から走る事約10分。


未だ改善の兆しはない。


「まさかあいつがやられるとは考えられないが、念の為」と何回も心の中で念じることでやっと正気を保っていられる。




ーー希望は案外早く現れた。


『……う! 誰…….応…う!』



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