ソウタの想像と真打ち登場
遅くなって申し訳ない。
今回は少し長め。
前回のあらすじ
俺は目の前にいる『自分で動かない奴』に総攻撃を仕掛けたのだか、生憎その途中で足を滑らせ落下。
あらすじ終了。
「やべ……落ちるわ」
折角の攻撃のチャンスが勿体ないと思っている暇もなかった。
俺は必死になってどうやって着地しようか考えていた。
普通だったら落下速度軽減か頭直撃による即死を避けるだけで済むだろうが、俺はVITを極力減らしてAGIに重視しているため、落下ダメージを激減しないとほぼ死ぬ。
それに、滑らせた足で地面を蹴った時にかなりのスピードが付いてしまったのも痛い所。
「取り敢えず……これだけやっとくか」
出来るだけのことはしておこうするかと思い、床に向かって『風の刃』でブレーキをかけたが、焼け石に水だろう。
「これだけではダメだろうな……。 そうだ!いいこと思いついた! ソウタに頼もう」
他力本願になるのはあまりいい気分では無いのだが、自分がどうにも出来ないのなら仕方ない。
「よろしく。 ソウタ」
大声で図書館に居るであろうソウタに伝えたつもりだった。あっちでは俺の姿は見えるだろうが、こっちから会話した事は無い。
「ちゃんと届いたよな……?」
まあ仮に声は聞こえないとしても、今この境遇を見たらなんとかしてくれる筈。
「地面に衝突まで10mと言った所か。案外長かったな」
そもそも俺は落ちてるのになんでこんなに長く話せていたのだろう。
緊迫した時は時間がゆっくり流れるアレだったのか?
そろそろ激突するかどうか辺りで、何処からか「仕方ないなぁ……」
と声が聞こえて、少し後に地面ギリギリの所で急に俺の落下は止まった。
反重力みたいな名状しがたい力が働いて俺は地面から少し上を浮いていた。
数秒後、その力は急に消えて俺は地面に落ちた。
ギリギリの所で止まったからか特にダメージはなく、体の負傷も見た感じなかった。
「ありがとさん。ソウタ」
『あんまり使いたくないって言ってるでしょう……?この世界の物理法則を無視するのは意外と面倒なんですよ」
俺の声はちゃんと聞こえていた。
「ははは……悪かった。 気をつけるよ」
尤もだ。他人の力に依存して期待するのは弱者がする事だろう。
「さて、待たせたな……」
暫く放置していたけどこれで戦闘の再開だ。
敵は律儀に今迄攻撃をしないで待っていてくれた。なんて紳士的なんだ。(今ので死んだかと思っていたのかも)
「まず現状理解。今の奴のHPは……
45238/75000
まだHPは半分以上残ってるみたいだ。
今はSPを貯めるのが先決か?」
ちょっと前に言った通り、沢山スキルを使うとその分SPを消費する。
SPが枯渇するとスキルが使えないだけではなく、目眩やAGIとVITの大幅低下などのいわゆる
『負け確』状態になる。
後、SPは時間が経つと回復する。
なんでこんな面倒なルールを定めたんだよ伝説の勇者とやら……
兎に角、俺は出来るだけSPを使わずに敵の猛攻に耐えなければならない。
今はただそれだけだ。
敵も満を持して攻撃を始めた。
「大体の攻撃はわかってんだよ」
後はいかにSPを使わずにやり切れるか。
ーーそれから数分後ーー
矢の雨、十字噴火、眷属召喚、幾多のトラップなどが本当に沢山降ってくる。
流石はボスと言った所だ。生半可な気持ちでは避けれない。
それを俺をかなりの間避け続けながらSPを貯めていた。
たまに新しい攻撃が来たりしたが、それはスキルなどで凌いだ。
「さて、そろそろいいか」
SPも貯まり、攻撃に転じようとしていた。
しかし、まだ相手のターンは終わってなかった。奴が俺の動きを読んだのか、何かスキルを発動しやがった。
そして、急に下向きのとても強い風が吹いてきた。あまりの強さにまたバランスを崩しそうになってしまった。
「下降気流だと……⁉︎ 俺が上に行こうとするのを踏んでいたのか……? そしたら彼奴はかなり賢いな。 下手すりゃバカどもより知能があるかも」
かなり強い風だな。止むまで待つしかないようだ。それまではジャンプは勿論、移動も出来なさそうだ。
「ここで攻撃が来たらどうしようか……って言ってるそばから攻撃来ちゃったよ?ヤバイだろこれ!どうやって避けたらいいんだよ!」
奴は自分狙いの矢を放ってきた。
いつもなら即回避行動に移るのだが、なにせ今は自由に動けない。
「仕方ない……『落雷』!」
虎の子のスキル発動。発動箇所は自分の周り。
そう。雷で即席の結界を作った。
「木と石くらいなら雷で焦げて消えるだろう」
と俺は考えた。
雷の最高温度は約3万℃だ。
それに比べて木と石が自然発火するのは約400℃〜1000℃。
余裕で燃焼して灰になるだろう。
案の定、矢は炎となり消えた。
しかし、ここで予想外の出来事が起きた。
炎が風に煽られ、燃え広がってしまったのだ。
「しまった!やっちまったな……」
それが自分の逃げ場を無くしてしまったと気づいた。
なんでこんな事が分からなかっただろうな。
悔やむ時間なんて無いとばかりにそまた攻撃がやって来た。
「くっ……今度は……」
今度は考える暇がなく結論が出た。
と言うよりは、答え自ら出てくれた。
目の前に、そこにいる筈のない人が飛び込んできた。
それは、今の俺が最も信頼していた者だ。
「全く……見てられないですよ。これが貴方の実力ですか?」
そこには、黒いローブに緑髪のチーター青年、ソウタがいた。




