ソウタの想像と間話
休息も終わり、俺は三度分岐点に戻っていた。
さっきのレバーとの激闘でまだ右腕は筋肉痛だ。
「よく考えたら、あれ相当無茶な事したな。油探すなりソウタに頼んだり(却下されるだろうけど)したらよかったな。まあ後悔はしてないから別にいいのだけどな」
そう1人で喋りながら遺跡の回廊を進んだ。
途中、罠の起動する感圧版型スイッチの所を慎重に調べてみたが、なんでこんなあからさまな仕掛けに引っかかってしまったのかと悔やまれる。
試しにそこら辺の石ころでそのスイッチを起動させてみる。
「矢が刺さったのは後ろからだったから……」
と、注意して観察していると、かなりの音を立てながら矢が飛んできた。
なんであんなのに気にせずにいたのだろう。
つくづく俺は未熟者だな。
余程『幻影』の成功が嬉しかったのか。
「まあ、仕方ないか」
直ぐに立ち直った。
俺は以外と立ち直りが早いほうだと思う。
いつまで過去の悪い事を引きずるとその後の士気が下がり、マイナス思考及び『できない』というプラシーボを生み出す原因になりかねない。
だから俺は出来るだけ悪い事は早く忘れるのが自分流だ。
そう。ここに転生したことも。
「さて、戻るとするか」
気を取り直して、きた道を引き返した。
そして、分岐点に到達する。
「ここに来るのも3回目だな」
そろそろ皆飽きてきただろうな。
もうボスも出てきて欲しい所。
「じゃ、最後の真ん中の道に進むか」
暫く歩いたら、大きな扉が開かれている。
多分さっきのレバーで動いたのだろう。
地面に引き摺られた跡がある。
最後の廊下は、二つ目の回廊よりさらに経年劣化でボロボロになっている。
ところどころ蔦まで生えている。
「キシャャャャャャ!!」
その中からなんと、蛇のようなモンスターが現れた。
「久々のエンカウントだ」
俺はすぐ終わるだろうとスキル詠唱に入る。
その時、その蛇が合図の様な音を出した。
すると周りの壁にへばりついていた蔦の一部から、あの蛇の子分らしき物が辺りに湧き始める。
それは、芋虫か蛇かは分からない緑の円柱の生物だった。
気づけば辺りにうようよ現れている。
「虫が嫌いな奴或いは集合体恐怖症の人なら気絶するな。こりゃあ……」
幸い俺は上記2つの者ではないので平常心を保っていたが、正直気持ち悪い。
「質より量ってやつか。モンスターも考えるなぁ」
そういう意味では敵ながら尊敬に値する。
しかし、雑魚は俺を相手にした時点で負け。
イキリかもしれないがこれが現実だ。
俺は慣れた手つきで『悪夢襲来』と『龍殺しの舞』を放つ。
「「「それっと。喰らえ!」」」
幾千のナイフが小さき蛇?芋虫?を襲う。
体にナイフが刺さり、血液か粘液か判別したくもない緑色の液体をぶち撒けて果てていく。
『悪夢襲来』の効果が切れ、『俺達』が消える頃にはその大群は沢山の残骸と液体に化した。
とても直視できるものではない。
「あー…… これでも一応生物には変わらないからなぁ……」
俺は渋々こいつらの供養をした。
「オリジナルスキル習得『輪廻の輪』」
供養が粗方完了したころ、システムメッセージが聞こえてくる。
「何だこれ?」
俺はスキルの確認をする。
「オリジナルスキル『輪廻の輪』
倒した相手を自動で供養する。
また、供養するたびにSTRが上昇する。」
「凄い! これで毎回供養しなくてもいいのか!」
人間は楽をしたい生き物なのだ。
そしてまた歩き出した。
稀にさっきの残党が襲ってきた事もあったが、直ぐに真っ二つにした。
「右手の戦闘もだいぶ慣れてきたな」
と言いながら荒れた廊下を歩いた。
そして、その時は来た。
廊下の終点の先に小部屋。
その奥には大きな部屋がある。なんか大きな奴いそうな感じだな。
間違いない。ボス戦だ。
俺の経験がそう告げている。
とりあえず、手前側の小部屋に入った。
宝箱と小さめの机があるくらいの質素な部屋だ。
宝箱には回復薬3つが入っていた。
「如何にもボス戦って感じの部屋だな……少し準備してから行くか」
次回、ボス戦。




