ソウタの想像と現状
迷宮の中、俺は止血するまでの間、さっきの広間から少し進んだ所で休んでいた。
「よし、止血完了」
俺は圧迫布を解いた。
まだ痛みは収まっていないが、行動を再開しよう。
そうしないといつ戻れるか分からない。
俺は先に進んだ。
右手でのスキル練習もした。
ここで今の俺の状態をまとめよう。
「オラッ!」
まず通常攻撃。
元々装備している短剣は2セット。つまり二刀流ができるのだが、左手故障の為そのうち一本がニートになってしまったので、インベントリに泣く泣くしまった。
治ったらまた装備しようと考えた。
次、『アームスティック』。
当たり前だが、左腕での防御行動は不可能。
出来ることなら腕も上げる事もしたくない。
しかし、俺は反射的に左手を掲げようとする。
『慣れ』とは非常に怖いものだ。
今、俺は全力でその癖を直していた所だった。
これ暫くしたら右手が癖になるだろうな。
はい、次。『雷の弾丸』。
左手は言わずもがな、右手で練習してるのだが、標準が定まらない。
これはもう仕方のないことかもしれない。
ざっとこんな感じ。
いずれにせよ俺が受けた物理的ダメージと精神的ダメージは計り知れない。
悔やんでも仕方ないので先を急ぐ事にした。
さっきの山に無理矢理穴掘り進めた様な宝箱のルートとは違い、如何にも迷宮らしい遺跡の様な床と壁が立ち並んでいる。
「この仕掛け作った奴後でぶっ飛ば……あ、そう言えばソウタだったな。とりあえず後で謝罪されてもらうぞ!」
もしかしたらこの声はソウタに聞こえているかも知れない。
そう考えると『ちょっと君、何言ってたんだい?』とか言われてもおかしくない。
逆に笑ってネタにもしそうだ。あいつだから。
これでも出逢って2日の仲だ。
『馴れ馴れしいかな……』とは不思議と思わない。
「なぜか、あいつとはどこかで会ったことのある感じがしたんだよな。 もしや前世で知り合いとかだったか?」
俺は前世をさっと思い返してみるが、いずれにも該当しなかった。
「おかしいな……何故だろう……」
ぶつくさ言いながら歩いてると、そこは行き止まりであった。
目の前にはレバー。そしてUターン指示記号。
「どうやらここでレバーを入れないとあの真ん中は進めなかった様だ」
不幸の後には幸運が訪れる。
この言葉は本当だ。
しかし、俺は別の問題を抱えていた。
それは、
「どうやってレバー入れよう」
という事。
何を馬鹿な事、と考えているそこの読者。
俺は散々言っている通り左手故障中。
不器用な右手では正直言って力が足りると思わない。
かといって左手を使う訳には行かない。
そこで俺が出した結論とは。
To be continued ……




