16部隊と無慈悲
ここから、いわゆるオマケパートです。
「『バインド』!」
「魔獣」がいなくなり静寂が訪れた森を、俺は駆けていく。
俺は今、 戦いの途中で逃げていた隊員の回収作業をしている。
本当なら処刑か極刑の大罪だと言うのに。
「全く、IQが10以上違うと会話が成立しないのは本当だったのかよ……」
俺は愚痴を言いながらも回収作業に勤しんでいる。
俺らが「魔獣」と必死になって戦っているころ、此奴らは雑魚でレベリングや彷徨っていたり、果てには日向ぼっこしてる奴までいた。
「最後の1人見つけた!『バインド』!」
最初の頃は会話して無理そうなら『バインド』で強制連行してたのだが、途中からめんどくさくなって、とりあえず見つけたら『バインド』で捕らえて引き渡すの繰り返しになっていった。
ようやく最後の1人を捕まえた。
そして慣れた身のこなしでここまで来た来た馬車のあった所に辿り着いた。
「これで全員。やっと終わった……」
安堵の声が漏れる。
「お疲れ様でした……。 私よりAGIが高い貴方に任せっきりで……疲れたでしょう……」
そう言うアカリさんも疲れてそうだった。
俺は隊員の縄を馬車の柱に括り付けながら、
「だいぶ疲れたよ……。 馬車の中で少し休憩していいか?」
「分かりました……。 どうぞ休んで下さい」
アカリさん……優しいな……。
願わくば、こんな良い上司が欲しかった……。
「従者さん……発進して下さい」
そう言いながらアカリさんも
「いいのか? あいつら外に置いてきて……」
俺は外で縄で括り付けたままであろう隊員を心配した。
「良いんですよ……。 今日の私たちは1番活躍したのだから」
案外シビアだな。
そう考えていたら、俺は自然と眠りに落ちていた。
「おやすみなさい……アカギさん……」
俺の記憶が途切れる前に、微かにそう聞こえた。
俺の体は既に限界を迎えていた。
「魔獣」との激闘と、森の中を走りまくって、疲労困憊及び全身筋肉痛であった。
そして、目が醒めたのは馬車が急停止し時であった。
「うわっ!」
気がつくと、俺の肩にはアカリさんが寄りかかっていた。
寝顔も可愛い。俺はアカリさんの頭が地面に当たらない様に、反対側に傾けた。
「従者さん、何があった?」
そして、事情を聴く。
「山賊に絡まれた?」
面倒くさいな。そんなので俺の眠りは妨げられるのか。
俺は寝ている所を起こされたらイラッとくるタイプの人間だ。
とりあえず、剣を装備して山賊の前に立ち塞がった。
1、2、3、4人か。これなら頑張って殺れそうだ。
「おい? 有り金全部と武器と荷物よこしやがれ!」
山賊のリーダー格から怒鳴られた。
「俺らは王国軍って知ってる?武器捨てて投降したら攻撃はしないよ?」
しまった。少しきつく言い過ぎか?
その心配は現実になる。
「ああ? 軍だからだよ! 死ぬのが怖くて山賊やってられっか?」
確実にチンピラだな。
「最終勧告だ。武器を捨てて投降しな。そうしないと力ずくで通してもらう。命の保証はない」
面倒くさいが…… 4人も一気には難しいか? いや……不意を突けたら……
「へっ! 上等じゃん? かかって来いよ!」
仕方がない。
「忠告はした。さようなら。『加速』『霧隠れ』『暗殺』」
その瞬間、リーダー格の首が有り得ない方向に曲がる。
そして、地面にボトリと落ちる。
「悪いね。投降したらこうはしなかったのに」
1人目。
残りの山賊は慌てふためき、散り散りになって逃げる。
しかし、俺が逃す筈がない。
「『落雷』」
無慈悲な落雷が、2人を炭へと変える。
「ひっ……そんな……」
1人は直撃を逃れたものの、『麻痺』になっていた。
「ごめんな。 でも投降しないお前らも悪いぜ」
そう言って、俺は最後の1人の首を切った。
「せめてもの情けだ。来世が素敵である様に」
人によっては、俺のことを極悪非道と非難轟々言われるかもしれない。
確かに、俺のした事は人殺しだ。
だが、ここにいた山賊はいずれも不慮の事故や病気、殺人などによってここにきた転生した人が全て。
ここで罪を犯したことには変わりないが、せめて来世が今世や前世より素敵であるようにと、供養してやることが俺の出来る事だ。
まあ、人によって理解できないかもしれない。それはもう仕方ない。
「さて、馬車に戻るか」
俺は馬車に戻り、再び寝た。




