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二話:この世界の事

「よろしくな!ラノア・フリー!」


龍とラノアは握手を交わした後獣車に乗った

龍はアニメなどで見た馬車と同じような作りに本当に異世界にきてしまったことを改めて実感している


「しっかり掴まってて」


ラノアの忠告に龍は大人しく近くにあった手すりを掴む


「出発して!」


ラノアが声を上げると鹿のようなバケモノが動き始める

凄いスピードだ。100キロは出ているだろうか


「凄い速いんだな。この鹿」


「鹿?―あぁこの魔物のことね!」

「この魔物は手懐けるのが比較的簡単な魔物なの」

「戦う力はないけど足がとても速くてね!本気で走  ると、そこら辺の魔物は全然追いつけないのよ」


ラノアが得意げそうにこの魔物の話をしている

その表情につられていつの間にか龍も微笑んでいた


「この世界はこんな魔物が沢山いるのか?」


「えぇ。今確認されているだけでも数百種類の魔物が いるわ!」


「そんなにいるのか…」


この鹿のような魔物だけならいいのだが先程のミルワームのような魔物とは会いたくないものだな

この世界の事について知りたくなった龍はラノアに聞いてみる事にした


「さっきからずっと砂漠の中を進んでいるがこの世界 は国とかはあるのか?」


するとさっきまで微笑んでいたラノアの顔が少し曇ってしまった

まずい事を言ってしまったのかとすぐに弁明しようとする龍

だがまたラノアの顔が戻り質問に答えてくれた


「この世界は5つの大陸で構成されていて、1つ1つにそ

 の大陸を代表する国と人がいるんだ」

「でも大陸同士の領土争いが絶えないんだ。」


ラノアの言葉にはとても重みがあった


「でもね…私はこんな戦争なんかしてほしくない」

「平和的に収められるならそうしたいの」


ラノアが言っている事は正しい。ただ争いが話し合いで解決するものではないことは元の世界で知っている

きっとラノアも苦しんでいるんだろう…自分の住む場所が危険に侵されるのを

何か言ってやりたいが頭の中に言葉が思いつかない



そうやって黙っていると都市が見えてきた

とても大きな場所だ…西洋の建物が沢山建てられている

するとラノアが小袋に入ったお金を渡してきた


「一ヶ月暮らせるくらいのお金が入ってるから是非使 って!」


「ここまでしてもらったのにお金まで受け取れない  よ!」


ラノアの親切心はありがたいがさすがに受け取れない

ラノアが差し出す小袋を必死に両手で押し返す

すると小袋を地面に置いて獣車に走って行ってしまった

龍が引き止めようとすると


「落としたものだからもう誰のものでもないわよ!」

「出発して!」


凄いスピードで獣車が行ってしまった

その状況に呆気に取られている龍

龍は地面に置いてある小袋を受け取り


「次会う時は倍で返してやるからなー!」


獣車が行った方向に大声で叫けんだ

その日は宿屋に泊まりゆっくりと休む事にした



いくら寝ても鬱陶しい声が聞こえてこない事に少し寂しさを感じる龍

その寂しさをかき消すように家主に挨拶をする


(異世界といったらギルドだよな!)


早歩きで近くのギルドに向かう

ギルドの扉を開けるとアニメのまんまの光景が広がっていた

朝から祝杯をあげる人や酔っ払って寝ている人がいる

その光景にさらに心が高ぶる

ギルド職員に冒険者登録をしてもらう


「ギルドへようこそ!」


可愛らしい顔だ。やはりこの世界の人は容姿が整っている


「あの…冒険者登録をしてもらいたいんですけど」


この世界に冒険者制度があるのかもわからない龍は元の世界の記憶を頼りに聞いてみる

するとギルド職員がメモと水晶玉のようなものを持ってきた


「お名前とステータス測定をさせていただきます!」


異世界だと見たことのない文字だと思ったが看板などを見てみるとこの世界の文字はカタカナ表記になっているため助かった


「イチノセ・リュウさんですね!」

「ではこちらの魔性石に手を置いてください」


言われた通りに手を置いてみるとギルド職員が持っていた紙に文字が浮き出てくる

どんなステータスなのかとワクワクしているとギルド職員が紙を見て驚いた表情を浮かべている


(そんなに凄いステータスなのか!?)


その紙を見せてもらうとステータスの平均値を遥かに下回っているだけでなく、無属性だった

しかしスキルが一つだけ書いてあるのを発見した




「ネクストワールド?」




「あの…このスキルって」


ギルド職員なら何か知っているかと思い聞いてみる


「申し訳ございません」

「今まで見たことも聞いたこともないスキルです」


このスキル一つで状況が一変するとは思っていなかったがまさかここまでついていないとは…

だが無事に冒険者登録をすることはできたので良しとしよう

明日から雑用の依頼なら受けていいとのこと

少しガッカリはしたがこれでお金は返せそうだ

街の中心部に着くと何やら騒がしかった


「祭りでもやってるのか?」


気になって向かってみると祭りなどとはかけ離れたものだった


「今から王女の処刑を行う!」

「我らブルービル国によってこのスターハザードは  落とされた!」


この国の王女が捕らえられたのだ

やはり争い事になってしまうのだとラノアとの会話を思い出した


「最後に言い残す事はあるか!」

「王女――ラノア・フリー」


その聞き覚えのある名前に全身が寒気に襲われた

大勢の人の間を掻い潜ってその処刑場を目にした

忘れるはずがない…緑色の綺麗な髪、整ったな容姿、そして死にそうだった自分を助けてくれた人


「待て!!」


考えるより先に口が動いていた


「この世界が争いの中であったとしても私は戦いたく ない…」


澄んだ声だ…この世界に来て最初に聞いた声

その声が聞こえたと同時に死刑人の大剣がラノアの頭と首を引き剥がした

血しぶきと共に飛ぶ首…最後の最後にラノアは笑っていた。

龍の心の中に増大な憎しみが湧く



許さない…許さない…許さない…許さない…許さない…


(俺が一緒に行っていれば―――)





目を開けると獣車に乗っていた

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