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一話:退屈の裏返り


「龍、早く起きない!」


毎日同じ声で目が覚める

見慣れたベットの上、壁一面に貼ってあるポスター、同じ作品を探すのが大変な位バラバラに入れてある本棚

変わらない部屋だ


「わかってるよ!」

「今日はテストなんでしょ」

「遅刻したらどうするの!」


鬱陶しい声で説教される

その声を退けて僕は2階から急いで降りる

顔を洗いリビングに向かうと新聞を読んでいる父がいた


「また母さんに怒られてたのか」


どうやら会話が聴こえていたらしい


「あまり母さんを困らせるなよ」


父は毎回母の肩を持つ

父さんも母さんも説教ばかりで腹が立ってくる


「テーブルに母さんが用意したパンがあるから早く  食いなさい」


何も言わずにテーブルのパンを急いで食べ、学校に行く準備をする

ドアを開けて出て行こうとした時に階段から降りてきた母が何か言っているようだったがそれを無視して扉を閉めた



いつもと同じ一本道を走って学校へ向かう

電信柱が端に1本ずつある場所を抜けるといつもの学校が見えてきた

またいつものように始まってしまうと思うと少し足にブレーキがかかる

後数秒もすれば学校の校門を越えてしまう

その時心にあった感情を本気で願ってしまった




(このまま終わりたくない)

 ……… …..




「ウッ!」


校門を潜ったはずの龍が今、何故か目も開けられないほどの強風に当てられている


「何なんだ…..」

「うわっ!」


僕は体勢を崩して地面に倒れてしまう


(おかしい…..)


普通はいま学校のアスファルトを触っているはず

なのに手から伝わってくる感触はジャリジャリとした

砂のような感触だった

しばらくして少しずつ風が弱まってきた

少しずつ目を開けてみる


「え………」


やはり龍が触っていたのは砂だった

その衝撃のまま辺りを見渡した

自分が知っている光景、ボロボロの壁、所々割れているガラス、大嫌いだった学校が目の前にはなかった

そこは一面の砂漠だった


「どうなってんだ」

(どう考えても自分が知ってる所じゃないよな….)


嫌な考えが頭によぎった



(有り得ない、こんな事って…..)

「ここって、異世界かー!」



この状況に驚いる龍だが段々と置かれている状況に焦り始める


(ここで止まってるだけじゃ何も進まないな)

(状態を整理するために少し周りを歩いてみるか)


その重い足を上げて龍は歩き始める

30分ほど歩いた所で嫌なことに気づく


(何もない…..)


30分歩いても建物1つも見当たらない

どうやら砂漠のど真ん中に来てしまったらしい


「どうしたものか…..」


その状況に絶望していると地面が揺れ始めた


「なんだ?!」

「強風の次は地震か!」

(いや…?)


どうやら揺れているのはこの辺りだけだった

どんどん揺れが強くなって行く

揺れに耐えられず尻もちをついてしまう

この揺れは何かが地面を伝っている証拠だった

ザァザァザァザァ

物凄い揺れと共に出てきたものは


「あぁ…」


そこには10階建てのビル程の大きさのミルワームのようなバケモノがいた

龍は言葉が出ないほど怯えている

バケモノがこちらに気付き襲ってくる

龍は咄嗟に身を起こし走り出す


「はぁ…はぁ…」

「どうなってんだよー!」


いくら走ってもどんどんバケモノとの距離が近くなっていく


「もう…限界」


疲れきってその場に倒れ込んでしまう龍

すでにバケモノが目の前まで近づいていた

龍がバケモノに襲われるのを覚悟した時


「離れて!」


澄んだ綺麗な声が後ろから聞こえてきたと思った直後バケモノに凄まじいスピードで砂の塊が当たりバケモノの体を貫いた

その状況に唖然としていると


「大丈夫?」


後ろからまたあの声が聞こえてきた

どうやらこちらに走ってきているようだ

お礼を言おうと後ろを向く龍

そこには

緑色の長い綺麗な髪と整った容姿を持った女神のような女性がいた

その姿に見惚れてしまいお礼を言うことができなかった


「貴方なんでこんなところに?」


ぼーっとしていた時に質問に答えようと頬を強めに叩く


「それが気づいたらここにいて…」

(咄嗟に答えてしまったがこの回答だと頭のおかしい奴だと思われてしまうんじゃ)


「そうゆーことね!」


(やけにすんなり受け入れられるな…)

「そんな簡単に信じるのか?」


疑問そうな龍に対して冷静そうな彼女の顔がより一層不思議に感じてしまう


「この世界で途中の記憶がなくなるのって結構あるこ とよ?」


「そうなの?!」


予想外の回答に戸惑いつつもとんでもない世界に来てしまったと改めて恐怖する龍

この少女にこの世界のことを聞きたいと思った龍は


「実は途中の記憶どころかこの世界の記憶全てがなく なってるんだよね…」


これには冷静だった彼女も少し驚きの表情を見せる


(これはやり過ぎたか…)


心の中で後悔する龍に少女はまた冷静な回答をする


「確かにそれは中々聞いたことないけど…まぁ有り得 なくはないでしょ!」


(この世界の人はこんな軽いのか?!)


その純粋さに少し驚く龍


「貴方、一人なんでしょ?」

「私が近くの村まで送るから一緒に来ない?」


(こんな見ず知らずの奴に対して一緒に行動してくれ るなんて)

「でもどうやっていくんだ?」


「私が乗ってきた獣車で行きましょう!」


彼女が指す方には鹿に似た動物が二匹が台車を引っ張っている


「ありがとう!」

「俺は一ノ瀬龍だ!………君は?」


龍はさりげなく彼女の名前を聞いてみた


「私はラノア・フリーよ!」

「よろしくイチノセ!」


「ああ!」


これから俺の冒険ライフが始まる…………….









と思っていた




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