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DGエンジェルズ あなたは、天国を目指せますか? ー地獄から脱獄した咎人と戦う魔法少女の生を追い求めるための戦いー  作者: 瀬名川匠
七章 もう戦わない! クライム&パニッシュ! って今度はこっち!?

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第七章 エピローグ

「この子……」

「どうしたんです? 先輩?」


 ある、世間とは隔離された一室の中。

 大量の古文書と思わしき資料、薄汚れたファイルの束、ソレらに埋もれるかのように置かれている椅子に座っている女性。

 長い緑髪を束ねることなく垂らしてパソコンを覗き込んでいる女性の後輩である女の子が部屋の整理のために持ってきた段ボールを置き、その顔をぬっと近づける。

 すると、女性はとある動画を女の子に見せる。それは、あるアイドルグループの歌唱動画。

 デッドゴッドエンジェルズの最初の曲『I don’t believe in heaven』の動画だった。

 パソコンを覗き込んだ後輩の女性の目に、見目麗しい少女達の姿が見える。一番小さな子は、小学生、後は高校生なのだろうか。そんな少女たちの始まりはちょっと辿々しいMC。グダグダだけど、でもソレを笑って流すその様は、彼女達がとても仲の良い友達なのだとよくわかる。

 話が終わり、曲名を話した後、一瞬の沈黙が流れ、そして。


【(ライク)始まりはいつだって誰かの暗い箱の中

(鳴)そこから出てきた瞬間

(ダーツェ)地獄が始まる

(ホコリ)今更後には引けない

(ララ)進むしか道はない

(牟六)わかっているけど振り向きたい時もある

(全員)でもそんなの無駄だ!


(鳴 むろく)何もかもがちっぽけだけど

(ララ)誰も彼もが助け合い生きてる

(ダーツェ)そんなくだらない綺麗事で

(ライク ホコリ)AH.僕たちの人生を決められるなんて嫌だ


死ぬまでにまだまだ時間はある

でも生きてる時間ももう足りない

そんなことならないよう今生きていくんだ

この一瞬 この刹那 この地獄のような世界を

たった一人で】


「な、なんかアイドルグループとは思えない歌ですね……」

「そうね、なんかこう中二病っぽさがあるような……」


 その場にいる二人は、一方は苦笑いを浮かべ、そして一方はなかなかどうしてと言わんばかりの表情を浮かべる。

 確かに歌詞の中には『人生を決められるのなんて嫌』だとか、『この地獄のような世界』だとか、どちらかと言うとロックバンド寄り、少なくとも普通のアイドルの歌う曲とは思えない様なダークな世界観が散見されている。

 確かにアイドルが乱立する今の時代、エッジの効いた曲調でなければ差別化できないのかもしれないが、だからと言ってもうちょっと希望というか、可愛くて元気な曲の方がいいのではないだろうか。そう、後輩の少女は方は思っていた。だが。


「いい曲ね」


 上司は違うらしい。


「自分の感情を乗っ取ってそのまま書きなぐったかのような歌詞、私は好きよ」

「感情……」


 まるで歌詞自身が意思を持っているかのように、そして自分に迫りくるかのように、なおかつのしかかるかのようなソレは、聞いていてなんだが心が切なくなってくるし、逆に勇気づけられるような気もする。

 普通のアイドルソングとはまた違った世界観に、コメント欄もまた賛否両論あるようだが、しかし肯定的な意見の方が多いようにも見受けられる。

 歌詞がカッコいいという文言もあれば、その歌詞を存分に引き立たせている歌唱力が凄いという意見も見られる。確かに、この中二病全開の歌詞を綺麗にアイドルソングとして落とし込んでいる辺り、相当名のある作曲家が作った物に違いない、と思う。動画内、あるいは概要ではそのことについて触れられていないが。

 なんにしても、とてもいい曲であるのは確か、だ。


「ただ」


 しかし、女性には気になることがあった。それは、彼女たちの名前、である。

 デッドゴッドエンジェルズは、その名前をニックネームなどにしてぼかすことはせずにフルネームをそのまま用いていた。個人情報の漏洩に関しては興味ないのだろうか、いやソレよりもだ。名前を閲覧した女性は目を細める。


「この子達が、どうして一緒のグループにいるのか、ね」

「? どういうことですか?」


 と、少女が聞くと、女性は考え込む。どうしてこの名前が並んでいるのか。まさか、≪自分の力≫が≪あの子≫によって集められたか。もしそうであるのならば、何故アイドルグループなんてものをしているのか。ただの、偶然、ソレとも。

 分からない、がしかし。確かめてみる必要がある。


「この子達に会いに行くわよ」

「え、でもどうやって? この人たちがどこに住んでいるのかなんて……」

「そんなの、今のネット社会なら特定されてるでしょ? これだけの情報があるんだから」


 と言うと動画を消して、SNSを覗いてみた。そして、ソレを見つけた瞬間に舌打ちをする。


「やっぱり、まったくこれだから人間は……」

「いや、先輩も人間ですよ」


 簡単に見つかってしまった。彼女たちがどこに住んで、どこの学校に通っているのかも。そして―――。


「神江、任三郎か……」


 この名前、間違いない。あの男だ。古文書の中に描かれていた、全ての元凶たる人間。女性は、その文字列を見るとすぐに立ち上がり、物かけにかけてあったコートを羽織った。


「行くわよ、この子達の所に」

「え、あ、はい!」


 女の子もまた、彼女の荷物を纏めるとその後を追おうとした。

 その、直前だった。


「あ、そう言えば先輩……この間倒した≪凶器を持った黒い怪物≫の事を、上の人に話さなくていいんですか?」

「あぁ、普通の攻撃が通用しなかったアレのことね、それならもう話しているわよ。でも、いつも通り『そんな化け物がいるわけがない』の一点張り……ついでだから、その調査にも行ってこようかしらね」

「どうしてですか?」


 と女の子が聞くと、女性は振りかえって、≪あの時≫自分を地獄の世界から解放してくれた時のような笑顔を浮かべた。


「その黒いの、この子達がいる街で大量に目撃されているから、よ上の方で、情報規制がかけられてるみたいだけど、ね」


 と。果たして、彼女たちの参戦がどのような物語を産むことになるのか。

 静かに締まったドアの向こう側で、女の子の持っていた段ボール箱の中の資料が一枚、床に落ちた。

 そして、そこにはこう書かれていた。


≪催眠をかける方法並びにかかった人間の催眠を解く方法についての報告≫

ララ「それにしても良かったです! コレでみんなで正義の味方ですね!」


ホコリ「そうみたいね」


ライク「まぁ、どこまでやれるか分からないけど、アイドルもエンジェルも頑張ろ」


ララ「はい!」


ミズキ「そんな正義の味方さんに報告よ、街に入ろうとしている女性がいるわ」


ライク「ソレがどうしたの?」


ミナト「似てる、私と……同じ」


ララ「え?」


ホコリ「また、面倒なことになりそうね」


次回 DGエンジェルズ


人生を賭けた来訪!

真実を求める女性達!


それでも、あなたは天国を目指せますか?

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