ロイドとリアラの過去
リアラ視点です。
私がロイドに出会ったのは、おじいちゃんがロイドを孤児院で見つけて引取って帰ってきたときで二人が十二才の時だった。
初めて見たとき年齢の割に落ち着いた雰囲気で、どこか暗い影が見える少年だなと思った。
その整った容姿から、貴族の後継者以外の子供を連れてきたのかと思ったが、孤児院から来たことを聞かされた。
私の両親は、私が物心つく前に亡くなったらしく、おじいちゃんと二人暮らしだったからロイドと暮らすことになって喜んだことを覚えている。
そのころ、私は王都の初等学校に行っていたが、大賢者シドの孫というのは近寄りがたい存在らしく、いじめられるわけでもなかったがあまり同年代の子になじめずにいた。
だから、おじいちゃんとの修行にロイドが加わってから、楽しいと思えるようになった。
私は回復や防御の魔術が得意だが、ロイドはおじいちゃんと戦って良く怪我したりするので私が役に立つことも多かった。
少しずつ三人での暮らしも慣れてきた頃、私は高等学校に進学しロイドも一緒に通うことになった。
王都の学校なので貴族の子供も多く、ロイドはその容姿と性格から女の子からの人気が高く、ロイドの面倒を見ながら、私の他の子達となじめるようになってきた。
だけど、ロイドは男の子たちからは妬まれるようになってしまい、周りに見えないところでいじめられるようになってしまった。
あるとき、家に帰って二人でいるときに、なぜいじめる子たちにやり返さないのか問いただしてみた。
「俺は幸運なんだ。いじめる奴が俺を標的にする理由もわかる。俺みたいな孤児が師匠に拾ってもらって後継者になるかもしれないのは貴族の子どもからしたらおもしろくないだろう。それに反撃したら、師匠や孤児院の皆に迷惑がかかるかもしれない。俺は師匠みたいに困っている人に手をさしのべられる大人になりたいんだ。だから修行も勉強も学校も全部頑張るよ。リアラ。」
「それでロイドは辛くないの?」
「辛くないとは言わないよ。出来たら皆と仲良く出来たらどれだけ良いだろうかと考えることもある。だけど、やられたらやりかえしていたらこの世に暴力はなくらないだろ?誰かが負の連鎖を止めなきゃ行けないなら俺はそれを止める人でありたい。それに師匠や孤児院の皆に恩返しが出来るようになりたいからな。」
そのとき、この人がどんな状況でも前を見て歩いて行ける、心の強い人なのだと知った。
それから私は、この人を支えていける人間になりたいと強く思った。
そのあと、ロイドはおじいちゃんの辛い修行も乗り越えて強くなった。
ロイドは学校を出た後、王国軍の兵士養成所に入ると言ってたので、私もロイドについていくことにした。
ロイドはおじいちゃんの後継者なだけあって、養成所でも抜きん出た存在で、そこでも苦労の連続だったが、実戦でも戦果を上げ続け、二十一才の頃には軍の騎士団長まで上り詰めた。
その横で私はロイドへの恋心を心に秘めながら一緒に戦っていた。
それからロイドはイリスと出会い婚約することになるのだけど、内心複雑だったけど、ロイドが私のことを家族として大切にしてくれているのは知っていたし何も言えなかった。
二人が出会う前に気持ちを伝えていたら何か変わっていたのだろうかという後悔を抱えることになってしまったが。
そして帝国との戦いを終え、王都に戻ったロイドを待っていたのはひどい仕打ちだった。
ロイドが死ぬなんてありえないと思っていたけど、実際にこの目でロイドを見るまでは不安で仕方がなかった。
だから、ロイドに会えた今、後悔しなくて良いように自分の気持ちを伝えなくちゃ――。




