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英雄ロイドの災難  作者: 古淵 有


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29/50

王国軍との衝突 かつての仲間との再会

ヒルダ視点で始まり、ロイド視点になります。すみません

「兄上。もう少しで奴らが来る。防壁を降りて迎え撃とう。」


「ヒルダ、親父が女王に連絡はしているらしい。親父からは増援が来るまで粘れという指示だ。相手がどれだけの戦力を持ってきているか分からない。上手く時間と情報を稼ぐように立ち回るんだ」


 今、私たちヴェルサスの町の防衛隊のメンバーは、王国軍が侵攻しに来ているため迎え撃つ準備を整えている。

 町の防壁の上からも、もう王国軍の全体が見えている。

 全部で数千人だろうか。

 そこから部隊を分けて数百人が防壁に向かって進軍している。


「分かったよ。見たところ今向かっている奴らはそこまでの強さじゃないように見えるね。致命傷にならないように追い払おう。」


「そうだな。まずは俺とヒルダを先頭にして他のメンバーはフォローにまわってくれ。それじゃあ皆、町を守るぞ!!」


 そして皆で防壁を降りて王国軍を迎え撃つ。

 予想通りそれほどの強さではなく、ある程度のダメージを与えて追い払う事が出来た。


 攻撃してきた部隊が敵わないと分かり後退していくのと入れ替わりに、二人の若い男達がこちらに向かってきた。


「二人だけで何が出来るって言うんだ」


 兄上はその二人に攻撃をすることなく構えを取って様子を見ている。

 その肩が震えている様に見える。


「みんな!!こいつらはヤバいぞ!ロイド並の可能性がある!」


 すると剣を持った騎士風の男が驚いた表情をした。


「君たちはロイドを知っているんだね?リアラ達に良い土産話が出来そうだ」


「僕は色々と複雑ですがね……。まずはこの人達を無力化しましょう」


 すると、二人の放つ魔力が急激に膨れあがった。

 これはまずい。ロイドよりも強いんじゃないの?


「ロイドの知り合いってことは、王国でも上位の実力者だろうな。ヒルダ、皆、隙を見て逃げるんだ。俺が相手をする」


「君はかなり強そうだけど僕らには敵わないよ。キール拘束は任せた!」


 そう言って一人が兄上に斬りかかる。

 距離があったはずなのに気がつくと兄上のそばにいて攻撃をしている。

 反応できず攻撃を受けてしまう。


「兄上!!」


「よそ見している暇はありませんよ」


 もう一人の魔術師風の男がそういうと、みんなの体の周りに拘束魔術をかけられていた。

 力をこめてはずそうとするがびくともしない。


「キール、ありがとう。それじゃあこの人達を連れて一旦戻るとしよう」


 まずい。皆捕まっていて動けない。

 このままじゃ殺されてしまう。

 そう思った時だった。


 何かが奴らとアタシたちの前に一瞬で現れた。


「ヒルダ。もう大丈夫だぞ」


 仮面とマントをしているが、そこにいたのは最も今来て欲しいと思った人物だった――


 ◇ ロイド視点


 さて、何とか間に合ったな。

 目の前にはジュリアスとキールか。

 これは流石にマーキス達でも分が悪い。


 なんとか追い払うとしよう。


「ロイドなのかい?」


「先輩、仮面似合いませんね」


 もうばれてるな。

 まあこの二人なら魔力で分かるだろうし良いか。

 他の兵達に見られないようにこのままつけておくけども。


「まあ二人ならすぐ分かるよな。見ての通り今はこちら側の人間だ。このまま戦わずに引き下がってくれると助かるんだが」


「すまないが、他の兵達がいる手前それは出来ない。ロイドに勝てるとは思わないが何もしないわけにもいかないね」


「そうだよな。じゃあ俺も俺の好きなようにさせてもらおう」


 俺が攻撃を仕掛けようと思ったそのとき、見慣れた二人がこちらに向かってきた。


「ロイド!ようやく会えた!」


「ロイド様!ご無事で良かった」


 リアラとミラの二人もいたのか。

 王の盾のメンバーがこんなところで勢揃いしてしまったな。

 四対一だと流石に俺も大変だ。

 素早く対処しなくてはな。


「全員に来られたら面倒だ。すまんがここから離れてもらうぞ!心配はいらないと思うが防御はしっかりしてくれ!」


 そう言って俺は力を込めた魔力弾を四つ放つ。


「待ってロイド!私とミラはロイドに会いに来たの!」


 リアラがそう言っているのがかろうじて聞こえたが、魔力弾に押されて四人は王国軍の兵達が居る方へ飛んでいった。


「皆!すぐに防壁の上に運ぶからな!」


 俺はすぐに防衛隊のメンバーを防壁の上に運んだ。

 ヒルダが俺に話しかけてきた。


「ロイド!助けてくれてありがとう。もうダメかと思ったよ」


「ああ、俺はお前達を見捨てたりはしないさ。すまんがもう少しそのまま待っててくれ。最後に王国軍が進軍しづらいようにしないといけないからな。ユリスの許可ももらってある」


 王の盾の皆がこちらに戻ってくるにはもう少し時間がかかるとは思うが、早めに済ませてしまおう。


 あらかじめ溜めておいた魔力を解き放ち、防壁の東側にその魔力をぶつける。

 すると、大きな爆発が起こり砂煙が上がる。

 砂煙が消えた後には、深く広い穴が出来ていた。


 これで大人数での侵攻はしづらくなるはずだ。

 それにジュリアスとキールは俺がこちらにいるのに侵攻を続けるような無茶な真似はしないだろう。


 まずは皆の拘束を解くとしよう。







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