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英雄ロイドの災難  作者: 古淵 有


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19/50

かつての仲間達の会談

リアラ視点です。

 おじいちゃんからロイドの居場所を教えてもらった後、私とミラは王の盾を辞めてロイドを探しに行くことにした。

 ロイドがいなくなりさらに私たちが辞めるのは困るということで国王から慰留されたが、私たちの決意が固いのを理解して渋々了承してくれた。


 ジュリアスとキールには悪いが、戦争も終わったし二人がいればきっと大丈夫だろう。

 今私たちは魔皇国へどうやっていくか考えていた。


「ミラ、準備は出来た?」


「はい、私はいつでも出発できます」


 ミラは早く出発したくてウズウズしているようだ。私もそうだが、おじいちゃんからロイドが生きていることを聞いてミラはだいぶ元気を取り戻していた。


「じゃあ、そろそろ出発したいところだけど……。実は王国軍が魔皇国に侵攻を試みるという話があるのよね」


 今、王国の周りで優位に立てない相手はもう魔皇国だけだ。


「ほんとですか?いまだかつて魔皇国への侵攻は成功したことがないと聞いていますが」


「たしかにそうなんだけど、魔皇国の鉱物資源や、魔物からとれる素材は魅力的みたいね」


「内政を安定させた方が良いかと思いますが」


「そこは、侵攻するのが比較的余裕のある今ということかな?失敗しても深刻なダメージにはならないし、成功したら美味しいし」


「ということは魔皇国へ行くのが大変になりませんかね?」


 ミラの言うとおりだ。わざわざ敵国の者を素通りさせてもらえるとは思えない。


「だからさ、ジュリアスとキールに相談しようかと思ってるの。二人がなんて言うかは分からないけどね」


 ◇


 その日の夜、私の家にみんなに来てもらった。


「みんな、わざわざ来てもらってごめんね」


「いや、良いよ。それは二人が軍を辞めた事と関係があるんだろう」


 ジュリアスが答える。キールは黙っている。


「そうだね。私たちは魔皇国へ向かおうと思ってるの」


 そこでキールが驚いた顔をしてこちらを見る。キールはロイドがどこにいるか分かってるはずだしね。


「魔皇国に何をしに行くんだ?僕らは今度の魔皇国への侵攻の任務で行くんだが」


「ミラと一緒にロイドを探しにね」


 そこでキールが血相を変えて立ち上がる。


「何でリアラさんが先輩の居場所を知ってるんですか!?」


「色々言いたいことはあるけれど、なぜキールがロイドが生きていると言うの?始末したと報告してたよね?」


 そこでキールはしまったという顔をする。


「おじいちゃんにね、魔力からロイドの居場所を調べてもらったんだよ」


「シド様ほどの御方ならそれくらい出来ますね。それじゃあここではもう隠し事をする必要はないようです」


 ジュリアスもあまり驚いていない。彼もロイドが生きていると思っていたんだろう。


「キール。君にロイドは殺せないと思っていたけど……。つまりロイドを魔皇国に転移させたんだね」


「はい。孤児院の子達を人質に取られて……。それで先輩もおとなしく転移させられてくれました」


 やっぱりか。キールもつらかっただろう。


「いまさらキールを責めるつもりはないよ。誰かに言われてしたことだろうと思ってたしね。でもキールの口からも話を聞けて良かったよ」


 キールは泣きそうになりながら俯く。少しの沈黙の後ジュリアスが話し始める。


「そうか。ロイドは魔皇国にいるんだね。親同士が決めたこととはいえ、ロイドには一言謝りたかったからね」


 ジュリアスが言ったのは、イリアとの婚約の件だろう。


「そういえば何でイリアと婚約することになったの?」


「平民上がりのロイドが実力も権力も手に入れるのを嫌がった勢力がいるみたいなんだ。キールにロイドの始末を命じたのも同じ勢力だろう」


 そんな理由でロイドは追放されなくてはいけなかったのだろうか?

 私は気持ちが沈んでしまう。


「なるほどね。おじいちゃんの言うとおり、ロイドは戻ってこない方が幸せなのかも」


「まあいずれにしても会ってからの話だね。僕とキールは明日には魔皇国へ向かうことになると思う。ロイドにも会えればいいけど」


「まずは、ロイドに会ってみないと何とも言えないね。まずは王国側の国境の町で作戦を考えるよ」


「分かった。僕らもリアラたちに協力出来ることは協力するよ」


 ジュリアスがそう言ってくれるだけでありがたい。

 情報が少しでも得られれば良いけど。


 ここまで静かに話を聞いていたミラが不意に口を開く。


「もしもですが、ロイド様が魔皇国側についていて、私たちに本気で敵対してきたらどうしますか?四人で立ち向かっても無力化することは難しいですよね」


 たしかにミラの言うとおりだ。今のところロイドが生きている以外の情報はない。ロイドと戦うことになってもおかしくはない。


「それはまずいよね。どうにか回避できれば良いけど……」


「すみません。今言っても仕方がないことでしたね……。ついつい最悪の事態も想定してしまって」


「きっと大丈夫だよ。あの優しいロイドが私たちに危害を加えるわけがないよ」


「私はその優しさ故に心配しているのですけどね……」


 それきりミラは黙ってしまった。


 そのあとジュリアスとキールといくらか打ち合わせをして解散にした。


 私たちも明日、王国軍とは別に王都を出発することにする。

 私は、ロイドに無事に会えることと、戦わずに済むことを願いながら準備をしていた。


 元気でいてよね。ロイド――。



ここまで書いてこれたのも皆様のおかげです。

感想・意見が頂けましたらとても励みになるのでよろしくお願いします。


私は今、新作の構想も練っています。こちらが終わってから書き始めますが、もし良ければ、こんな話が良いとか。もう少しこの話を続けて欲しいとか何でも良いので感想か、活動報告にコメント頂けると嬉しいです。

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