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7.大変な洗濯

強迫性障害の私にとって洗濯は非常に厄介な仕事だ。

まず、不潔恐怖だと大量の洗濯物がでる。

基本的に一回着たら汚れると認識するからだ。

それが実際に汚れたかどうか、どのくらいの時間着ていたかは関係ない。

特に下半身の衣類は一度着用したら必ず洗濯しなくてはならない。

何故かというと汚いと認識している床から近い位置にあるからだ。

そんな状態はなかなかありえないのだが、もし床を綺麗だと考えていて、何らかの要素によって汚染されたと感じることがなければ、洗濯をする必要はない。

つまり、上半身の服であれば一度使用しても洗濯しなくてはならないと感じない場合もある。

スーツを着なくてはいけない職場でなくて良かったと思う。

実際にスーツなどの気軽に洗濯できないような衣類を日常的に着用しなければならない状況に陥ったら、何とか強迫観念を納得させる手順を構築して実行するのだが、それはとても大変なことだ。

洗えないなら、洗う必要がない手順を考え出す必要がある。

就職活動の最中には、その手順を踏んでいた。

昔、学生時代にどうしても洗わなくては脳が許してくれない状況に追い込まれて、学生服のブレザーを洗濯したことがあったが、悲惨な物だった。

ごわごわに縮んでしまいとても着られる状態ではなくなってしまったのだ。

不潔恐怖の私にとって、服というのは洗濯できるかどうかが最も重要な要素だ。

洗濯ができない素材のコートなんてもっての他だし、素材だけではなく、その衣類の大きさも大切で、洗濯機に投入しやすいサイズである必要もある。

なんとか、洗濯機に納められるサイズでは許されないのだ。

洗濯機に投入する際に、汚れた洗濯物が何処かに触れてしまってはいけないのだから。

更に言うと、できるだけ乾燥が早そうな素材であることも重要だ。

私は洗濯物を上半身、下半身、靴下とパンツの3種類にわけている。

それぞれ分けて洗濯機に入れてスイッチを押すのだから、それだけで通常の3倍時間がかかる。

また、どれだけ洗濯の量が少なくても最大時間を選択するから実際にはもっと時間がかかっているはずだ。

これを何とか短縮するために、部屋では浴衣を着ている時代があった。

お祭りに着ていくような華やかなものではなく、旅館だとかにおいてある様な物を想像してほしい。

女性でいうとワンピースといったところだろうか。

これは上から下まで一つの服だから洗濯が楽なのだ。

また、汚い足を通して着る必要がないから、着用するにしても手間が少ない。

洗濯の一番厄介な点は、汚れた衣類を洗浄してリセットするというところだ。

どういう事かというと、洗濯前の衣類は基本的に綺麗ではない。

洗濯機に汚れた衣類を入れるには触らなければならない。

それを触るということは自分も汚れるということだ。

洗濯が終わったらリセットされて洗濯物は綺麗な状態と認識される。

汚れた衣類を触って汚れた状態の自分が綺麗な洗濯物を取り出したら、その時点で洗濯ものはまた汚れてしまう。

つまり、自分も洗濯物と一緒にリセットして綺麗な状態にしなくては洗濯物を取り出すことができないのだ。

儀式をしなければならない。

シャワーを浴びなくてはならない。

3種類に分けて洗濯するということは、3回汚い物に触るので、儀式も当然3回ある。

そのため、酷い時は洗濯をしているだけで1日が終わってしまう。

洗濯は日常的に行うため、確立された手順がある。

まず、洗濯は全裸で行う。

何故全裸になるのかというと、服を着ていてはその着ていた服も汚れてしまう。

これでは、洗濯をするたびに洗濯ものが増えてしまう。

もう一つ重要な理由がある。

肌の感覚が必要だから全裸になる必要があるのだ。

洗濯機に洗濯物を入れる作業には神経が必要で、洗濯槽の底にそれを置くまで、他の何処にも触れてはいけないのだ。

この時、衣類を着ていては、触れたことに気が付かないかもしれないし、衣服の厚みぶん触れるリスクも高くなる。

そもそも、何故触れてはいけないのかと言うと、もし触れてしまえば、その場所が汚れてしまうからだ。

そして汚れてしまったら、洗濯が終わって取り出す時に、取り出した瞬間に洗濯ものは汚染されてしまう。

もしそうなってしまったら、最初から洗濯をやり直す必要があるし、シャワーを浴びるという儀式も再度行わなくてはならない。

それを防ぐために、たっぷりと時間をかけ、少量ずつ細心の注意をはらって洗濯物をセットし、通常の何倍もの洗剤を入れてボタンを押す。

使う洗剤の量が多すぎるものだから、私の洗濯機は洗濯槽が真っ白に変わっている。

ボタンを押すところでまた問題が発生する。

「どうやってボタンを押すのか?」ということだ。

洗濯ものをセットした汚い状態の手で洗濯機を操作すると、洗濯機が汚れてしまい洗濯が終わって洗濯ものを取り出したときに汚染されてしまう。

だから、ボタンは汚い状態で触れない。

ゴム手袋やビニール袋を予め準備しておいて、洗濯ものをセットした後、それを装着し洗濯機を操作する方法が一つ。

それは、洗濯を行うたびにゴミが増えていくし、何より物が必要なので多用はできない。

だから多くの場合はシャワーを浴びてから洗濯機を操作する。

これだけの手順を踏まなくてはならないので時間は相当かかってしまう。

洗濯機に洗濯ものをセットする時間、シャワーを浴びる時間、洗濯が終わるのを待つ時間、合計すると一回の洗濯に数時間もかかる。

そんな手間と労力のかかる作業を、3種類分、儀式込みで行う必要があるのだから、常に洗濯に追われた状態にあると言っても過言ではない。

だから追いつかない時も多々あって、洗濯が終わったばかりの服を濡れたまま着るなんてことも日常茶飯事で、それはたとえ冬でもあっても関係ない。

だから、なるべく乾きやすい素材が望ましいのだ。

シャワーを浴びる儀式と同じように、疲れきっている状態が続いていると、どうしても大変な洗濯をしたくなくなる。

ここで回避が出てくる。

洗濯をしたくないから、服を消費したくない。

だから服を着ない。

そして、出かけることができなくなって、部屋に引きこもってしまう。

そんな状況に陥ることが過去何度もあった。

ちなみに、布団は洗濯することができない。

出来ない理由は大きすぎるからだ。

大きな布団を何処にも触れないように、洗濯槽にセットすることは不可能だし、どうやって乾かせばいいのか考えたくもない。

この洗濯に関する一連の作業が、私の抱える主たる強迫行為の一つだ。

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