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29.会社勤めを諦めてから

仕事を辞めた私はゴミの様なものをインターネットオークションサイトで売り小銭を稼いだ。

これは本当に小銭で月に数千円といった程度だった。


生きているだけで税金がかかるし、慎ましくでも生活していくなら費用がかかる。


友人がいないから遊びの付き合いはないし、一人で何処かに行くこともない。

お酒は殆ど飲まないし外食もしない。

仕事がなければ一日一食食べるかどうかも怪しい。

食事をしてもインスタントのラーメンか焼きそばで、それも自社ブランドの5袋198円だとかの安物だ。

勿論、野菜やお肉を追加でいれることはないから麺だけだ。

趣味と言えば本屋に置いてある無料の栞を集めることで出費はない。

出費と言えば日用品と水道光熱費、食費、それから税金だ。


倹約生活をしても、貯えはあっという間に減っていった。


もう死ぬつもりでいた。

部屋を空にするつもりで、持ち物を徐々に処分し始めていた。

同時に元々少なかった食事量を減らし餓死の準備を始めた。

何故まだ生きているのかと言えば、異常に頬が痩けているのを見た精神科医によって勘づかれ、実家に連絡がはいってしまったのだ。

当初は無視を続けて遂行するつもりでいたが、言うことを聞かないと実力行使で部屋にはいると脅されたのだ。

強迫性障害にとっての聖域を荒らされると何も出来なくなってしまう。

死ぬこともだ。

強迫性障害によって死ぬ準備に取りかかったはずが、その障害によって止められたのだ。

馬鹿みたいな話だと思う。


それからは貯金を切り崩しながら、うだつのあがらない生活をした。

しばらくすると、父から土地区画整理が終わった場所で野菜を育てないかと提案された。

私はその話にのった。


未だに強迫観念に支配されていて、幼い頃に当たり前のように想像していた普通の生活とは程遠い日常を送っている。

それでも、一人で野菜を育て、近所のスーパーにそれを並べるのは今までよりずっとマシだと思う。

収入は一日数千円だから、とても多いとは言えないが伸ばす事は可能だと思う。


新築住宅があちこちに建てられて、川沿いのある地域では一気に200棟も建設中だ。

小学校がパンクするからといって二つに増えるらしい。

その新築住宅を新婚の夫婦が買ってくんだろう。

きっと私と同年代だ。

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