好事は続く。されど・・・
和歌山のリーグ戦の快進撃は、その後もとどまるところを知らない。ACLを戦うことで疲労を重ねる上位陣を猛追するべく、国内最強ともいえるFW陣が各地を蹂躙したのである。
第10節は敵地に乗り込んでのガリバー大阪戦。
スタメン
GK1天野大輔
DF38結木千裕
DF20外村貴司
DF4エデルソン
DF40吉原裕也
MF17近森芳和
MF10小宮榮秦
MF46脇坂レイモンド
MF13須藤京一
FW11櫻井竜斗
FW16竹内俊也
エース剣崎と守備の要の内海をベンチに置いたオーダーに、当然ガリバー側は激怒。大ブーイングの中で戦う羽目になったが、ほどなくそれは沈黙する。開始まもなく、小宮が1トップ気味にポジションを上げて前線タメを作り、それを竹内、櫻井、さらには須藤が裏を狙うようないやらしい動きをして牽制。そして前半15分過ぎ、裏に抜けた竹内へ近森がドンピシャのロングパス。竹内はキーパーとの一対一をあっさり交わして先制点を挙げる。
一度は大阪の反撃を受けて停滞するものの、前半終了間際には脇坂の目の覚めるようなロングシュート。直接ゴールには入らなかったが、セカンドボール争いでボールを奪うと、最後は小宮が狙いすましたシュートでゴールマウスの端っこを射抜いて2点のリードを奪った。
後半開始早々、和歌山は櫻井に代えて剣崎を投入。送り出す前、松本監督は剣崎にこう指示を飛ばしていた。
「向こう(ガリバー)の目は後半点を取りに来る目だ。お前がその出鼻をくじいてくれ」
「へっ。楽に勝ちたいなら、最初から俺を使っとけって話だぜ」
しかし、そう言いながら剣崎は首脳陣の期待に応える。予想通り前がかりになってきた大阪。その中で近森がパスカット。すかさず中盤でのプレーに専念し始めていた小宮が剣崎につなぐ。抜け出した剣崎に対して大阪のキーパーも飛び出してくるが、剣崎はあざ笑うようにつま先でボールをフワッと蹴り上げる。らしからぬ一発で、剣崎は指揮官の期待に応えたのである。
その後、大阪の猛反撃にあったものの、失点するたびに内海、ウォルコットを投入して守備固め。3-2で何とか逃げ切ったのである。
続く清水とのホームゲーム。和歌山はいつもと少し趣を変えてきた。
GK1天野大輔
DF50ウォルコット
DF3内海秀人
DF4エデルソン
MF2猪口太一
MF17近森芳和
MF38結木千裕
MF14世良樹彦
MF40吉原裕也
FW9剣崎龍一
FW16竹内俊也
いわゆる3-5-2。対人戦、空中戦共に強い3バックと運動量に長けたダブルボランチ。これは左サイドバックの寺橋が直前の練習で負傷。出場が不可能になったことと、ソンがカード累積で出場停止となったことで、指揮官が今度を見据えた好機ととらえて採用した。さらにトップ下を配置する布陣で、大卒ルーキーで生粋のトップ下という前評判の世良が起用。そして、本職で出番を与えられた世良が、攻撃陣を牽引した。
「それっ」
前半の先制点も、彼のキラーパスから。DFラインの裏を狙って走り出した竹内が、最も欲しかったタイミングにドンピシャのボールをつないだのだ。
「こりゃ世良のゴールだな。実質」
竹内がしたことと言えば、キーパーの逆を突くシュートを打っただけ。それだけで良かったのだから、ほぼ当然のゴールだった。さらにフリーキックでも、アイコンタクトだけで剣崎のほしいボールを推察し、彼しか届かないところにボールを蹴り上げる。豪快なヘディングでネットを揺らしたエースは、世良に抱きついて褒めたたえた。
この試合、ここからスコアは動くことはなかったが、守備陣の精度は初めてとは思えないほど堅固だった。センターバックの3人はパワーとスピードを兼ね備えているので、裏への仕掛けはことごとくつぶし、放り込まれたクロスも的確に跳ね返した。ボランチの二人のボール回収力も光り、前後半合わせて打たれたシュートはわずか4本。枠内は1つのみと、相手にまともなシュートチャンスを与えず2-0の完封勝利を収めた。リーグ戦はこれで4連勝となり、順位も3位まで上げ、首位に立つ川崎とは勝ち点差4と首位を狙える位置につけてきた。
しかし、この試合でも負傷者は止まらず、ウォルコットが接触で足首を負傷。離脱となり、また一人守備のカードが消えた。そしてその二日後のトレーニング中に、FW陣にアクシデントが襲ったのである。




