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「中隊規模の作戦……確かミライとイセンは初任務でしたよね」

「ああ、そうだな」

「この前みたいに飛び出さないでちょうだいね、イセン伍長。ミライ機の損傷が直しづらかったってライがキレてたわよ」

「う、気を付ける」


 今回、ジャンダルム隊は総勢百三十五機からなる隊列に混じり作戦に参加していた。ファルー達とは隊の無線で話している。


「今回は戦略拠点を確定させるまでの随伴ですので安心ですね。機材を運送する味方機を多数の護衛で取り囲み、死角はない上この規模の戦力なら相手の方から攻めてくることもない」


 ぺらぺらと今回は平和だということを捲し立てて喋り、殊更に強調するサーマン。


「まず敵と会わないであろう作戦……いつも通りだな」

「そこから予定外の接敵……いつも通りね」

「なんですか! 開き直って交戦任務でも持ってきた方が落ち着くんですか! 今回は大丈夫です!」


 イセンとミルミドはすっかり諦めきって戦うつもりだ。一方サーマンは今度こそ平和に終わらせたいらしい。


「おっと、命令がくだりました。うちも哨戒に入りましょう」

「宙域から出ない範囲でパトロールみたいなものだっけか? 周りの味方は隊列こそ崩れたが、全然本隊と離れる気配はないぞ」

「まあ体よく自由行動で良いぞと言ってるようなものですので。ロールしようとして味方に突っ込んだりしなければ、特になにしようが問題ないですよ」


 ロールを失敗させて味方に激突……前の前に行った作戦でイセンには身に覚えがあった。


「ひょっとして私は割と良くないことばかりしてるのか?」

「お、自覚しましたか」

「まあまあイセンさん、ここは敵部隊を見つけて挽回しましょう」

「この宙域には多分いないと思いますが、行くなら率いますよ」


 ミライの提案でゆるりと周りを見回すサーマン。一応インスヴァイトが潜めそうな天体を見繕っているらしい。


「あの小天体などどうですかね? いつかの偵察任務を思い出す大きさですよ」

「だいぶ遠いわね。回り込んでいこうかしら」

「良いですよ。私はあと二、三箇所ほどスポットを見繕っておきますかね」


 本隊から大きく逸れて分隊として行動開始する面々。徐々に対象の天体へと距離を詰める。


「右から回ってみましょうかね」

「そういう話するのか? じゃあ俺は左だ」

「自分もイセンさんと同じく左で!」


 結局地球人を除く三名は右から回ることにしたらしい。


「こんなしっかり哨戒するの、何ヵ月振りだろう」

「私は初めてだわ。みんなとっとと済ませて帰りたがるものね」

「たまには散策するのもいいと思うのですが、思ったより少数派でがっかりです」

「ラックワイト中尉、下手ではないけど見てるだけでも危なっかしいですし」


 擬似的に久々の三人編成で、巡回するのを楽しんでいる一行。


「あれは……! なんというか、探すとホントにいるものですね。しかもあの機体は見覚えあります!」


 サーマンが次通る目標を見繕ってた所、本当に敵を捕捉した。二機しか見えないが、ロウン機トロップとバイルのミリオンアーツが控えている。階級的に小隊か、もしかしたら中隊を率いていてもおかしくない二人だが、仮にそうであれば大規模な戦いになる。


「こちらには気付いてなさそうだけど……やる?」


 銃を構えるミルミド。ミライとイセンはまだ到着できる場所ではない。


「ある意味本隊を囮に出来そうですね……いつも通り私とファルーで詰めれるだけ詰めますか」


 付近には宇宙ゴミーーデブリが多く漂っているが、他の敵影はないと踏んだサーマン。徐々に加速していく前衛機二人。射程まで十秒幾つかと言ったところで、バイルの機体が僅かに身を引きこちらを正面に据える。彼の機体ーーミリオンアーツは灰色のカナブンのようで、四肢が太い。装甲下から赤い光を放っている。


「まだ距離が遠い……ミル曹長!」

「了解よ」


 照準をトロップの頭に定め、そのまま発射するミルミド。一拍遅れて振り向いたトロップの顔面を砕くかと思われたが、先にバイルの乗るミリオンアーツが横の機体の頭部を殴打した。

 すんでのところで砕かれたのはバイルの搭乗するミリオンアーツの右腕部となった。


『サーマンか! また貴様の隊は邪魔をする!』


 バイルに頭部を攻撃することを読まれたのはジャンダルム陣営には予想外だった。しかし損傷は入っている。そのまま急接近するサーマンとファルーだったが、更に予想していない出来事が起きた。


「サーマン少尉、ファルー伍長、周辺に敵の反応多数!」

「なんですって! ……様子がおかしい? 撤退します」


 周囲を薄く照らす数多くのオレンジ色の光。本隊と連絡を取りつつ、付近の様子を観察するサーマン。一見鉄塊をそれらしく光らせただけにも見えるが、確かにモニタはインスヴァイトの反応を示している。未確認兵器の可能性は多分にあるため距離を離す。


「皆さん、大丈夫ですか!?」

「本隊の動きとモニタがえらいことになってるが、敵は……バイルとロウンは居ないのか?」


 ミライとイセンから連絡が来た。あの二機はこちらの不意をつき姿を消していたが、とりあえず事態を対処する。


「ええ、なんとも。交戦こそありましたが、少々ペースを崩されただけですので第二段階までは任務を継続できそうです」

「戦略拠点組み立て後の追加侵攻か……」


 多少敵軍の勢力が居ようと元から強硬策で行くつもりだったが、この部隊規模を見れば相手も相応の兵力で迎え撃って来るだろう。


「三ヶ月振り八十五個目の星外戦略拠点基地の完成がほぼ確定しましたからね。拮抗している他宙域の代わりにこのまま増やしてやります」

「何個……何十個くらいの基地が放棄されたんだ?」

「よく覚えてないですが五十とかですかね」

「六十三個です。さて、今回の基地は終戦まで持ちますかね」


 横からファルーが口を挟む。


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