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アフターギグ4

 

 三人で准将を出迎えて数時間後、宿舎を後にしたパイロット組はウェンに搭乗し、再びインスヴァイトの射出装置の元へ集結していた。例のごとくサーマンだけはウェンではないが、今回はダルクでもなかった。


「ふふーん。パイロット、サーマン。インスヴァイト、トリル。出撃します」

「パイロット、イセン。インスヴァイト、ウェン。行くか……」


 初出撃と比べると落ち着いている地球の面々。それに比べると、サーマンが気持ち昂っているか。新たな機体を支給されたばかりなので無理もないだろう。射ち上げられた宙ではロールを繰り返している。


「さて、モードC初同期といきましょう」

『操者のフォルダは該当なしの為、新規作成されます。恐怖のファイルは該当なしの為、新規作成されます。操者のCデータを本機とリンクします。チャネリング開始します』


 初めてCモードを使用した際の音声が流れる。トリルと呼ばれた深紅の機体が青い光を放出する。腰に収納された剣を引き抜くと、機体同様に青く光を放つ。


「ふふ……機体の色がお揃いです」

「素が出ているぞ、素が。サーマン少尉にも恐怖の感情があったのだな」

「チャネリングとは何ですか?」

「なんか……機体のアップデートみたいなもんじゃないですかね。たっまーに報告されてますが、特に実害はないです」


 前を行くサーマンの機体が発光を止める。普段のモードに切り替わったようだ。


「作戦内容は覚えてますね?」

「今回はFg8とかいう宙域に行くんだよな?」


 先程のミーティングを思い出すイセン。朝はどうなるかと思われたが、時刻通りには全員エントランスに揃って始まり、准将から詳細を伝えられた。仕事部屋でも感じられたことであったが、あの時は普段と別人のような雰囲気だった。


「取りまとめると。今回は隣接する宙域で中規模の交戦が行われている為、回り込んで応援に来る敵の別働隊を警戒。待機の後、友軍の交戦終了に合わせて帰還だ」


 背筋を伸ばして椅子に腰掛ける真面目なモードのブリディガル准将である。初対面がこちらだったらずいぶんイメージも変わっていただろう。


「別の方角から援軍が来た場合は共に撤退。その際にはCモードを使えよ。威嚇として機能すれば敵の深追いは避けられる」


 イセンも一度任務に出て分かったことだが、Cモードのインスヴァイトは発光するため非常に目立つ。逆に言うと、通常形態で待機していれば増援がいるのかどうか判別しづらいのだ。


「聞きたいことがあるなら聞くぞ。特に伍長二人。後でも良いが、必要だと判断したら他の隊員とも共有する」


 資料の束を机の上面で揃えながらに作戦の受け答えに入る。こちらを見られていないのにも関わらず、イセンは強張った顔で質問を躊躇していた。あまりに初歩的な事であったし、気圧されていたのかもしれない。

 一度彼女から同意を求められれば内容を反芻する前に肯定してしまいそうな迫力がある。肩肘を張ってそう見せているのではなく、むしろ自然な動作からこそ持って生まれた存在感が放たれる。


「友軍の援護には回らなくて良いのでしょうか」

「良い。敵が逃走すれば戦果も半減する」

「どんなに劣勢でも良いのでしょうか」

「撤退するかは友軍の小隊長の一存だ。私も部下には死んで欲しくはない」


 別に、准将も人が死ぬのを望んでる訳ではないことくらいは分かっているのだが。


「あと、その際もCモードは使用しろ。すまない、基礎的ではあるが説明抜けだ。各自、自分の任務を最要にな」

「……承知しました」


 少しの間の後、作戦を承諾するイセンだった。


「そうですね。Fg8にて待機……聞いてます? イセンさーん」

「心配させてしまったか? 聞こえている」

「今は上官であり兵士として戦うつもりなので。心配にもなりますよ」


 衛星を離れていく内に時折見えた友軍の機体はいなくなっていく。衛星から見る機体達はどこまでいくのか疑問になる程小さくなるさまが見られるのだが、自分が離れるときは一瞬だ。


「どこから狙い撃たれるか分からないとソワソワするな……」

「まあ、昨日の今日で狙撃された割によく乗れますね。宇宙で相手に気付かれず待ち伏せられることはそうそう無いので、今回はこちらから待ち受けましょうか」

「よく目を凝らすと遠くで光っているような、いないようなですね……」

「ミライさんは目が良いですね」


 その後はトラブルもなく指定の宙域に着いたので、打ち合わせ通り周辺の味方が交戦終了まで待機する。


「ミライ、お前は戦争に巻き込まれたことをどう思う?」


 イセンは無線のチャンネルを個人通信へ切り替える。もっとも初めての試みなので、きちんと出来ているのかは分からない。


「本当は人のため動かしたかったんですが、生きるためにはやむなしですかね」

「人として善い考えだな。我々は当事者ではないからこそ、自分自身の意味を持って戦いたいのだ」

「ちなみにイセンさんは?」

「言っといて悪いが、私も今は生きるので精一杯だ」


 信念を持つのが先か、戦場に散るのが先か。出来れば前者であって欲しいが。二人が話してる間もサーマンは交戦中の味方の動向に目を光らせている。


「今回は友軍勝利で終わりそうですね」


 遠方に青い光とオレンジ色の光が見えるが、青い光……ウェン系列のインスヴァイトのが僅かに数が多く見える。


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