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アースアンバサダー2

出店を探していき、ミライ・イセン・ファルーは各々興味を持った食べ物を購入した。ついでに持っている通貨を大体均等に分けることにした。ファルー曰く余程雑に使っても困らない額らしい。


「イセンさんは何食べたんです? 私は肉なんですけど」

「俺もミライと同じだ。肉だ肉」

「ここの通り肉以外もあったですよね? 俺も肉ですが……」


とりあえず広場のような所でベンチに腰掛ける三人。形状こそ違うものの、皆揃って肉を口にしていた。


「で、ホテルはどうするか。観光地ならわらわら建っているとは思うが……」

「あ、泊まるところは大丈夫です。ジャンダルムの支援をしてくれている方がヨルクに居まして、そちらの方のお屋敷で面倒を見てくれると言われました」


喋りながらでも相変わらず食べるのが早いファルー。二人が肉をかじる横でキョロキョロと近くのゴミ箱を探しているらしい。


「ふむ。ちなみになんと言う名前なのだ?」

「トロンと言う方ですよ。今後も会うかもしれないですね」

「了解」


とりあえず目的はなく歩き回る一行。軽い山まで歩いたり、川を渡ったりしていると、興味深いものが目に入った。


「イセンさん、あれ」

「……気にしてはいけない」

「バンジーですね」


イセンはいまいち乗り気でないが、目を輝かしているミライと暇を潰そうと考えていたファルーにとっては関係のないことだった。


「ファルー、なぜ名を言った」

「いや、面白そうだなって」

「面白そうですよね! 皆でやってみましょうよ!」


それは巨大な橋の中間ほどに簡易な建物が組んであり、数人の人だかりができていた。


「お兄さんたち観光か? 三人とも飛ぶなんて面白いね」

「観光だが、いまいちスポットを知らなくてな。どこか面白い場所を知らないか?」

「ここら辺じゃあ博物館かねー。で、誰から飛ぶんかい?」

「私が一番最初で良いですかね!」


そこはかとなく不安そうにしているイセンは置いといて、ササッと準備を済ませるミライ。


「用意できたぞ。あとは勝手に飛んでくれ」

「分かりました!」


ミライはそう言って橋の下に消えていく。沸き立つ橋上。これから飛ぶイセンに若干のプレッシャーがかかる。


「むむっ……」


そのままやや薄いリアクションのまま回収される。反応は薄かったものの、楽しんでいたようで心なしか口が綻んでいた。


「俺もやりますー」


その後ファルーも跳んだのだが、イセンは緊張でその時の事はあまり覚えていなかった。ただ、ミライとは対照的に悲鳴のようなものが聞こえた気がした。


「最後は金髪の兄ちゃんだな!」

「え? あ、そうだな」

「器具を取り付けるからちょいと待っててや」

「はい……」


準備は一瞬で終わり、決断の時が来た。


「じゃあ、好きなタイミングで跳んでくれや」

「イセンさん生きて戻ってきてくださいねー!」


後ろにはテンションが上がりきった後輩。かたやこちらは血の気が引いている。


「あれ、結構溜めますねー。そういえば折角の景色だし、もっと見てみたら良かったです」

「そう言うことじゃないんだがな……」


これ以上留まっては流石にマズい。深呼吸を最後に一回。


「いざあ! 参る!」


ちょっと上に跳んだと思うと圧倒的に下へ引き込まれていく。落ちるのは一瞬だと割り切っていたが、その考えが良くなかったのか、思ったよりは長かった。


「イセンさん、顔が白いですよ……」

「ちょっと休もう……行けるときにまた言うから……」

「ミライさん、あっちにパイナップル売ってましたよ」

「あ、本当ですか? 先に食べてるとはやりますね!」


パイナップルを買いに行くミライとそれに着いていくファルー。案外後遺症は少なかったらしい。そして、一人取り残されるイセン。


「くっ……今は風に当たっていよう……」


そのままイセンが近くのベンチでぐったりしていると、杖をつく高齢の男性が近付いてきた。満身創痍ながらも、僅かに身を寄せるイセン。


「気遣いありがとうございます。今日は観光ですか?」

「あ、はい……。連れは若いの二人で、体力の違いを実感している所です」


まさか話しかけられるとは思っていなかったので、少し警戒しながら男の様子を観察している。杖をついていたのは腰が弱いからなのか、座った状態でも前傾姿勢で杖に両手ですがっている。体が曲がっているのを加味しても、そこまで大柄な体格ではないので、最悪揉め事になっても負けないだろうとイセンは考えていた。


「おーい、一人で勝手に行かないでください。あれほど言ったのに、何十年手を焼かすつもりですか……」

「あちらは貴方の連れですか? 心配されているようですが」


声のする方を見ると、日に焼けてガタイの良い男がやって来ていた。けして背が低い訳ではないイセンより頭一つほど高い。黒の短髪で刈り上げていて、筋肉隆々といったところ。取っ組み合いになったらまず間違いなく負けるだろう。


「数年単位でこんな冗談を言ってくるのですよ。お気になさらず」

「お、温厚そうな方だとお見受けしたが、随分茶目っ気があるようで」


話していると、先程先輩を置き去りにしてパイナップルを手に持ったミライとファルーが帰って来た。


「イセンさん、今戻りましたよ。って、知らない人と一緒ですね?」


老人とイセンの元に、それぞれの同行者が集結してきた。

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