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スペースライフ9

宇宙に出て五日目は、やることがないのでイセンとミライで、これまでの情報を整理して過ごした。六日目になると、二人はファルー、ミルミド共にサーマンに召集された。


「えー、これから通る宙域は昔ヌーフの軍が廃棄した惑星施設があります。敵兵も多分いませんが、もしかしたら戦闘になるかもしれないので、四名で警備して貰って良いですかね」

「すまない。三時間程警戒を解かないで貰いたいのだが、お願いしたい。本来は迂回できたルートなのだがな……」

「なにか理由があるんですか?」

「軍から配給された心動力がそれほどなくてな、やりくりに必死なのだよ」

「心の力とはそんなストック可能なのか?」

「正確に言うと心の残滓になるのですが、説明はまたの機会に。とりあえず、余裕がなくて半分危険域を突っ走ることになります」

「了解」


各自ウェンへと向かう。動力も付け、いよいよミライとイセンにとって二度目の宇宙飛行となる。


「今度の宇宙は綺麗ですかね? 目の前に……と言っても距離はありますが、そこにある衛星が今回のキーですね」


よくよく正面に見える衛星を観察すると、人間が建てたと思わしき施設のようなものがある。


「前より綺麗だな。なんだろうか、大きい星が点々と見えてるからかもしれんな。と言うか、ヌーフの兵が駐屯していたら四人で何とかなるものなのか?」

「何が居るかは分かりませんが、何とかならなかったらまとめて死んでしまいますね」


サーマンと物騒な話をしていると、少し先行しているファルーとミルミドが現状を報告する。


「施設の中は灯りが着いてなさそうですし、大丈夫ではないでしょうか」

「そうね。仮に居るならそろそろ何か行動を起こしてもおかしくないわね」

「! 施設のシャッターが閉じていきます。やはり、何か居るのかも知れませんね」


そう言っていると、施設の奥の方から何かが飛び立つのが見えた。数は四機、二機はブルーピットの方でも進路の先でもなく、どこかに飛んでいった。しかし、残りの二機はこちらに飛んできた。


「敵機接近! 数は二機、状況を鑑みるにこちらの足止めかと思われます。ミルミド曹長、逃走した機体にも人員を割きますか?」

「気にはなるが相手が分からない以上、無闇に戦力を分散させるのは危険だ」

「承知しました。とりあえず戦闘を開始します」

「あ、ミライとイセンにも出来たらで良いんだが、なるべく生け捕りで頼む。無駄かもしれないが、情報が欲しい」

「生け捕りですか、やってみます!」


敵の機体は真っ青でマスクをしているような機体だ。特徴的なのは頭に注射器のような電極のようなものが三本生えているところか。いや、ウェンにも四本付いているのだが、どちらも生えているというより刺さっているような印象を受ける。


「敵の機体の詳細は分からないが、大体のコックピットは腹部にある。その他を切断するなり強力な打撃で中の人間を気絶させるなりして無力化してくれ」


「うん? 相手の機体、サーマンと比べると大分おざなりな操作をしているな!」


射撃が得意なイセンが先に射撃戦を行い、ミライも距離を詰めつつそれに従う。相手は逆に距離を離そうとしつつ射撃を見舞うが、回避に余計な動作が多く段々と差が縮んでいく。射撃の腕もじっとしていれば当たらないのではないかという程バラバラに撃ってきている。


「ミライ! 左腕を撃ち抜くぞ!」

「了解です!」


ミライが近接の射程距離に入ったとき、誤射をしないように予告を入れるイセン。ミライの振りかぶった右からの横凪ぎは防がれたが、相手の体勢が崩れて予告通りイセンが左腕を撃ち抜いた。


「援護感謝します!」


そしてミライは再度剣による攻撃……ではなく、先ほど言われたコックピットがあると言われた腹部に強烈な拳を叩き込んだ。


一方ミルミドとファルーは、人数差を活かしてじわじわと詰め寄っていった。相手の機体も常に余裕をもって回避できる空間を残しており、時間は掛かるが着実に追い詰めていく展開になった。


「じれったいですね……」

「それはっ、動きを合わせられんぞ」


途中痺れを切らしたファルーが敵機へと突進する。恐らく予想外の動きに相手の回避が遅れ、惑星施設へと叩き付ける。だが、この敵はそれでは止まらなかった。


「よくも叩き付けてくれたな、それが仇となるのだぞ!」


聞いたことのない男の声がスピーカーを通して流れてくる。恐らく敵軍のパイロットだろう。相手は両足でファルーのウェンの両肩を強引に蹴り飛ばし、剣を抜きファルーに迫る。


「近接は負ける気がしませんがね!」

「負ける気がしなくとも勝者は一人だ」


ファルーが斬りかかるより早く敵機はウェンの右手を斬り飛ばしていた。


「なっ、速い!」

「無駄な動きがお前の機体を遅く見せているのだ」


コックピットに剣を突き付けられるファルーだったが、その剣が機体を貫く前にミルミドが後ろから銃を構える。


「この距離なら必中です。降伏してはくれませんか?」

「なぜ私が降伏する必要がある。お互い一つの命を握っているのだ、対等ではないのかね」

「いえ」


ミルミドがイセンとミライの方に目を向ける。


「こちらは二人分です」

「……分かった。少年、彼らがチールの命を取らずにいたこと、感謝するのだな」


ファルーも何か言葉を探したが、何も口をついては来なかった。 かくして、ブルーピットに捕虜が二人付くこととなった。


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